【第20回】世の中で活躍するクリエイターと対談!(ゲスト:こっち屋)

Ci-enで活躍する様々なクリエイターとCi-enのプロデューサーが対談する「クリエイターピックアップ」20人目のゲスト対談配信!

20人目のクリエイター対談ゲストは、アナログゲームクリエイターのこっち屋さんです!今回はテキストインタビューをお送りします

こっち屋

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自己紹介

まずはこっち屋さんの紹介をお願いします。

三十路に入って人生を考え直し、乗り換えるなら今しかない!とサラリーマンを辞めて今に至ります。創業13年こっち屋です。
思いつきレベルでもすぐ形にできるアナログゲームに魅力を感じ、アイデアが続く限りは続けようの精神でここまで来ました。


最初にお聞きしたいのですが、こっち屋さんが活動されている領域は、アナログゲームという括りで良いのでしょうか?

この辺の括りってフワフワしてますよね。
最も広い括りとしては「アナログゲーム」でお間違いないです。ただアナログゲームと言うとTCGやTRPGも含んでしまうため、そこを含まないニュアンスを前に出したい場合は「ボードゲーム」と言います。
しかしボードゲーム原理主義者は「ボードの入ってないボードゲームはボードゲームに非ず」とうるさいので「カードゲーム」を名乗ることもあります。
私個人は「机の上で遊ぶのなら机というボードを使っておる!机の上で遊べば全部ボードゲーム!」思想なため、ボードゲームでゴリ押すことにしています。
結論としましては、最も安全な呼称が「アナログゲーム」です。


こっち屋さんが、アナログゲームを制作するようになったきっかけを教えて下さい。

ITエンジニアとして三十歳まで働いていたのですが、過労で鬱手前まで行きまして…。残りの人生ずっとこれ?保たへんで?となっていた折、会社の同僚にボードゲーム会に誘われ、元々TCG(Mtg)は嗜んでいたこともあり、のめり込んでいきました。

そんな中、「面白い同人ボドゲがありますよ」とカナイセイジさんの『ラブレター』を紹介され、同人ゲームという世界があることを知りました。
そこで(なまじプログラムを知ってる分、デジタルゲームを一本作ることに比べれば)これなら私にもできそう!とその時に思ってしまって道を踏みは……転機になりました。


これまでこっち屋さんが制作したアナログゲームのタイトル数を教えて下さい。こっち屋さんが制作されたタイトルはアナログゲームの中でもどういった種類になるのでしょうか?

自費出版49、企業産3、ゲーム製作本4です。
正体隠匿、大富豪系、デッキ構築、ハンドマネジメント、その他もろもろ出していますが、全体に共通することとして「カード主体で完結している(厚紙ボードのない)」ゲーム、俗に『小箱ゲーム』と呼ばれるものばかり作っています。
箱の大きなゲームは在庫置き場・輸送ともに非常にハードルが高いためです。

商品紹介
ことりファイト!

アナログゲームの制作について

こっち屋さんがアナログゲーム制作として最初に作ったタイトルを教えて下さい。
最初のタイトルについて、今の印象はどういったものでしょうか?

東方PACTという東方二次創作ゲームになります。
「こっち屋」というサークル名は東方の東風谷早苗さんから来ているのですが、「常識に囚われてはいけない」という名言が会社員を辞める背中を押したとかなんとか。当初は東方の二次創作ゲームを作って生きていくつもりでしたが全く原価回収ができず早々に諦めました。

この頃は絵も自分で描いていたのですが、今見ると箱絵もカードデザインもとにかくダサい…ゲーム内容もだいぶアバウトな部分があり、「こんな感じのゲームにしたい」に対して全く技術が追いついてない、右も左も分からずに作ってる感じが初々しいですね。


最初のアナログゲームはどのように販売されたのでしょうか?アナログゲームの販売流通も交えて教えて下さい。またアナログゲーム販売を最初行う際に行ったPRなど教えて下さい。

この頃は委託販売も整備されておらず、ひたすらイベント販売で百部を売り切りました。

ゲームマーケットおよび東方系の同人イベント(例大祭、紅楼夢、名華祭)でしたが、計7回出て完売なので余裕の赤字でした。東方系のイベントは「同人誌」を買いに来てる人が多く、ゲーム、ましてやアナログゲームは凄いアウェーでしたね。
売れて10部とかの世界でこれでは続けられないと悟りました。隣りで飛ぶように売れていくスリーブ屋さんを死んだ魚のような目で見ていましたね。

PRに関しては十年以上前のことなのでまるで覚えてないですね…当時のTwitterに「作りました!」「イベント出ます!」だけ投げて終わりだったと思います。というか、昔のボドゲ界隈はそれで十分みたいな空気感だったんですよね。牧歌的な時代だったので。


今だったら「もう少しこうできたかな」という現在の自分からみてフィードバックはありますか?

