過去作「俺は勇者なんかじゃない」_裏話編


自らを積極的に宣伝していく勇者スタイル。
今回触れる作品はこちら「俺は勇者なんかじゃない」です。
彩風ゲーの代表作だと自分では思っています。

先日、紹介記事を書いたので今回は更に掘り下げて
「俺は勇者なんかじゃない」の裏話みたいなのを書きます。
「自分の好きな作品の、こんな感じの話を聞いてみたいなー」と私なら思うなーと考えたので、つらつらと書いてみています。
ふんわりとしたネタバレにも触れていますが、具体的なネタバレはないです。

どういった世界観のゲームか

改めて申しますと
「人間が魔族に支配されたせいで、魔族に立ち向かう勇者が厄介者扱いされる世界」です。
私の中にあった「勇者って本当に、純粋に好かれる存在なのか」という自問自答を形にした作品です。

そんな「勇者が厄介者扱いされるような世界」でも勇者として頑張っていた男が、
志半ばでその命を散らす際に、共に旅をした少年に向けて最高の笑顔を浮かべた。
少年は、男が見せた笑顔の理由が気になって仕方がない。
笑顔の理由を知る――その為だけに少年「シルト」は、青年となった頃に「勇者」として旅立った。

「魔族に支配された世界を救いたい・変えたい」
「正義の味方でありたい」
そんな考えは主人公のシルトには全くありません。
シルトはただ、自分の恩人である勇者が死に際に笑った理由を知りたいだけ。
誰かを救うでもなければ、正義のため、人のために戦うでもない。
けれど自分は勇者だって胸を張って言える存在になりたい。


ふりーむ!さんの作品公開ページでメインに持ってきている
「オレは正義の味方じゃねえ。オレは『勇者』だ」がシルトの全てを物語っていると思います。


そんなふりーむ!さんから、ふりコン入賞のお祝いが届きました。
手書きメッセージ嬉しい&ちまっといるシルトが超絶かわいい!!
改めて「俺勇が受賞できたんだなぁ」としみじみ感じました。うれC
(メッセージカードのお名前の部分、某SNS上では伏せている方もちらほらいらっしゃったので念の為Ci-enでは勇者さんで伏せました)

あと、ちょっとした邪な考えでいうと「勇者ハッピー」「●●さん~なんだぜ」っていうシルトの口調が比較的使いやすいので、プチ流行してくれたらうれCな~なんて思ってたり。
我ながら良い感じに使いやすい口癖思いついたなと思っています。
ここだけの話、私が考えたってよりはシルトが勝手に喋りだした天然の産物なんですけどね。話を書いてるとキャラが勝手に動きだすっていうあの現象です。
ある意味私が考えたとも言えるかも知れませんが、私の中ではシルトが勝手に動いて喋った結果だと思っているので勇者ラッキーだぜです(露骨に使っていくスタイル)

どんな方に特にオススメできるか

「これはダメ、(自分が)迷惑だから止めろ、(自分が恥ずかしいから)止めろ!」と周りから言われることに苦痛を感じている方や、
自分がどうありたいか、どう生きていきたいか悩むことがある方、
『自分が好きでやったこと』とはいえ、相手のために行った善意が非難され、報われないと悩むことがある方、
周りから邪険に扱われ、嫌われ、腫れ物扱いで息苦しい思いをしてきた・あるいは今もそんな苦しみを抱えている方、
「湖でおっさんを釣ってみたい」という願望のある方にぜひともオススメしたい一作です。

私自身、そういった経験をしてきました。
「あなたも私と同じ生き方をするのが当たり前! 私を尊敬しなさい!」と、自分の価値観を押し付けてくる血の繋がってない親戚。
「恥ずかしいからもっと『普通』になれ!」と、『普通』を代名詞に価値観を押し付けてくる周りの人々。
相手の為だと思ってやっていたことが、逆に相手が私を嫌うための良い材料にされてしまったこともあります。
自分の生き方に疑問を抱いたり、自分の生き方を恥じたり、よかれと思ってやったことで相手を傷付けてしまったことを悔やんだり反省したことが何度もあります。

何のために生きるのか。
周りから圧をかけられ、常に自分の価値観とは異なる『普通』を押し付けられないといけないのか。
『普通』でないためにクラスや社会では腫れ物扱い。
けれどそんな私でも『好きだよ』『応援しているよ』と言ってくれる人は居ました。
リアルとかネットとか関係ない。
こんな「普通じゃなくて」「ほとんどの場所では腫れ物扱いだった」私でも、好きだと言ってくれる人がいた。
周りに従う。『普通』に従う。そんな生き方もアリだろう。
けれど自分はそうじゃない。私は自分の価値観を貫く。そんな自分を好きだと言ってくれる人がいる限り。

そんな考えが、この作品には込められているのだと思います。
もちろん、「俺は勇者なんかじゃない」を通じてこれら以外の何かを感じてくださった方もいらっしゃるかと思います。
そうだとしたら嬉しい限りです。
普通ではない、そんな理由で腫れ物扱いされてきた私が発信したもので何かを感じて頂けた。
それだけで私が「今まで生きてきて良かった」と思えるから。

失敗して、悩んで、苦しんで、傷付いて、また失敗して、そこから学んで……。
人生なんてそれでいいじゃないか。失敗の連続でいいじゃないか。
そこから学んで次から上手く立ちまわれるようにすれば、それは『失敗』ではないのではないか。

シルトの人生は途中の結果だけ見たら失敗続きです。
けれど、シルトはきっと自分の人生を『失敗』だとは思っていないはずなんです。
旅の途中は何度も苦しんで『また失敗しちまった』と言っていますが、
最終的には「全てが学びだったんだ、人生に失敗はないんだ」ときっと考えが変わったと思います。

