【インタビュー記事】クリエイターピックアップ(ゲスト:ファンタジスタ大島店長)

クリエイターピックアップのゲスト対談を編集して、インタビュー記事として投稿します!

音声版についてはコチラ

インタビュー:ファンタジスタ大島店長
(聞き手:Ci-en運営プロデューサー スミダ)

ゲームセンター「ファンタジスタ」は岡山県倉敷市にあり、2002年にオープン。
ゲームセンターはゲームを好きな人々が集まる居心地の良い場所であり、人のつながりを生み出す大切な場所だと語る大島店長の想いとは?


ファンタジスタ大島店長インタビュー

地方のゲームセンターは駐車場の台数が大事

ーまずゲームセンターファンタジスタがある場所はどこになりますか?

大島
岡山県倉敷市の新倉敷にありまして、昔は玉島という名前のエリアだったんですけど、今は新倉敷になるのですが、地名としては玉島になります。岡山県の中ではちょっと外れた場所になるかなと思います。
JR新倉敷駅と国道2号線のバイパスの間に挟まれているので、遠征する方々は遠征しやすいゲームセンターと仰ってくれています。ファンタジスタのある場所に観光目的で来る人はあまりいないので、うちに来る目的で来るって方は多いかなと思います。場所はたまたまなんですけどいいところにあるかなと思っています。


ーファンタジスタを運営されてるのはいつ頃からですか?
大島
2002年の4月6日がオープン日で、今年で23周年になります。

ーもうすぐ四半世紀ですね。
大島
そうです。あっという間に時間ばかり経ってしまって、本当に。

ーファンタジスタをオープンした当時から大島さんが社長というか店長ですか?
大島
そうですね。ウチは個人事業で法人化をしてないので僕は社長ではないんです。社長って呼ばれることはたまにありますけど、うちの社長は猫なので。

ー打ち合わせの時にリモートのパソコン画面に映っていた猫ですね?
大島
そうです。そうです。

ー開業した時からゲームの筐体ってやはり増えているのですか?
大島
開業当時はゲーム機80台ぐらいだったんですけど、今は増えて130台ぐらいになっています。開業当時は格闘ゲームがメインで、僕自身が格闘ゲーマーだったってのもあるんですけれど格闘ゲーム機がほとんどでした。幅広く音ゲーやレンタルでプリクラなども一応入れてはみたのですが、お客様には格闘ゲームの店として認知していただいており、うちもそれを推しています。

ー営業時間は?
大島
12時から24時までです。開店時間が12時なのは一般的にちょっと遅めかなって思っています。普通のゲームセンターって朝10時オープンが一般的なので。
ファンタジスタを開業した当初は10時にしようかなと思ってたんですけど、10時にしたら体力が持たなかったです。12時にしたのが結果的にはまあ良かったです。
割とお客様は朝10時にはもう外に来てることがあるんですが、最近は節電をゲームセンターも結構行ってまして、夕方から開けますとか平日は夕方からとか。それがもうお客様もみんなご存知で「あ、ここは夕方からなんだな」とか営業時間も把握されてて、開店が遅くても苦情は出ないですね。

ーファンタジスタには車でやっぱり来る方が多いですか?
大島
そうですね。もうほぼ車ですね。皆さん1人1台でいらっしゃいます。うちの駐車場は30 台ぐらい入るので大きいんですけど、駐車場いっぱいなのに1人1台だから店内は30人で…。

ーああ、なるほど。
大島
で、さっきゲーム機130台あるって言いましたけど、130台あるけど30人で駐車場は満車、ということがおきます。地方はその辺難しい。だから地方はやはり駐車場のスペースをみんな確保しなきゃいけないです。近隣のパチンコ屋さんとか行くとね分かるんですけど、駐車場がもう何百台も駐車できるほど大きい。やっぱりパチンコ台1台あたり駐車場が1台分ないと合わないんですよね。自転車で来る人もいるでしょうけど、やっぱりごく一部です。

ー大島さんは、個人事業主と仰ってましたが、おひとりでゲームセンターを運営されてます?
大島
そうですね、今は1人で。常にずっと同じ場所にいないといけないってこともないので、事務所でご飯食べたりとか、横になってちょっと休んだりとかしながらです。体をやっぱり休めながら無理しないようにしないとね。年中無休でやってるので。

ー年中無休!?
大島
2002年の開業時からまだ休みを取ったことないんですよ。だからよくネタにするんですけど、今日で何連勤目ですとかって言うんですが、多分もう…8000連勤超えてると思うんで。