対応人数が多ければ多いほど喜ばれると当時は思っていたため、無理に8人対応にしたことで内容物が無駄に増えてしまっています。
また、原作シューティングの命中/被弾を表現するにあたってダイスゲームを採用しましたが、冷静に考えるとダイスを振ることにそこまで原作再現感はないので、今作るならカードだけ、最大プレイ人数4人の例えばデッキ構築ゲームにすると思います。
東方のTRPG(幻想ナラトグラフ)の作りも今は知っているので、弾幕部分の判定はそれをかなり参考にすると思いますね。


こっち屋さんのアナログゲームの作り方(工程)を教えて下さい。

一般的かどうかはわかりませんが、私の作業はほぼエクセルに集中しています。

工程としては…

①企画コンセプトを決める。「こういうゲームにするぞ」「こういう部分を魅力として打ち出すぞ」という実質的には意気込みを書く
②その狙いに必要そうなゲームメカニクスを書き出して、試してみたいものや最近の潮流から大枠を決めていく
③カードに必要そうなデータをエクセル表で作り、内容やバランスを机上(脳内)デバッグ。面白いかはともかくゲーム的な動きはしそうだと判断すればテストプレイ用の印刷シート作成に移行。
④以降は一人回し&テストプレイを通じて調整を繰り返す

です。


こっち屋さんが得意な制作部分はどこですか?(ルール作り、デザイン発注など)

デバッグ/バグ潰しですね。エンジニア時代から他の人よりも得意でした。「こういうルール、こういう効果にすると次に何が起きるか」を先読み、頭の中で検証するのが得意です。
脳内でゲーム挙動をシミュレーションするのはゲームクリエイターなら誰でもできることだと長年思っていましたが、意外とそうでもないというのを知ったのはもっと後になってからでした。


こっち屋さんが制作の中で苦手な部分はどこになりますか?

これはもう圧倒的に「プロモーション」ですね。あるいは営業と言ってもいいかもしれません。
個人で活動するということは営業や広報も全部自分でやることになるのですが、「俺を見て俺を見て」と自ら前に出るタイプでないとここが本当に辛いです。

厳密なゲーム制作作業に限定するなら「説明書」作りですかね。
自分の頭の中ではもうまとまってる情報を改めて書き出すのを面倒に思うのか、毎回とにかく腰が重いです(笑)。
あと最近は説明書にも見栄えを要求されるようになってきて、記述内容に不備がないに加え、見やすい・ワクワクさせる──早く遊びたいと思わせる導線の役割まで求められます。説明書というより「パンフレット」を作ってると認識した方がいいのかもしれません。


アナログゲームを制作するにあたって制作者としての悩みはどういった部分にありますか?

利益が出づらい構造です。
大量に作って原価を下げなければまともな収益は見込めません。ところが、1人で何パックも買うTCGと比べ「1人が買えば複数人遊べる」ボードゲームは真逆の構造で、数を伸ばしづらいのです。勝負をかけようと強気に刷って、それが売れなかった時は一発で経営不振に陥ります。
運良くスマッシュヒットが出せても、デジタルゲーム(特に現代だとSteam)と違って量産にも時間が掛かるため、もたついている間に次の新作にブームが移ってしまう、なんて事態もありえます。中国工場で生産+船便プランだと長いと5ヶ月掛かります。
とかくリスクに対してリターンが釣り合っておらず、正気の人間がやる仕事ではないですね。


アナログゲームを制作していくにつれて、制作ペースは今と変わりませんか?

