【第24回】世の中で活躍するクリエイターと対談!(ゲスト:ハレルヤロックボーイ)
世の中で活躍する様々なクリエイターとCi-enのプロデューサーが対談する「クリエイターピックアップ」24人目のゲスト対談配信!
24人目のクリエイター対談ゲストは、アナログゲームクリエイターのハレルヤロックボーイさんです!今回はテキストインタビューでお送りします
ハレルヤロックボーイ
ハレルヤロックボーイ Xアカウント
ハレルヤロックボーイ 通販サイト(BOOTH)
ハレルヤロックボーイ_通販サイト(ボドゲ―マ)
自己紹介
まずはハレルヤロックボーイさんの紹介をお願いします。
ボードゲーム制作サークル・ハレルヤロックボーイのshimamuwです。ゲームデザインとその他雑務、アートワーク以外のことをやっております。
ハレルヤロックボーイというサークルには他にデザイン・DTP担当が一人いまして、2名のコアメンバーで活動しています。
最初にお聞きしたいのですが、ハレルヤロックボーイさんが活動されている領域は、アナログゲームという括りで良いでしょうか?
現在までにハレルヤロックボーイさんが作ったアナログゲームを教えてください。
そうなります。
より狭い括りで言うなら「ボードゲーム」になるかと思います。
今のところ、TRPGやマーダーミステリーなどは作っていません。
TCGもサークルとしては作っていません。
ハレルヤロックボーイとしては、『DEKU』『ゴシップアンドザシティ』『四畳半ペーパー賽系』『ドロンビー』『インスタントサガ』『HINADAN』『ゴーアウトガール』『ゴーアウトガールNEXT』『マーケットデイ』『テーブルトップクライマー』『CONDUCTORS』と11作になります。
ハレルヤロックボーイとしてはと前置きしたのには理由がありまして、実はその前に大気圏内ゲームズという別名義で活動をしていました。
大気圏内ゲームズとして9作、その他個人名義や企業案件などがいくつかあります。
ハレルヤロックボーイさんが、アナログゲームを制作するようになったきっかけを教えて下さい。
元々ボードゲームが好きでよく遊んでいて、ゲームマーケットというアナログゲームの即売会イベントにも何度か足を運んでおり、漠然と「いつか自分でもゲームを作って出展してみたいな」と思っていました。
一緒にボードゲームを遊んでいた友人に、ゲーム製作とイベント出展についての話をしてみたところ、だいぶ盛り上がってしまい、文化祭的なノリと勢いで作り始め、そのままゲームマーケットに出展したのがきっかけです。
当時のゲームマーケットでは、手作りのカードやボードで少部数販売しているサークルさんたちがいっぱいいて「これなら自分でも作れるかも?」と思えたことは大きかったかもしれません。
今のゲームマーケットでは印刷所で製造されているものがほとんどで、美しいイラストや洗練されたデザインの外見のものも多く、最初から今のような環境だったら「自分もできるかも」とは思わなかったでしょうね。
ハレルヤロックボーイさんが、アナログゲーム以外にも興味があることはなんですか?少し前にはサッカーワールドカップが行われており、ハレルヤロックボーイさんもXで書かれてましたが…
水を向けていただいたので言いますと(笑)、サッカーを観るのは好きです。
ワールドカップ期間、めちゃくちゃ楽しいですね!(日本、残念でした……)
特にイングランドのプレミアリーグが好きです。
サッカー以外だと音楽もだいぶ好きだったのですが……最近は離れてしまっていて。代わりに一部の坂道系アイドルを好きになって、LIVEに足を運ぶおじさんになっています。
アナログゲームの制作について
ハレルヤロックボーイさんがアナログゲーム制作として最初に作ったタイトルを教えて下さい。
最初のタイトルについて、今の印象はどういったものでしょうか?
本当の最初の最初に作ったタイトルについてお話しますと、大気圏内ゲームズ名義での『ホシリンピック』というゲームになります。
「洗濯物が競技になった!」という設定で、天気を読みつついかにうまく洗濯物を乾かせるかというゲームなんですが、洗濯物カードを実際に干すという、当時のイベントでの手作り文化も相まって、アナログゲーム感満載の見た目と内容でした。
今見るとゲームのルールとしてはあまり出来が良いものではないですし、運の要素が強めな、いわゆる運ゲー寄りなのですが、見た目や手触りの唯一無二感は悪くないな、って思っています。
最初のアナログゲームはどのように販売されたのでしょうか?アナログゲームの販売流通も交えて教えて下さい。また当時のアナログゲーム販売PR方法を教えて下さい。
ゲーム制作のきっかけが「ゲームを作ってみたい」と共に「ゲームマーケットに出てみたい」だったので、そのままゲームマーケットで販売をしました。
ごく少部数だったため、ありがたいことにイベント開始直後に完売となってしまい、嬉しかったのを覚えています。
その後、再生産を行い、さらに新作を作るようになってからは、イベント以外でも一部のアナログゲームのショップでも販売してもらっています。
PRは当時のTwitterが主流だったと思います。
また、ゲームマーケットの公式サイトに宣伝投稿ができるため、そもそもゲームマーケットが主戦場だった状況では、そこに投稿しているだけで十分というか、他に手段を考えもしなかったという感じでしたね。
今だったら「もう少しこうできたかな」という現在の自分からみてフィードバックはありますか?
