2024年11月18日 「コンビニで市販薬解禁へ」というニュースについての問題点

11月13日に「コンビニで市販薬解禁へ」というニュースが出てきました

厚生労働省としては解熱薬などの販売を薬剤師や登録販売者の居ないコンビニなどでも出来るようにして、夜間や過疎地でも購入できるようにするのが目的のようです





現状、医者の偏在や若手医師が美容整形に流れる傾向にあり、夜間診療が出来ない地域に対して何とかしようというのが目論見だと思いますが、
そもそも国が医者の診療報酬を下げまくった結果、
・人の多い地域で稼いだ方が良い(現状、患者数が多いほど稼げる仕組み)
そもそも過疎地では利益が出ない診療報酬内容である

・保険医療をやっても労働と責任と給料が見合わないため、若手医師が美容整形に流れて保険医療をする医者が減っている

という現実に目を向けず、オンラインで簡単に済ませようとしているのが最大の問題だと思います
(オンライン診療を解禁しても、オンライン診療を行う医療機関は都市部にしか無い)



国の制度の問題を今更言っても仕方が無いので、もし、日経新聞に書かれている方法で実行されたと仮定して、どのような問題が起こるのか見てみましょう

・薬剤師の給料は何処から発生するのか?
日経新聞の解説では専門のアプリを用いて薬剤師に相談してどの薬が良いかを診断してもらうということになっています

患者が自らお金を払うパターン
・オンライン診療の場合、「診察後にご登録のクレジットカードから自動で支払われます」とのことだったので、患者が相談後に相談料としてお金を支払えば何とかなるように思えます
・アプリをサブスクにし、毎月定額を頂く方針にする(これが現実的)

現状、日本人は薬剤師に対する薬の相談を「無料でやってくれるサービス」と勘違いしている人が多いので、患者がお金を払うかどうかが問題になってくるでしょう
そもそも専門家に意見を聞いてるのに、無料で済むと考えている時点でおかしいのですが(イラストレーターにタダで絵を描いてくれと言ってるようなもの)



業務提供先から給料をもらうパターン
・コンビニやドラッグストアなどとオンライン事業を提携して、そこからお金をもらうことになるでしょう

どちらも24時間対応となると、残業代や夜間報酬などそれ相応の給料を出さないと、誰もやらないと思います
それ相応の給料を出せるかどうかが焦点になるでしょう

・報酬が発生しないパターン
・診療報酬の内容に盛り込み、地域加算(またはそれに類似する加算)を取っている薬局に強○的にやらせる
これが一番現実的かも知れません
もはやチェーン調剤しか対応出来ません
地域医療を何とかしようとして国自らが地域の保険薬局を潰していますが、国から見ればそんなこと知ったこっちゃないことです
国の言うことを聞かない薬局なんて潰れて問題無いでしょう


・間違った薬を販売したときの責任の所在は?
コンビニの販売員がよく似た名前の薬を間違って売ってしまった時にどうするか?
現状、処方箋と違う薬を渡してしまった場合、薬局や薬剤師の責任になります。場合によっては損害賠償が発生する事案もあります
これを踏襲すると、間違えた薬を渡してしまった場合、コンビニオーナーやコンビニ従業員が責任を負い、損害賠償が発生した場合、責任を負いきれるのか?
という問題が発生します


・行政的手続き(保健所への届け出など)
現状、医薬品を扱う場合は保健所への届け出が必須になっています
保健所から薬局開設許可や医薬品販売業許可を受けないといけません

現在では三重県内ではコンビニで医薬品販売業許可を受けてるところは無いとの話ですが、愛知県ではあると聞きました(保健所の人から直接聞いた)



・人手不足で夜間開店が難しくなってきている
都心部でも24時間営業を辞めた大手コンビニの話を聞くようになってきました

以上の点を踏まえ、コンビニ経営者がそこまでのリスクを背負って医薬品販売を行うのかは疑問が残ります




・そもそも僻地にはコンビニが無い
当店から吉野山に行く時に針テラスから369号、370号を使って吉野山に行くのですが、
セブン-イレブン 奈良針インター店からローソン 吉野リバーサイド店までの間の約32km内にコンビニが無かったと記憶しております
(以前はあったがコロナ禍で潰れた。最近になってパチンコ屋が潰れてクスリのアオキ 大宇陀店が出来た)

コンビニからクスリのアオキ 大宇陀店の間でも15kmほど離れております

御杖村や曽爾村にはコンビニもドラッグストアも無かったと記憶しております

津市に行くにしても大山田村を経由した場合、
ミニストップ 伊賀畑村店からファミリーマート 津市美里町店までコンビニもドラッグストアも無かったと記憶しております(24.3km)

パッと思いつくのは以上になります


必要なのは「夜間に対応出来る人員や店舗」ではなく、「救急箱を家庭においてもらい、症状に合わせて自己判断してもらう知識を身に付けてもらうこと」ではないでしょうか?
そのためには「救急箱に入れるための市販薬の購入費」は控除の対象にすべきだと思います


厚生労働省がやろうとしていることは、厚生労働省の天下り先を作って税金を垂れ流すようにしか見えません

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