そうですね、ずっと年間4作以上、春夏秋冬ペースで出し続けています。
とはいえ、ゲームマーケット大阪が2021年を最後に無くなってしまい、ゲムマ春と秋合わせで出すのであれば年2作で事足りるんだよなぁとは近年ずっと思っています。
結局「同人ゲーム」にスポットが当たるタイミングってゲムマの時期なので。ゲームは年2作にペースダウンして、他の時期は別のことをするのも考えていきたいです。


一つの作品が完成したとして、次はどういった作業が発生するのでしょうか?

プロモーションですね。一通り書き出してみたことがあるのですが、昔に比べ本当に増えました。
・SNS告知(特にX)
・ゲムマ公式ブログに登録
・ボドゲベアに登録
・フォアシュピールほか体験会参加
・委託/卸売手配(イエサブ、ボドゲーマ、BOOTH等)
・チラシ作成
・ブースレイアウト検討
・リポストキャンペーン
・ルール公開(特に画像4枚の簡略ルール紹介)
・レビュアーやYoutuberに紹介依頼
・プレスリリース(Tgiw、AUTOMATON等)
・内容紹介動画、PVをつくる
・インスタ、Tiktok
・BGG登録

などざっと並べてみました。
とはいえ、上記すべてをやろうとするとゲームを一本作るのと同程度かそれ以上の時間が取られてしまいます。
黎明期は「Twitterに告知する」「イエローサブマリンに委託する」の2作業だけで済んでたんですよ!

アナログゲームの制作~販売 について

こっち屋さんがこれまで手がけたアナログゲームについてですが、最初に企画を立ち上げるときはどういったイメージから作り上げるのですか?(アイデアがどこから生まれてくるのですか?)

私にとってゲーム作りは、人は何を面白いと思うのか・喜ぶのかを調べる、つまり「人を知るため」にやっている向きも強くて、ちょうど人を知るために旅をしてるフリーレンみたいな感じですね。
インターネットにたくさんいる自認フリーレンおじさんの1人です。
なので、脳は何を面白いと感じるのか仮説検証から組み立てることが多いです。

実際のところは、他のゲームを遊んで見て改善点を考える形で取り組みます。
面白ければ「面白さの核はこの部分で、じゃあそこを抜き出して転用してみよう」や、逆に面白くなければ「なぜ面白くないのか、どうすれば面白くできるか」考えます。
ゲームを作る側だと良作・駄作どちらに当たっても損をしないのはお得だと思います。
特に「概要を聞いて面白そうだと思ったけどやってみたら面白くないゲーム」は最高の教材と言えます。あとは面白さを整えてあげるだけで即戦力になってくれますからね!


アイデアを形にする際、会社員だとコストと売上を天秤にかけることが多いですが、ゆお様も販売数だったり、コストは企画のタイミングで想定されていますか?

メチャクチャ考えます。赤字では続けられないですからね。
一方、どうしても最大公約数的に「収益化しやすい一定範囲内」にゲームを押し込めてる面も否定はできず、例えば本来チップでやるべき部分をカードにしてしまうといった歪みが見られます。そういった貧乏くさい姿勢は透けてしまいますから、良い状態とは言えません。
実コストの割には豪華に見えるような施策には常に飢えていますね。


アナログゲームの完成は入稿になるのでしょうか?
デジタルゲームは完成した後もデバッグできますが、アナログゲームはやはり修正がきかないのでしょうか?

ゲームとしてはそうなりますが、先に述べた通りその後すぐプロモーション合戦が始まりますから、最近はぜんぜん終わった気にならないですね(笑)

最近のデジタルゲームは一度出した後もパッチで修正されるのが当り前となっていますが、アナログゲームも一応修正は可能です。文章改訂、「エラッタ」を告知する形ですね。ルールであったり、カードテキストを読み替えてねとお願いする。場合によっては差替えカードを配布することもあります(お金に余裕のある所でないと無理です)。

牧歌的な時代はエラッタによってゲームの評価が上がり、売上が好転した事例もありましたが、娯楽競争の厳しい昨今においてはまずありえないストーリーになってしまいました。
初動で躓けばその後どれだけテコ入れが入っても評価を取り返すことは難しく、そういう意味では「アナログゲームは出した後の修正がきかない」という認識で現代は問題ありません。つらい。


アナログゲームも他のコンテンツと同じく完成後の販売におけるプロモーションはとても重要のように思います。アナログゲームを販売するまでの苦労話などありますでしょうか?