『ホシリンピック』に関しては、実はあまり無いような気がします(笑)
逆に今だとこのルールで良しとできずに拗らせそうだし、この内容物でゲームを製作して販売することに対して、労力的にも金銭的にもブレーキをかけてしまいそうな気がしますね。
むしろ、勢いで駆け抜けた初期衝動の強さに眩しさを覚えます。
活動全体に対して強いて言うなら「もっと上手いこと収益化して会社でも立ち上げておけ~!」でしょうか(笑)
趣味的かつ文化祭ノリでチームで作り始めたので、ゲームを作ること自体が楽しくて、そういうところに無頓着だったと思います。
ハレルヤロックボーイさんのアナログゲームの作り方(工程)を教えて下さい。
※企画の立て方から販売までどういった作業から進めていくのでしょうか?
まずゲームのコンセプトというか、核のようなものを決めるところからでしょうか。
決めると言ったのですが、どちらかというと普段から「こういうゲームを作りたい」というアイデアストックを大小それなりに蓄えていて、そのとき自分の中でテンションが上がったアイデアを元に、ルールをしっかり肉付けする……という感じです。
コンセプト=元になるアイデアというのは、大抵は「こういうルール・ギミックをメインにしたゲーム」という感じですが、場合によっては「チーズが出てくるゲーム」とか「エルフの出てくるゲーム」みたいにルールそのものじゃなくてテーマとか外観な場合もありますし、「手札捨てたくないー!って感情が発生するゲーム」とか、もっとフワフワしていることもあります。
コンセプトとルールの肉付けが済んだら、実際に遊べる状態のテストキットを作って、一人で試します。
それでいけそうだなと思ったら、友人に試してもらったり、テストプレイ会のような場に持って行って、ひたすらテストプレイを繰り返します。
テストプレイを経て「これはちゃんとリリースできるな」という確信を持てる段階になったら、イラストやデザインの部分を発注したり、サークル内で依頼したりします。
その後、イラストやデザインの調整を進めながら、同時にテストプレイを重ねて、最終確定して入稿……という流れでしょうか。
ハレルヤロックボーイさんが得意(好き)な制作部分はどこですか?(ルール作り、デザイン発注など)
圧倒的に一番最初のコンセプト~ルールの肉付けのところ、ですね。
ここが好きでゲームを作っていると思います。
コンセプトに対して「こういうルールにしたらめっちゃ面白くなるのでは?」というアイデアが浮かんだ瞬間が一番楽しいです。
好きなだけでこれを得意と言っていいのかはわからないですが、他に得意な部分が思いつかないので、得意ということにもしておきます。
ハレルヤロックボーイさんが制作の中で苦手な部分はどこになりますか?
これも圧倒的に、説明書(ルールブック)を書くことです。
「あれ?お前ルール考えるの好きで得意なんじゃなかったっけ?」って思われるかもしれないですが、ルールを考えることと説明書を書くことはまったく異なる種目です。
制作者の中にはルールをある程度思いついた時点で説明書を書き始める、なんていう奇人もいると聞きますが、きっと多くの人はなるべく後回しにしたい作業かと思います。
アナログゲームを制作するにあたって制作者としての悩みはどういった部分にありますか?
うーん、これ難しいですね。悩み無いのかな……(笑)
ちょっと違うかもしれないですが、最近自分の欠点として、ゲームのアイデアに見切りをつけるのが早すぎるんじゃないかって思っているんです。
思いついたゲームをテストプレイしてみて、ちょっと良くないと「これはやめよう」ってすぐお蔵入りさせてしまう。
テストプレイ会で他の作者の方のテストをしていると「(これはちょっと厳しいんじゃないかな……)」というようなゲームをテストすることがあります。もちろん完成品じゃないゲーム、初期段階のものもあるテストプレイなので面白くないゲームはたくさんありますし、自分のゲームもそうであることが多いのですが、「これは完成させてもすごい面白いゲームにはならないんじゃないか。自分だったらこの時点でボツにしちゃうな」というように感じてしまうことがあります。とてもおこがましくて失礼な判断ですし、口に出したりはしないんですけど。
でも後日、完成したそのゲームを遊んだら、見違えるように面白くなっていて、「自分の目は節穴だな~」と思わされることが多々あるんですよね(笑)
何が言いたいかというと、自分のゲームに対しても僕はおこがましい判断を下してすぐボツにしてしまいがちなんですが、もっと足掻いてゲームを作れるようになりたいな、ということです。
ビジネス的なことで言えば、とにかくボードゲームの消費されるスピードが速くなってるな、と感じます。
1つのゲームをもっと長いスパンで販売していきたいのですが、今は一部の大ヒット作か定番品以外、あっという間に忘れさられていってしまいますね。
アナログゲームを制作していくにつれて、制作ペースは今と変わりませんか?