これらの悩みや葛藤に少しでも共感して頂ける方は、シルトから何かしら『勇気』を得られるかも知れません。
「でもゲームの話やろ?」と思われるかも知れませんが、「このシナリオを考えた人(彩風悠璃)が存在するんだ」という意味では、
シルトのメッセージや想いはある意味「現実」とも言えると考えています。

個人的なシナリオ構成の裏話

私の得意なシナリオ構成が「邪道→王道→邪道」でして、
邪道で始まって不安に思わせつつ、安定感のある王道展開でプレイヤーを安心させ、最後は邪道で締める。
「俺は勇者なんかじゃない」もその構成を採用していて、
序盤は主人公のシルトが育ての親同然である人を自分の障害になるからという理由で躊躇なく殺します。
更に友達のパンを強奪したり、子どものオモチャを取り上げたり、酒場でタダ飯食い荒らしたりとやりたい放題のどうしようもない奴。
「え、こんな奴が主人公なの!?」とプレイヤーに思わせるような破天荒で自由人でお気楽な性格。
けれど彼が旅立ってからの展開は王道寄り。当社比ですが熱い展開もあります!
EDは邪道に戻して「こうなって欲しかったなー」や「ここはあーなるべきだろー」とプレイヤーの方を悩ませてしまう流れにしました。
遊んでくださった方々の心にこのストーリーが何かしらの形で残ってくれるといいなーと思っての構成でした。

この、やるせない感じのEDは私が幼い頃に観た『某クレしんの戦国映画』のEDで受けた衝撃を基にしています。
「なんであんな最後なんや…! 綺麗にハッピーエンドで良かったやん…!?」と、当時の私は打ちひしがれました。
けれど思ったのです。もしもあのままハッピーエンドだったら、私の中でここまで深く心に残る作品になっていたか、と。
戦国時代を愛車で駆け巡るひろしの勇姿がカッコイイだとか、身分違いの恋が儚くて初々しくて良かったとか、
そういう好きな部分は散見されど、せいぜい「良い作品だった」止まりじゃなかったのかと思ったのです。
あのEDだったからこそ、「幸せになって欲しかった」「でも、そうなるわなっていうEDでもあったなぁ…」という葛藤が生まれたのだと思います。

続編について

なので実は、あんなEDのくせに当時は続編を全く考えておりませんでした。
あえてあの終わり方がいいんだ…! と、当時はそんなことを思っていました。
実際に「あれはあれで良かった」と言って下さった方も大勢いらっしゃった中で、
「あまりにむごい」「悲しい」「トゥルーエンドが欲しい」といったお言葉もたくさん頂きました。
それは私にとって嬉しい誤算で、シルトのことを思ってそういう事を言ってくださっているのだなーと感じてすごく嬉しかったです。

ふりコン受賞しましたし、嬉しいことにたくさんの好評を頂いているので
正統続編作りに挑戦してみたいという欲がでてきました。
創作歴はそこそこですが、一度完結した話の続編に挑戦するというのは初めての試みです。
なのでうまくできるかどうか正直不安しかないですが「どうせ趣味だし」「ダメだったらそれはそれ」「経験としては残る」とポジティブに考えていきたいです!
ちなみに続編はめっちゃ王道で綺麗に終わる予定!

…でもその前に、今作で描写が不十分すぎたエルザーガをもっと掘り下げる必要があるなと感じたので
ひとまず 「俺は勇者なんかじゃない」300年前の話であるトゥーラ=インクルが主人公の外伝を作って、その後に本作の続編を作ろうと思います。

つまり、

「トゥーラ=インクルの時代の話」(仮・これから作る)
↓ 300年後の世界
「俺は勇者なんかじゃない」(現在公開中)
↓ 即日~1ヶ月後くらいの世界
「俺は勇者なんかじゃない 続編」(仮・トゥーラの外伝制作後に作る)

…と、いった感じになる予定です。
でも今作が目を引いた理由のひとつに「個性的な世界観」があると思うので、
「まだ魔族に支配されていない、魔族も人間もある意味で平等なトゥーラ時代の話」を世界観で魅せるのは難しいかなぁと感じているのが正直なところです。
トゥーラの時代はそれこそ「ごく普通の、剣と魔法のRPG」な世界に限りなく近いので、
世界観の奇抜さで誤魔化せた「俺は勇者なんかじゃない」よりもはるかに難易度が上がってるぞ…!

けれど、だからこそ純粋なシナリオ構成力で勝負ができる場でもあるとも考えています。
「世界観で誤魔化さずとも面白い話を書いてやんよ!」というくらいの意気込みで!
できるかどうかは全く別の問題。挑戦することに意味がある!
万が一「『前作の方がよかった・前作の方が面白かった』」って言われたら
「トゥーラよりシルトの話の方が面白いってよ! 良かったなシルト! 世界を救った伝説の勇者に勝ったぞ!」 って何事も前向きに捉えていきたいです。

ですがさすがにそれでは腑に落ちないというか、純粋に喜べないので
きちんと「トゥーラの話『も』良かったよ!」って言って貰えるように頑張ります!!

そんな訳で、今度こそガチで正統派王道ファンタジーRPG「俺は勇者なんかじゃない トゥーラ編」を作っていきます。
長編である「俺は勇者なんかじゃない」を作ってた期間、ほぼずっと「もう二度と長編なんか作らねえええええええ」「これが最後!! もう無理!!」と唸っていましたが、やっぱり長編を作りたくなっちゃうんです。ツクラーの性ですね。

多分10月くらいからゆっくり進捗上げていくと思うので、ぜひぜひよろしくお願いします~!
「俺は勇者なんかじゃない」の裏話でした!
ここまで読んでくださって本当にありがとうございました~。

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