私はプロモーションをだいぶサボってる側になりますね…最近になってようやくリポストキャンペーンをやるようになったくらいです。プラットフォーマーにお金を払ってプロモーションを掛けるよりは、遥かにコスパ良く露出を増やせます。
ただ、この辺りもプラットフォーマーからすれば面白くない状況でしょうから、アルゴリズムを変えていつ対策されてもおかしくないなとは思います。

販売関連の苦労話だと作るのと同じくらい悩ましいのが「再版」です。
早々に売り切れた、じゃあ再版しようと普通はなりますが、安易に再版するとそこからピタッと売れ行きが止まって丸々売れ残る、なんて恐ろしい事態が起きたりします。「再版でコケたせいで初版の利益が吹き飛んでしまった」なんて笑えない話が普通にあります。私も過去何度かやっています…。
あまりにもバカバカしい事なので、絶対に再版はしないというスタンスのメーカーやサークルさんもチラホラおられます。

こっち屋さんがこれまで制作したタイトルの中で一番手ごたえを感じたタイトルはどれになりますか?その理由はユーザーからの反応だったりでしょうか?

トゥルーマリンショーです。それまでの集大成的な作りにできたと自負しています。
勝手にクロスオーバーをするという二次創作らしい、二次創作でしかできない世界観にできました。「元々は二次創作で活動していきたかった」と述べましたが、VTuberブームにも乗っかってかなりの数を出すことができました。
デッキ構築というジャンル自体が割と外さない、安定した面白さのあるジャンルなのですが、それに加えて美少女を集めていく形式は数々のソシャゲでも実証済みの喜び体験で、元ネタを知らない人でも楽しめる・ゲームをきっかけにホロライブを見るようになった等、二次創作として胸を張れる数々の声を頂いています。

商品紹介
トゥルーマリンショー
トゥルーマリンショー2
トゥルーマリンショー3
トゥルーマリンショーX
トゥルーマリンショーR

こっち屋さんのタイトルは新規購入者が多いのでしょうか?それとも継続して購入する方が多いのですか?ユーザーの皆さんから、「ゆおさんの作品は●●ですね」と言われることが多いですか?

ちゃんと調べてはいませんが、体感半々くらいかなとは思います。
ユーザー様からの反応は「遊びやすい」「テーマとシステムがマッチしている」とよく言われます。
ここは自分的にも力を入れているところなので、そう言って頂けるのはとてもありがたいですね!


2026年に、こっち屋さんが目指しているコンセプトを教えてください。特に決まっていなければ、2026年以降はどういった内容を手がけていく予定でしょうか?

嬉しい質問ですね!ちょうどそういう話がしたい所でした。
去年2025年は反省点が山盛りでして、かなり「一般向け」を意識して作っていたのですが結果は芳しくないまま終わりました。そもそも一般向けを意識したのも数を出すためで、大きく売れるものが1つ出れば──特に定番商品化できれば、後々の展開が相当ラクになる、ある程度好きなように作れると考えたためです。また、周囲で成果を出すデザイナーが相次ぎ、置いていかれてる焦りもありました。
しかしやってみて分かったことは、ちょっと頑張った程度でどうにかなるほど一般向けは生易しい環境ではないということです。誰もが、特に企業が、遥かに多いリソースを投じてしのぎを削っているのが一般向けゾーンであり、そこに個人で乗り込むならそれこそ「人生を賭ける」覚悟がないと太刀打ちできるものではありません。

トレンドを意識だとか、SNS映えだとか、ポリコレ配慮だとか、長く作ってる内に身についたお利口なノウハウは、役に立つどころか芸の幅を狭めてしまいました。
理詰めで作ったゲームはキレイに整うけれど”熱”を与えることができない。良い意味でバカバカしい、頭がどうかしてると言われるくらいでないと、人を熱に浮かすことなどできはしない。データキャラじゃあ主役にはなれないんです。

商業的判断で出来ることは企業にやらせておけば良い。同人は、個人戦は個人にしかできないことをやるべきだ、と悟りました。なので2026年のコンセプトは個人にしか、いや、「私にしかできないことをやる」を目指していきます。


タイトル について

今回、Xで「エチエチスキンデスマーチ」の内容をみて刺さり、ご連絡させていただきました。完成を楽しみにしています。
昔、ソシャゲの運営をやっていたので、キーワードが運営側の心の叫びでした。
こっち屋さんがアナログゲームを企画する(立ち上げる)上で大事にしていることはありますか?