ゲームマーケットでの販売を基準にゲームを制作しています。
ゲームマーケットが春秋2回なので、年2作ペースです。昔からこのペースですし、これからも維持したいです。
最近は地方のイベントなどへの出展も増えていて、そういった別のイベント合わせの新作も出したいなと思っているので、できれば年間でもう1~2作多く作れたらな、と考えています。
一つの作品が完成したとして、次はどういった作業が発生するのでしょうか?
ゲームを完成させて、それが販売されるゲームマーケットまでの間には、ひたすら宣伝を重ねている気がします。
WEB上での宣伝もそうですが、ボードゲームの宣伝効果が一番高いのは口コミだと思っているので、ゲームマーケット前に活発に開催される試遊会のようなイベントに足を運んで、自作を遊んでもらうことが重要だと思っています。
ゲームマーケットもだいぶ大きなイベントとなっていて、当日通りすがりにゲームを見て買ってくれるお客様の割合はかなり少なくなったと思います。ゲームマーケット当日までにいかに自分たちのゲームを知ってもらうかに尽力します。
そして、「ゲムマが終わるとどうなる?」「知らんのか。次のゲムマが始まる」というコブラのミームが使われたりもしているのですが、宣伝と同時に、ゲームを作り終えたあとは次のイベントに向けてまたゲームを作ることになります。
ボードゲームの印刷は本のような媒体に比べて入稿から納品まで時間がかかることが多い(大体イベントの2か月前には入稿しなきゃいけない)ので、早めに動かないといけないのです。
最新作「CONDUCTORS(コンダクターズ)」について
ゲームマーケット2026の春に出展されていた「CONDUCTORS(以下:コンダクターズ)」についてお聞きします。本作の概要を教えてください。
CONDUCTORS(コンダクターズ)はコチラから購入可能です。
BOOTH
ボドゲ―マ
異種族たちの棲まう大陸を舞台に、プレイヤーたちはそれぞれ冒険隊を率いて、奥地にいる女王に挨拶に行く……という世界観で行う、カードを使ったすごろく形式のゲームになります。
プレイヤーはゲーム開始時に、ドラゴンとかエルフとかマーメイドとか、いわゆるファンタジー的な種族たちから1種族を選んで、その案内人の力を借りて旅をすることになります。
この異種族の案内人はそれぞれが違う特殊能力を持っているので、プレイヤーたちはそれぞれの案内人の特殊能力を使ってうまくゲームを進めていくことが求められます。
基本的には手札を使い、カードに書かれた数字の分だけコマを進めるすごろくなのですが、この手札は使うと捨てられて、どんどんと減っていってしまいます。
この手札を補充するにはどうするかというと、自分の案内人の種族を捨て、他の種族に替えなければいけません。
種族の特殊能力を使いたいけど、旅を進めるとどんどん手札は減るので、いつかどこかで自分が使っていた種族に別れを告げ、別の種族に乗り換えていかなければならない……それが大きな特徴のゲームです。
コンダクターズの制作はいつ頃から開始されたのでしょうか?アイデアはどういったところから生み出されたのでしょうか?
正式なスタートは2026年1月からです。入稿は3月なので、あの規模のボードゲームとしてはだいぶスムーズに完成した作品だったと思います。
『スモールワールド』というファンタジー種族が陣取りする名作ボードゲームがありまして、そのゲームも1人1つの種族を担当するんですが、途中で担当種族を捨てて新しい種族に乗り換える……というゲームなんですね。
この仕組みが面白いな~と思っていて、この乗り換えの仕組みと別の何かを組み合わせてゲームを作りたいなというのはずっと考えていました。
その「組み合わせる何か」について「すごろくにしたらどうか」と友人に言われて、やってみるか……と作り始めました。
なので、着手自体は今年なのですが、アイデア自体は前から温めていたような感じですね。
コンダクターズはリリースまでスムーズでしたか?それとも途中で難しい点はありましたか?