ーすごいですね!大晦日ってみんなで年越しするんですか?ファンタジスタで?
大島
そうです。年末年始は特別営業で午前1時まで営業できたりするので。年末年始にわざわざゲームセンターで年越しをしたいって来てくれる人もいます。

ー8000連勤ということは、台風とかでも開けてはいらっしゃるんですか?
大島
基本的に天候とかで閉めることはないです。唯一閉めたのが、コロナ禍の緊急事態宣言期間ですね。あの時はうちも閉めていました。お店にはずっといたので、何かあったら対応できるようにはしてたんですけれど、ゲームセンターは風俗営業になるので、閉めても営業保障が国から何も一切出ない状態で辛かったです。あの時期は仕方なかったのかな思いますけども…。

ファンタジスタの開業は大変だった?

ー大島さんはゲームセンター業界にいきなり飛び込んだ感じなんですか?
大島
うん。結果的にはそうなんですけど。
ゲームセンターをやろうと思ったのは、高校生の時ですね。スト2(ストリートファイター2)との出会いがあったので。割と僕らの世代でスト2の洗礼を受けた人は多いと思います。スト2 で「うわ、ゲームセンターのゲームってすごいな」っていう体験ができました。
最初に話した玉島エリアにはゲームセンターってなかったんです。ゲームコーナーみたいなものはあったんですけどゲームセンターはなくて。ないんだったら自分で作ろうって思ったのが最初です。漠然と将来の夢としてゲームセンターを作りたいみたいなのは高校生ぐらいの時に思ってましたね。

大学生の時は将来的には作りたかったけど、やっぱ脱サラみたいな感じで作ることになるかなと思っていました。内定した企業に入って、そこで10年、20年働いて、お金が溜まったらゲームセンターやろうかなぐらい。そんなイメージです。
大学4年かな。椎間板ヘルニアで入院することになって、タイミングが悪くて就職もできなかったんですよね、その時。
で、リハビリしながらアルバイト…それこそゲームセンターでアルバイトしたりもしたんですけど、その頃に国民生活金融公庫っていうものの存在を知って、新規事業をやる時にはここがお金を貸してくれる。国がお金を貸してくれるって言うんですよね。こんなのあるんだと思って。で、事業計画書を書いて出したら審査に通りました。あれ?じゃあできるじゃんって感じって。だから本当は脱サラでやるつもりだったんですけど、なんか逆にショートカットできたというか。

ーそしたら大学卒業してすぐ起業したってことですか?
大島
リハビリ期間が3年ぐらいあったんですぐではないんですけど。社会に出る前にゲームセンターは開業しました。

ゲームセンターを作るって結構大変で、許可が下りるかどうかっていうのが一番難しいところではありました。
特に場所的要件っていうのが厳しくて、病院から何メートル以内はダメとか、公園から何メートル以内もダメ、近くに学校があったらダメですとか。出せる場所っていうのを調べるのが大変でした。
あと許可を貰うための書類作成は行政書士の管轄なんですけど、地元の行政書士さんに相談に行っても「ゲームセンターはちょっとできないですね」っていうところが多くて受けてくれるとこなくて、結局もう自分でやることになっちゃって。まあ、なんとかできたんですけど、今もう1回やれって言われたらちょっとできないかなとは思います。結構その時は必死でやったので。

今ファンタジスタがある店舗は、本当にたまたまここに入れたんです。
最初は地元の不動産屋で物件をすごい回ったんですけど、なかなかいいのがなくて。もう土地を買って自分で店立てるか、みたいなところまで行ってたんです。そしたら、たまたまファンタジスタのある場所はレンタルビデオ店だったんですけど移転するっていう話になって、居抜きでどうですか?みたいな話が来てここになりました。
そのレンタルビデオ店、僕が学生時代バイトしてたんですよね。だからビデオレンタルの会社の上司の方と会った時に顔見知りの僕が出てきたので、「君か!?」みたいな感じでびっくりされました。今、僕がいつも座ってる場所っていうのがアルバイト時代にもいた場所なんです。アルバイト時代に撮った記念写真が1枚か2枚あるんですけど、それは自分がゲームセンターを営業しているときにいつもいる場所で撮ってる写真です。

ゲームセンターの業務って?