ありがとうございます。やはり拡散されるにあたってキャッチーさは重点を置いてます。ゲームのシステム部分でキャッチーさを訴求するのはむずかしいので、必然的に世界観やキャッチコピー、タイトルでアピールすることになります。

世界観アピールはギャップを効かせるのが手っ取り早く、例えば「かわいい見た目で内容がハード」だとちいかわになり、「ハードな見た目で中身はギャグ」だと北斗の拳イチゴ味になります。私は性格的にブラックユーモアが向いてるようで、前者のスタイルがやりやすいですね。

あと個人的にタイトルは死ぬほど重要だと考えています。ユーザー目線で一番最初に触れる場所/一番触れる機会の多い場所ってタイトルになると思うので。ところがボドゲ業界は海外著名ボドゲが軒並み「カタン、カルカソンヌ、プエルトリコ」みたく、単語や地名1つだけで売れてしまったせいか、皆関心がうっすいのです。タイトルを変えただけで売上がどれだけ変わるか、みたいな対称実験データがないのも大きいと思いますが。
経験則的には、タイトルに成功したゲームは結果も成功する傾向が強くあります(逆にタイトル失敗したな~というものは結果の方も⋯)。
上手くいったパターンは著名タイトルにあやかってますね。例えばトゥルーマリンショーは「トゥルーマン・ショー」から、エチエチスキンデスマーチは「チキチキマシン猛レース」にあやかっています。
良いタイトルは良いリズムで構成されていることが多く、そのリズムを踏襲することが成功の近道と考えます。

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エチエチスキンデスマーチ

今回、3タイトルのみになって申し訳ないのですが、「自撮人狼」「おかしなパティシエ」「でまかせドラゴン」をプレイしてみました。
毎回説明書の冒頭ストーリーが素敵です。ワードセンスが光っていて。
箱の裏書のゲーム説明も短いワードでしっかり伝える形ができていて、短いワードで伝えるのが羨ましいです。(こっち屋さんのXもワードセンス良いですね)
文字で色々説明するのは得意(好き)な方ですか?
あと少しエチエチ路線も好きなコンセプトなのでしょうか?

遊んで頂き大変光栄です。原理を解き明かせば百戦危うからず理論で言語化には力を入れてきました。一方、理屈では人を動かしきれないことも痛感したわけですが…しかしその甲斐あってこうしてインタビューを頂けたわけですから十分報われたと思います。
説明書にせよカードテキストにせよ、基本的に「説明」というものは誰にとっても退屈で、前のめりにさせないと聞いてもらえないと認識しています。掴みを良くするために言葉選びは何度もやり直して声に出して読み上げてますね。

エロは大好きですね!「エロなくして人は生まれず、生は性であり聖である」の信念で生きています。隙あらばエロを出して行きたいとは考えていましたが、今の時勢、一般向けを意識するならどうなんだろう、と懊悩してきました。去年までは中途半端さが拭いきれませんでした。2026年はそこも吹っ切れていきたいと思います。

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おかしなパティシエ
でまかせドラゴン

ルールを一枚にまとめるのが素晴らしいです。やはりルールを一枚にまとめる作業はすごく時間がかかるところなのでしょうか?

説明書を書く作業が好きじゃないからとにかく短くしたいというのが第一にありますね(笑)。説明書は短ければ短いほど良いと思っています。
文章量が増えれば増えるほど確率的に誤字脱字が増え、誤読を誘う表現や記述漏れが生じます。短ければ書くのも楽、読むのも楽、不確実性も減る、で良いこと尽くしです。

このスタンスは初期の頃から一貫してるのですが、最近はイブインク(他サークル)さんがこれをもっと徹底していて舌を巻きました。
実を言うとただ短いだけでは、それはそれで誤読を誘う場合があるのです。例えば「カードを1枚引き、手札を1枚捨てる」という単純なテキストも、厳密に言えば「今引いたカードを捨てても良いのか?引く前の手札から1枚捨てるのか?」特定できません。
文章を切り詰めるにあたっては、前後の文脈から直感的もしくは常識的に読み取れるように誘導灯を振る必要があります。