もちろん、細かいルールの調整などはありましたが、全体的には比較的スムーズでしたね。
これは自分自身が「このゲームのアイデアは良い」と信じ込んでいて、迷いが無かったせいもあるかと思います。
やっぱり作者に必要なのは自分の作品で自分を騙す……信じることですね(笑)
アナログゲームにおいて、デザインやルール設計など色々とありますが、カード一枚やルール表にどのような情報を入れ込んでいくか(デザインも含めて)というディレクション的な役割はとても重要だなと思いました。
ハレルヤロックボーイさんはディレクションが得意ですか?ディレクションのイメージはメモしながら完成イメージを作られているのでしょうか?
比較的得意な方だと思っていたのですが、実は得意というより、最初に複数人のサークルでボードゲームを作ることになったときに他に適任者がいなかったので自分がやった……というのが事実な気がしています(笑)
カードデザインなどでいうと、テストプレイの段階で少しずつ必要な情報や配置をしていって、実際のテスト時の反応や自分の感じ方で修正していっています。それらをデザイン担当者に指示して、担当の意見も聞いた上で最終決定する……という感じでしょうか。
コンダクターズのコンポーネントやルールなど、内容のバランスはどのようにゲームデザインされたのでしょうか?
参考元の『スモールワールド』が種族を乗り換えないとゲームが進行できないようなルールになっていて、このゲームでも同様にしたいと思い、最初期の段階で「サイコロではなく手札を使って進めるすごろく。ただし種族を乗り換えたときにしか手札が補充されない」というのを決めました。
そこから「すごろくのマスもカードにして、マスの順番のランダム性も入れたいな」「種族の能力にバリエーションを持たせたいな」「単純な早上がり勝ちのすごろくではなく途中のマスで何か手に入るようにしたいな」「そのマスの効果と種族の能力を絡めたいな」……と連鎖的に発想して、結構すぐに大枠の内容が固まりました。
また、ガチガチの硬派なファンタジーより少し緩い世界観をイメージしていたので、あまり長時間のゲームにしたくないなと思い、それに合わせてカードと他の内容物の量、箱のサイズなどもイメージして、ゲーム全体のスケール感が自動的に決まった感じです。
素人感覚になるのですが、コンポーネントが増えるとゲームのデバッグもハードルが上がる気がしています。ゲームのデバッグはやはり苦労されますか?
そうですね、コンポーネントが増えるということは、基本的には先ほどお話したゲームのスケール、規模が大きくなっていくということになると思います。
一概には言えないですが、大体においてゲームの規模が大きいほどデバッグは大変になります。
『コンダクターズ』もなるべく規模を大きくしすぎないようにしてはいますが、やはり種族がユニークで20種類もいたり、各マスの効果があったりと、それなりにデバッグに苦心しました。
とはいえ、種族の乗り換えの部分などは「強そうな種族にいつ乗り換えるのか」というタイミングをはかる「競り」のようなものでもあるので、種族が均等な強さになってしまうとむしろ面白くなくなってしまいます。
その点は、完全にバランスを良くするというより、それぞれの種族が「ゲームを壊さない程度に強い尖った性能」になるように心がけたつもりです。
コンダクターズですが、自分はゲームマーケットに行けなかったので、SNSでゲームマーケットの「戦利品」の中で見つけました。そこから今回のインタビューに繋がっているのですが、ゲームマーケットでの評判はいかがでしたか?
おかげさまで大変ご好評をいただきました!
それなりの量を用意していたつもりだったのですが、結局土曜日の午後には品切れとなってしまい、当日買えなかった方には申し訳なかったです。
また、イラストに惹かれて足を止めてくれる方も多く、会場ではお客様に「可愛いですね!」という言葉を何度もおっしゃってもらえました。
コンダクターズはイラストレーターのスケロク定食さんに依頼されています。スケロク定食さんに依頼した経緯を教えてください。
実はスケロク定食さんとは全く面識が無かったんです。
ただ元々Xでフォローはしていて。『テラミスティカ』という、やはりファンタジー系の種族がたくさん出てくるボードゲームがあるのですが、スケロクさんはそのファンアートを描いて、Xに上げてらっしゃったんですね。
そのファンアートが『テラミスティカ』に出てくる種族を女体化するもので、スケロクさんの描く女性キャラがすごく素敵だなと思っていました。
それで今回のゲームを作り始めたときに「このゲームはイラストが重要だな」と思って、真っ先に頭に浮かんだのがスケロクさんの絵でした。
Xを見て、スケロクさんがボードゲームが好きなことは知っていましたが、ボードゲームの絵を描いたことがあるのか、そもそも絵の依頼を受けてらっしゃる方なのかもわかりませんでした。
でもせっかくだし聞いてみようと、いきなりDMを送らせていただいたところ、すぐに「ぜひ!」という返信をいただけて、とんとん拍子に話が進みました。
いやー、聞いてみるもんですね(笑)
聞けばスケロクさんは僕らの過去のゲームを遊んでくれていたらしくて、興味を持ってくれたようです。
でも、それまでご友人を手伝ったようなことはあっても、ボードゲームのイラスト製作をちゃんとした依頼という形で受けたこともなかったとのことなので、ほんと良く引き受けてくれたなという感謝の気持ちです。
キャラクターが非常に可愛く、パッケージデザインも素晴らしいです。手触りも良いです。キャラクターデザインのイメージはハレルヤロックボーイさんがディレクションされたのですか?