ーゲームセンターの業務を教えて下さい。
大島
一番メインになる店舗業務は筐体のエラー対応や最近ではキャンペーンのグッズ交換などの接客が主になると思います。一日何もトラブルがなければもうお客様と全く会話がないまま終わる日も結構あります。

ー筐体のエラー対応も自分でされるのですか?
大島
そうです。壊れるのは辛いんですけど、ただ壊れると言っても、どこが壊れてるかっていうのを調べないといけないんです。それを見つけるのが一番大変ですね。どこが悪いかわからないと修理できないし、部品の手配もできないので。画面が壊れてるのか、ゲームの基板が壊れてるのかとか、回線がおかしいのか、電源がおかしいのかとか、どこが原因なのかっていうのはパッと見で分からないのですが故障の多いパターンっていうのはあるのでそこから潰していくのですけれど…。
壊れやすい場所っていうのがやっぱりあったりするので、「こういう故障したことありますか?」と他のゲームセンターと情報交換して、それはここが怪しいですね、とかそういう話もします。その結果、どこが原因なのかっていうのが見つかった時はガッツポーズしちゃいます。

ーゲームセンターの営業時間外で何かされてますか?
大島
実はですね、これ今まで言ってなかったんですけど、この3年ぐらいジムに通って筋トレをしています。ちょっときっかけがいくつかあってですね…。
2020年の1月に自動車に跳ねられたことがあるんです。で、その時もすぐ入院してくださいって言われたんですけど、いや、明日もお店開けないといけないので帰らせてください、って言いまして…。ちょうど真冬だったんですごく厚着をしていたので骨折とかもなく。ま、全身打撲みたいな感じだったんですけどなんとか帰ることができました。
ただ後遺症で…。ちょっと肩が痛くて上がらない状態になってしまいリハビリで筋トレをしてたんです。リハビリ期間が終わっても筋トレは続けないといけないなと思いずっと続けてます。
僕は母と一緒に暮らしてるんですけど、母が膝を悪くしてしまいまして、このままだと寝たきりになるかもしれなかったのです。それを聞いた時に、今後は母の世話をするだけの体力は必要だなと思って、体を鍛えておかないとまずいんじゃないかなって考えるようになりました。
ちょうどたまたまそのタイミングで近所に24時間営業の格安のジムがオープンしました。これはちょっと行ってみようかなと思い、リハビリで筋トレしてた延長線でジムに通うようになりましたね。それに…すごい太めだったのでダイエット目的みたいなとこもあるんですけど全然体重が落ちてなくて…。

ーライブ配信っていつ頃から始められたんですか?
大島
僕が始めたのは2025年(今年)の1月ぐらいからです。元々は岩手県にあるゲームセンターのテクノワールドさんっていうところがあるんですけど。テクノワールドさんが、毎週金曜日にテクラジっていうのを配信でやってまして長年そこにお邪魔してたんですけど、今年からテクラジの配信がちょっとなくなっちゃったので…。で、何もないのも寂しいなっていうので、じゃあうちでやりますっていう形で、「ジスラジ」って名前をつけて配信を続けてます。

視聴者の方もテクラジからこっちにそのまま流れてきてくれてるって感じですね。テクラジの頃からですけども、ゲームセンター業界の出来事とか業界の裏側の話とかできるので、そういうことは視聴者の方も興味持ってるんじゃないかなと。
とはいえ僕も一人で配信するとやはり辛いので、ファンタジスタの公式キャラクターを描いてくださっているイラストレーターの灰色あいろさんや、九州のG-stage小倉店の店長さんもゲストに来てくれました。
仕事以外で人と喋る機会があるっていうのは僕の心の平穏を保つために必要ですね。お客様と喋る時ってやっぱり接客で喋るのでリラックスして喋ってるわけじゃないですよね。 なので、なんか喋るっていう時間があるっていうのはすごく必要なことかなって思います。

ーゲームセンター業界で横の繋がりがあるというのが意外です。
大島
そうですね。10年前ぐらいかな。ゲームセンターがやっぱりどんどん減ってきた時に、昔はゲームセンター同士ってライバル関係でしたけど、今はもう協力関係になってお互い助け合っていかないとゲームセンターやっていけないぞっていうのはもうみんな分かってると思います。あと、やっぱりネットが進化してコミュニケーションも取りやすくなりました。SNSはゲームセンターにとってすごくいいツールというか役に立ってますね。お互い営業している地域に距離があるから協力してもいいっていうのもあります。離れてるからお互いの経営に悪影響が起きないというか。

お店の個性とは?