なので、冒頭の「時間がかかるか」で言うと、最初から1ページに収まる程度のルール量にする想定で作るため、特別そこに時間を取られてる意識はありませんが、誤読なく伝わるかの確認はテストプレイ必須なため、そこは時間がかかりますね。


アナログゲームにおいて、デザインやルール設計など色々とありますが、カード一枚にどのような情報を入れ込んでいくか(デザインも含めて)というディレクション的な役割はとても重要だなと思いました。(例えば、おかしなパティシエはカードはシンプルだけど、動きがあります)
こっち屋さんはかなりディレクションは得意ですか?作りながらイメージも完成していくのでしょうか?

意思決定という意味でのディレクションは得意だと思います。
自分の中で優先順位が決まっているからで、「試してみたいことを試す」「ちゃんと面白い(興味深い/愉快/興奮の三本軸)部分がある」「収益の見込み」の順ですね。

ただこれはあくまで活動が個人で、責任はすべて自分1人で負うことが分かっている=言い訳の余地がないからで、もし色んな人間関係が入り始めれば私も優柔不断になっていくと思います(笑)


先ほどデバッグは得意とのとこでしたが、こっち屋さんはアナログゲームのデバッグ的なものはどうされているのでしょうか?

プログラム的な瑕疵は脳内デバッグ時点で割と弾いています。ただ想定漏れはいつでも起きるので、残りはひとり回しでひたすら潰します。ゴレイヌのように「オレが3人分になる…」と言いながら3人になったり多い時は6人になったりしています。
ただ、人狼やポーカーのように心理戦が絡むものだと複数人の心理的な掛け合いまで再現できないのでここは実際に人を入れて見ないとわからないですね。


イベント出展などについて

アナログゲームの出展についてお聞きします。こっち屋さんはイベント出展に関して参加する際に決めていることはあるのでしょうか?

ボードゲームイベントとして最大規模のゲームマーケットには必ず参加しています。それ以外はやはり交通費が最大の経費になりますから、関西近隣であれば、といったところです。ただ、もちろん遠出してでも新規開拓で今後につなげる、という発想も持つべきかもしれません。
しかし遠いと交通費もさることながら体力的にもしんどいので二の足を踏んでるのが現状ですね。近場のイベントでも結果的に赤字になって、「これは広告宣伝費…」と自分に言い聞かせる日もあります。


各地でイベントも増えてきましたが、イベント出展はユーザーとコミュニケーションが取れる機会として貴重なのでしょうか?

そうですね。特に昨今の情勢を踏まえると「作者自身を売り込む」時代になっていますから、ますますユーザーとのコミュニケーションは重要なものになっていると思います。

とーこーろーがー、私自身はそんなに積極的に人に話しかけるタイプではないため、機会を活かせているとは口が裂けても言えない状況ですね。クリエイター同士であれば作り方・見せ方・売り方の話でいくらでも喋れますが、お客さんと何を話せばいいのか正直よくわかってません。逆に誰か教えてほしい。


アナログゲームの販売は基本ネット販売が主流なのですか?毎回取り扱って頂く際の決め手はイベント出展で実際にタイトルに触れてみてになりますか?

1つのブース対面で売り切れる数に物理的限界がある以上は、人気サークルになるほどイベント以外での販売総数の方が多くなります。あとはファン層が地域密着か全国津々浦々かによっても変わりますね。「主流か?」に関しては人に依るという答えになってしまいますね。

委託販売が隆盛を誇っていた時期は何でもウェルカムで取り扱って頂けたのですが、昨今は例えばイエローサブマリン様は一般の受付を停止しています(商業もしくはインボイス対応してるサークルのみ対応)。どのショップも取り扱い基準として現在はかなり「実績」を見られてるとは感じますね。新規サークルさんには厳しい時代だと思います。
実質的に個人売買なBOOTHであればそういった審査はありませんから、皆さんまずはそちらから始める傾向にあります。


こっち屋さんのサイトですが、かなり以前から使われているのかなと思いました。ずっと続けていらっしゃるのですか?