スケロクさんに依頼するにあたって、最初にDiscordで打ち合わせを行い、その際に全体的な方向性とゲーム全体の雰囲気、世界観のイメージをお伝えしました。
僕がスケロクさんの『テラミスティカ』ファンアートが好きだという話もさせていただいたので、比較的早い段階でイラストの共通認識が出来上がったと思います。また、打ち合わせその場で1枚アイデアスケッチをアップしてくれたり、その2日後くらいには数キャラのラフを見せてくれたりと、スケロクさんの筆がとても早くて、すぐに認識にズレが無いことも確認できました。
上がってきたイラストに対しての意見や細かい修正依頼などはもちろんしていますが、各種族それぞれのデザインについては、ほとんどがスケロクさんご本人のアイデアによるものです。出来上がってきたいくつかのラフを見て、最初からあまりに自分の求めていた理想通りというか、それを超えてくる感じだったので「これはそのまま任せちゃって大丈夫だな」と思いました。「ゴーレムをメイドで」とか「ダークエルフに眼鏡を」みたいな一部性癖発言はしたかもしれませんが覚えておりません(笑)
実はヴァルキリーだけはパッケージのメインキャラと決めていたので、かなり注文を付けてお願いしました。いくつものラフを描いてもらったのですが、なかなかしっくりくるものに着地できず……
そうしている間に、並行して何の指示もしていない他の種族たちのラフもどんどん上がってきていたのですが、それがどれもこれも可愛くて一発OKでした。そうなると「これはむしろ僕が邪魔しているかも」と思い、「ヴァルキリーも今までの指示を無視してスケロクさんの自由に描いてみてください」と発注し直しました。
結果、しばらく後で描いてくれたヴァルキリーのラフが今の原型で、「コレだー!」となった次第です。
コンダクターズで上手くいったところ、手ごたえを感じている部分はどこでしょうか?
これはまさにスケロク定食さんのイラストではないでしょうか。
最初に気怠く拗ねた顔の美少女デュラハンのラフが来た時に「勝った!」と思いましたもん(笑)
ゲーム部分で言うと、やはり種族乗り換えが必須なゲームになっているところでしょうか。
1つのキャラクターをそれぞれ担当するボードゲームは多くありますが、ゲーム中に担当キャラがどんどん変わるゲームは少ないので。
コンダクターズはゲームマーケット後もSNSでプレイの感想を見かけます。ハレルヤロックボーイさんご自身にもコンダクターズの感想が届くことはありますか?
今言われて考えたのですが、思い返してみるにコンダクターズは一度もSNSで直接の感想はいただいてないかもですね。エピソード無くてすいません(笑)
でも実はボードゲームってSNSで直接感想を言われることって、あまりないかもですね……もっと有名なゲームデザイナーの方ならあるかもですが。
過去に作ったゲームの感想リプライやDMをいただいたことはありますし。とても嬉しかったですが、イベントなどで感想をもらうことのほうが多いかもです。
ボードゲームにはプレイ感想の文化があるので、エゴサーチでその感想を見たりはします。それについては良い感想も悪い感想もありますし、どちらもありがたく受け取ります。
遊んでもらえていることが何よりありがたいし、嬉しいです。
アナログゲームの制作~販売 について
ハレルヤロックボーイさんがこれまで手がけたアナログゲームについてですが、どの作品でも企画を立ち上げるときの進め方は同じでしょうか?特に印象に残っているタイトルはありますか?
基本的には同じ流れで進めていると思います。例外としては企業案件でしょうか。クライアントがいる場合、主導権やディレクションは先方次第になるので。
あとは突発的に生まれて勢いで進行するパターンもあるのですが、このインタビューで過去を振り返ってみたら、そもそもデビューからそんな感じでしたね(笑)
でも突発的なものは印象に残りやすいです。
『四畳半ペーパー賽系』というゲームを作ったとき、アイデアは元々あったものなのですが、それをゲームマーケット初日の打ち上げの席でゲームデザイナー仲間に相談して、その場でテストプレイしてもらいました。
打ち上げから帰宅後、徹夜でゲームをブラッシュアップして、翌日のゲームマーケット2日目にパイロット版のような形で突貫で販売しました。
その日は10部とかしか売れなかったと思うのですが、次のゲームマーケットで正式なパッケージを販売して、最終的に海外出版まで漕ぎ着けました。
もう1つ、『HINADAN』というゲームも突発で作りました。
グラフィックという印刷所さんでカード32枚のゲーム印刷パックがあるのですが、これが安価な上に納期が短く、ゲーム製作者の間では定番のプランなんですね。
3年前くらいの春に、当時大好きだったアイドルグループのLIVEを観てエモい気持ちになっていた帰り道、興奮のあまり「この気持ちをゲームにするべきだ!」と居ても立ってもいられなくなりました。そのときに、そのグループのメンバーが32人なことに気づいたんです。「32枚のカードにできる!天啓だ!」と思い込みました(笑)
「卒業や加入を繰り返すアイドルグループにおいて32人な瞬間は今しかない!今作るしかない!」と余計に勢いづいて、そのときはゼロベースから1週間でゲームを仕上げて、ゲームマーケットに出しました。
そのゲームも後に海外出版されたので、突発的な方が良いのかもしれない(笑)
パッションって大事ですね!
ハレルヤロックボーイさんがアナログゲームを企画する(立ち上げる)上で大事にしていることはありますか?
パッションです(笑)
というのは半分冗談、半分本気ですが。
僕の場合は、やっぱり自分のテンションが上がるゲームを作りたいし、そうでないと良いゲームにならないな、と感じています。
もう1つ、意識しているのは「これは世に出す意味があるゲームか?」です。
そのゲームでしか成しえない体験や面白さがあるか、それは他のゲームで代替できるものじゃないか。簡単に言うとオリジナリティってことなんでしょうが、そのゲームを遊ぶ意味を見出せるかどうかは気にしています。
結局そういうゲームじゃないと自分のテンションは上がらないので、そこはイコールなのかもしれないですね。
アイデアを形にする際、会社員だとコストと売上を天秤にかけることが多いですが、ハレルヤロックボーイさんも販売数だったり、コストは企画のタイミングで想定されていますか?
アナログゲームは物理的にコンポーネントを用意しないといけないため、そこを考えないことは難しいですね。
ただ「採算に合わない」というビジネス的な基準というより、赤字になってしまうような無理をすることはしない、ぐらいですかね。
あまり良くないかもですが、ゲームの販売価格を設定するときに「自分がユーザーならいくらだったらこのゲームを買うか」で値付けしがちなんです。「このゲームはこのくらいの価格感だよな~」って範囲から外れたくないというか。
コストを計算した結果、どうあがいてもその価格以下にできないような企画は避けがち……という感じです。
デジタルゲームは完成した後もデバッグできますが、アナログゲームはやはり修正がきかないのでしょうか?これまで作ったタイトルでデバッグや修正が大きかった作品はありますか?
基本的には修正はきかないですし、きかないものとして作っています。
そういった枷ではあるので、基本的にリリース後に修正を出したことは(印刷ミスなどを除いて)過去にほとんど無かったかと思います。
先ほど話にあげた『四畳半ペーパー賽系』などは、一旦パイロット版としてリリースして、半年後にルールをブラッシュアップして正規版を出していますし、初版時に良くなかったコンポーネントの質を2版時に変更したり、といったことはあります。
ただルールそのものを変更しますというような対応は、僕はやったことがないですね。
商業のTCG界隈では割と頻繁に禁止カードとか出たりしますが、ボードゲームではなかなか難しい印象です。
アナログゲームも他のコンテンツと同じく完成後の販売におけるプロモーションはとても重要のように思います。
ハレルヤロックボーイさんが行っているプロモーションはどういったものがありますか?
また、アナログゲームを販売するまでの苦労話などありますでしょうか?(※今となっては笑い話のエピソードがあればお願いします)
うちは本当にXとゲームマーケット公式サイトへのポスト、あとはイベント前の試遊会への参加ぐらいしかありません。
Twitterでの宣伝が強かった時代が終わって、今ボードゲームの業界はみんなどうやってPRすればいいのかわからなくて困っている人が多いんじゃないかと思うんですよね~。僕も知りたい!
苦労話……ハレルヤロックボーイとしての1作目が『DEKU』というゲームなんです。ゲーム内容は割愛しますが、このゲーム、とにかく箱がでかい。ビックリするほどでかい。購入したお客様に怒られるくらいでかい。
前身サークルでもそこまでサイズの大きいゲームを作ったことがなくて想像できてなかったんです。大きいゲームは運ぶのが大変ということを…。
実際イベント会場に配送する段階になって、160サイズというビッグサイズなダンボールでも『DEKU』は4個しか入らなかったんです。4デク。それを10箱送って40デク。
当時の送料でも、160サイズのダンボールだと2000円くらいはしました。それだけで1デクにつき500円。片道です。もし売れ残ったらさらに500円かかるわけです。細かくは覚えていないですが、結局当日は半分近くを自宅に送り返したと思います。
二度と箱の大きいゲームは作るまい、と心に誓いました。
……これ、質問の意図する「苦労話」と合ってますかね?(笑)
ハレルヤロックボーイさんがこれまで制作したタイトルの中で一番手ごたえを感じたタイトルはどれになりますか?その理由はユーザーからの反応だったりでしょうか?