ここはそんなに深い事情はないですね…本当はホームページを持つべきなんですが、レンタルサーバーも幾らかお金が掛かる、無料のページはいつサービス終了するか分からない、ということで「当面ブログでいいや。情報掲載機能としては十分だし。儲かるようになったらホームページに移行しよう」と言って、結局そのまま今に至るという状態です。


他社さんの事例でも良いのですが、「あー、これはうまいな」と感じたプロモーションや施策、販売方法などはありますか?

ナナカードゲーム(ナナトリー)ですね。
実際に7が重要な意味を持つゲームなのですが、7のカードが箔押しになっていて、一点豪華主義としてコストの掛け方が上手いと感動しました。もし全部のカードを箔押しにするとコストが大変なことになりますし、ありがたみも薄れてしまいます。
ワンポイントあるだけでも「おっ」と思わせられるので、ゲーム的な誘導としても、PRとしても秀逸です。真似したい!


イベント出展において、まだまだチャレンジしていきたい施策などありますか?

背面ポスターですかね。今どきはみんな設置してるのですが、ポスター自体が嵩張る+ポスタースタンドも大型のものが要るというのもあって導入を躊躇しています。イベントも段々と装飾合戦になってきていて、むき出しの机の上に商品平積みが普通だった時代が恋しいです。

今後の展望などについて

先ほども書きましたが、こっち屋さんのテキストには味があります。結構マーダーミステリーも面白そうだと思いましたが、マーダーミステリーに参加したい気持ちはありますか?

マーダーミステリーはまずテストプレイのハードルが高くてそこが参入障壁になっていますね。まさにひとり回しでは詰めきれない分野なので。
また、どちらかと言うと演劇脚本を作るのに近い分野だと見ていて、物語としての没入・納得が求められます。そういう意味では、現在マダミスで成果を出してる面々はTRPGシナリオで実績のある方が多く、いきなり参入しても通用する未来が見えません。
「なんちゃってマーダーミステリー」みたいなゲームなら作ってみたかったのですが、その分野は「そういうお前はどうなんだ」がもう出てしまいました。


こっち屋さんがマーダーミステリー以外のジャンルで気になっていたり、いつかは挑戦してみたいなというコンテンツはありますか?(例えば、デジタルゲームや小説など。あるいはボードゲームのようにガジェットがたくさんあるものなど)

興味があるのはデジタルゲームになります。
プログラム経験もあるため理論上はできるはず、と考えています。実際最近は様々なボードゲームデザイナー/メーカーがデジタル進出を果たしています。しかしSteam業界ももはや立派なレッドオーシャン。片手間や物見遊山で入る場ではないなとは感じます。

とりあえずローコストで始められるという意味ではいっそ小説を始めるのも一考です。元々は老後に趣味でやろうかなと思っていたのですが、ボードゲームを春秋に絞るなら、夏冬は別のことをやる趣旨に対し程よい規模感と言えます。


こっち屋さんのエチエチ感のあるゲームコンセプトが好きです。今後もエチエチ路線(ToLoveるみたいな感じ)でチャレンジしていきたい企画はありますか?

バニーガールが大好きなもので、過去にもバニーガールテーマのゲームはいくつか出したのですが、今後はバニーガールシリーズとして明確に展開していこうかなと考えています。バニーガールがきらいな人間はこの世の中にいませんからね!(断言)

商品紹介
マーさんのバニーハント
スーパーバニーカンパニー


最後にこっち屋さんの作品ファンやまだ購入されていない方々も含めてメッセージをお願いします。

長く続けていることもあってベテラン扱いされることもあるのですが、見ての通りまだまだ分かっていないこと、失敗していることだらけです。情緒面がマジでエルフ(成長速度が人より遅い)なので、ようやく軸足が定まったところです。十年以上やってまだそこ!

今後は小学校を卒業して中学校を始める気持ちでやっていきたいと思います。そう、中学生ということは思春期真っ盛り。エロ、ご期待ください!


今回、こっち屋さんのXで興味を持って押しかけ的にインタビューをお願いしましたが、文章がとにかく面白い!スタッフ皆で感心しておりました。
Ci-enもコレを機に登録してくださいましたので、みなさんぜひこっち屋さんの文章を楽しみにして欲しいです。
これらもCi-enでは色々なクリエイターを紹介していきますのでお楽しみに!

(インタビュアー:スミダ)

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