ハレルヤロックボーイではなく、前身団体の大気圏内ゲームズ名義になるのですが『聖杯サクセション』というゲームがありまして、海外で『District Noir』というタイトルで販売されており、日本版として『暗黒街の二人』として再リリースされています。
何年か前にフランスの年間ボードゲーム大賞アズドール(As d'Or)で最終ノミネートまで残り、フランスではだいぶ話題にしてもらえて売上もありました。
ハレルヤロックボーイとしては、今のところ『ゴーアウトガール』でしょうか。
大富豪にキャラクター要素と、脱落の仕組みが入ったゲームで、売上自体も良かったのですが、過去のゲームと比べて、圧倒的にユーザーの方からの反応が良く、手ごたえを感じました。
今後、『コンダクターズ』がここに続くと嬉しいです。
ハレルヤロックボーイさんのタイトルは新規購入者が多いのでしょうか?それとも継続して購入する方が多いのですか?ユーザーの皆さんから、「ハレルヤロックボーイさんの作品は●●ですね」と言われることが多いですか?(※ユーザーの反応で多いものは?)
普段は継続ユーザーの人が多い体感ですが、今回の『コンダクターズ』は、だいぶ新規の方が多かったんじゃないかと思います。
新規の方に継続的に買ってもらえる=ファンになってもらえるよう、頑張りたいです!
うちのゲームについての印象、覚えている中だと「悩ましい」と言われたことがあります。悩ましさ、ジレンマはボードゲームにおける僕の好物なので、自分のゲームでそれを言われたときは嬉しかったです。
次はゲームマーケット2026 の秋が既に準備期間に入っています。
2026年、ハレルヤロックボーイさんが目指しているコンセプトを教えてください。
また2026年以降はどういった内容を手がけていく予定でしょうか?
Xでもポストしたのですが、ここのところは「最近のゲームマーケットのユーザーに向けて作ってみよう」という意識で制作していました。それまでは特殊効果のあるゲームや、ストレートなファンタジーテーマや女の子キャラメインのゲームのようなものは避けていたのですが、『ゴーアウトガール』というゲーム以降はそういう意識でゲームを出してみようと思って作っていました。
そもそもそれが「最近のゲームマーケット向け」である認識自体が歪んでいるとは思うのですが(笑)、実際それが正しくても正しくなくても、今まで自分がやっていなかった領域に踏み込んでやってみようと思っていたんですよね。そしてできれば「ゲムマで大ヒットするゲームを出したい!」と考えていたのですが、やっぱりそんな簡単にうまくはいきません(笑)
とはいえ、『CONDUCTORS』で満足できたというか、こういうことがやりたかったということを一通り終えた感じがあるので、一旦元のスタイルに戻ってゲーム作りしていこうかな、と考えています。
そもそも僕がボードゲームに初めて触れてボードゲームを好きになったころ、大好きだったゲームたちは言語依存がなくて、海外のゲームだけど、言葉がわからなくてもルールさえ知っていればそのまま遊べる。頭を悩ませる要素と、プレイヤー同士の駆け引き、そしてほど良い運の要素がある……そんなゲームたちでした。
業界ではいわゆるユーロゲームとかドイツゲームとか言われているものですが、そういったものにまた正面から向き合っていきたいです。
かといって、ここ数年で出したようなテキストのあるゲームはもう作らないとか、そんな極端に決めるわけじゃなく、縛りを入れずにやっていきたいなと思っています。
イベント出展などについて
アナログゲームの出展についてお聞きします。ハレルヤロックボーイさんはイベント出展に関して参加する際に決めていることはあるのでしょうか?
ゲームマーケットは何も考えずに申し込んでいます。
それ以外のイベントについては、日程のタイミングや距離などでその時々に決めています。
ただなるべく色んなイベントに参加していきたいなとは思っています。
もともと遠出したりするのが億劫な出不精ではあるので、地方のイベントとなると、もはや旅行も兼ねているところがあります(笑)
各地でイベントも増えてきましたが、イベント出展はユーザーとコミュニケーションが取れる機会として貴重なのでしょうか?
ゲームマーケットが巨大化して販売一辺倒になりつつあるので、それ以外のイベントではむしろお客様や他出展者、現地の方々とゆっくりお話できたりすることが多いですね。
ボードゲームのイベントでは試遊ができることも多いので、自分の作ったゲームをイベントに遊びに来た方と一緒にプレイするのは、極上の喜びでもあります。
アナログゲームの販売は基本ネット販売が主流なのですか?
ネット通販はイベント出展で実際にタイトルに触れてみた方が多いのでしょうか?
ネットが主だと感じています。
イベントでタイトルに触れた方というより、事前の宣伝やイベント後のSNSでのゲーム感想による口コミで興味を持った方が、後から購入している印象です。
「ゲームマーケットに行けないのですが通販の予定はありますか?」という質問は、新作を出すたびに結構聞かれますね。
通販サイトには色んなサイトがありますが、ハレルヤロックボーイさんが通販サイトで活用されているサービスの決め手は何でしょうか?
今のところうちはボドゲーマさんとBOOTHしか使用していないです。
ボドゲーマさんは毎回ずっと委託していて売上の実績もあるのと、BOOTHは単に自分たちからの直の販売チャンネルが欲しくて作りました。
製作者さんによってはAmazonを使っていたり、各種ボードゲームショップに卸していたりすると思うのですが、自分は営業努力が足りず、そこまで手が回っていません。
本当は色々やったほうがいいです!(笑)
他社さんの事例でも良いのですが、「あー、これはうまいな」と感じたプロモーションや施策、販売方法などはありますか?
百貨店やブランドで昔からある手ではありますが、ゲームマーケットで巨大な「オリジナルショップバッグ」にゲームを入れて購入者に渡しているのを見て、「あ、いいなー」と思いました。
ゲームマーケットの会場のような閉鎖空間だと、大きな目立つバッグを持っている人が常に行き交って、自然と「あのバッグ何のゲームだろ?」と気になります。すごく効果的だなと思いました。
今はゲームマーケットでも当たり前の光景になっていて麻痺していますが、最初に見たときは衝撃的だった気がします。
イベント出展において、まだまだチャレンジしていきたい施策などありますか?
机の上の使い方の最適解が、まだ見つけられていない感じがあります。もう何十年やってんだって感じですが(笑)
特にゲームマーケットは前回からすべての出展プランでゲームの試遊が可能になったので、机上の配置をうまいことやって、見ながら遊べるような環境を構築できるようになればいいな、と思っています。
ハレルヤロックボーイさんの今後の展望などについて
ハレルヤロックボーイさんが気になっているジャンルや、いつかは挑戦してみたいなというコンテンツはありますか?(例えば、デジタルゲームや小説など。あるいはボードゲームのようにガジェットがたくさんあるものなど)
小説や漫画、それこそ音楽やアイドルなど、興味があるジャンルはいっぱいありますが、自分が挑戦するとしたらそれらはすべてボードゲームの中で挑戦したいな、と考えています。
なのでむしろ、そういったものと融合したボードゲームを作ることはしてみたいな、と思います。小説を読むことに意味があるゲームみたいなことなのか、コラボみたいなことなのか、どうなるかわからないですが。
質問の意図に沿って別のジャンルでのチャレンジということだと、これも少し毛色が違うかもしれませんが、メディアでしょうか。
ボードゲーム業界にはメディア、批評が足りていないと思っています。雑誌でもWEBでもラジオでもYOUTUBEでも、媒体は何でも良いのですが。
でも自分がゲームを作っているうちはなかなかそっちには行きづらいので、ゲームを作りたくなくなったら考えようかなって感じです。
ハレルヤロックボーイさんは今回のコンダクターズでキャラクターデザインもキャッチになったと思いますが、今後チャレンジしていきたい企画はありますか?
まだ何も決まっていないのですが、せっかく『コンダクターズ』で魅力的なキャラクターを描いてもらったので、同じキャラクターを使ったスピンオフだとかコラボだとか、何かできたらいいなとは思っています。
スケロクさんに何も話はしておらず、今勝手に思ったことを言っているだけです(笑)
最後にハレルヤロックボーイさんの作品ファンやまだ購入されていない方々も含めてメッセージをお願いします。
ここまで長々と読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。
少しでも興味を持っていただけたら、ハレルヤロックボーイのゲームを遊んでやってください。
そして、うちのファンだという奇特な皆さん、いつもありがとうございます。これからも見捨てないでください!
今回、こっち屋さんに続いてハレルヤロックボーイさんに突然のインタビューをお願いしました。
アナログゲームのクリエイターさんは文章がとにかく上手い!やはり説明書やルール作りなどで文字に触れる機会と伝えることが多いからでしょうか。ありがとうございました!
これからもCi-enでは色々なクリエイターを紹介していきますのでお楽しみに!
(インタビュアー:スミダ)