ー大島さんはずっとゲームセンターを運営されてきて、ちょっとずつ客層が変わってきたと感じることはありますか?
大島
ファンタジスタは開業当時から来てくれたお客様が今でも来てくれてますから客層が変わった感じはありません。変わったというと、やっぱりゲームのジャンルが増えました。うちも台数が増えてるので。前は格闘ゲームばっかりでしたけど、今はもう音ゲーも充実してたりとか、カードゲームとか、オンラインネットワークを使ったゲームとかも増えてきていて。
昔のゲームセンターって格闘ゲームとかだけでもやっていけたし、音ゲーだけでもやっていけたりとか個性的なお店もたくさんあったと思うんですけれど、最近はそういう個性的なお店っていうのがちょっと減っていて、いかに売上が取れるゲームとか、ハズレを引かないようにするかとかそういうのが大事になっています。その結果どこに行っても同じようなゲームばっかりあるみたいな状況になってます。ファンタジスタも色々なゲーム揃ってるとは思うんですけど、個人的にはどこにでもあるゲームセンターって思ってます。

ー個性が出しにくい?
大島
今はそうですね。難しいかな。
まあ、個性的なゲームセンターさんもたくさん残ってるんで、そういうところは応援してもらえたらとは思うんですけれど。
お店の個性っていうのは、ゲームのラインナップとか筐体構成で「あ、この店は個性的なラインナップだな」って思うかもしれないんですけれど、ゲームの機種を個性的にしたからといってお客様が来てくれるわけじゃないんです。個性的な店を作りましたって言ってもそれでやっていけるわけではなくてですね、やっぱり人気のあるゲームをある程度揃えないと今やっていけないっていう感じなんですよね。
で、今あるお店の中で個性的に見える店があるとしたら、それはお店の個性でもあるんですけど、そのお店に遊びに来てくれてるお客様の個性だと言えると思うんです。
なので、お客様の個性とマッチングしていい感じに個性が出せているお店がまだ残ってるのかなって思いますね。ゲームセンターって結局ただの箱なので。
うちがこういう風な店にしたいって思ってても来てくれるお客様がお店を作っていくので。

ー例えばファンタジスタだとお客様の個性ってどういうところに出てると感じますか?
大島
開業当初は格闘ゲームがメインだったので、やっぱり格闘ゲームに触れる人が多くて、今でも格闘ゲームを続けてるお客様もたくさんいます。でも、今は音ゲーも人気があります。
元々格闘ゲームの店って自分でも思ってたんですけど、最近はお客様からファンタジスタは音ゲーの店だよねみたいに言われることも増えました。自分では意外なんですけど、そうやって使ってもらえてるのはありがたいことですし、オンラインゲームでも人気タイトルを外さないように入れてるので初めてうちに来た人は結構びっくりされるんです。「ここはすごく揃ってる!」と。
いわゆるマニアックなゲームタイトルを入れてもマニアックな人たちが見つけられるかどうか分かりませんし、ファンタジスタに通ってくれるか分からない。「あるんだ!すごいね」で終わっちゃいますから。なので、人気のタイトルがしっかり揃ってるっていう方が大事かな。

武器を揃えることができたファンタジスタ

大島
僕はよくお店をロールプレイングゲームに例えるんです。
ゲーム機のラインナップが充実していくというのが、ロールプレイングゲームでいうところの装備が整ってきてる状態っていう風に考えてます。で、今もう僕のお店の装備はほぼ最強と思ってて、これ以上装備が整わないと思ってます。開業当時の80台しかない頃は、まだ武器しか持ってなくて、鎧と盾は持ってませんとか、そういう状態でお店をやってたんですけどやっていけたんですよね。でも今は最強装備を整えてないとやっていけない感じです。最強の装備を整えても死んじゃうというか、そういう時代になってきてるので。ファンタジスタは130台で最強の装備をしたパーティーを組んでるみたいなことなんですね。

ーあるジャンルに特化してても、それが好きな人は確かに来るかもしれないけど、違うジャンルが目当ての人は取れないっていうことですよね。
大島
そうです。特に地方だと厳しいですね。なんとなく立ち寄ってくれるってお客様がいないので。これを遊ぼうって決めてファンタジスタに来てくれる人ばっかりですから。
人口が多い場所だとなんとなく立ち寄ってみてちょっと遊んでみようかなっていう事もあると思いますが、そういうお客様はやっぱりクレーンゲームとかメダルゲームとか、そういうゲームを遊ぶ人が多いので。

もう10年前ぐらいから結構ゲームセンターって閉店してたんです。で、僕はその閉店するお店のラインナップを見るんですよ。で、ラインナップを見た時に、あ、この店はこれが足りてなかったんだなみたいなのがなんとなく10年前ぐらい前はまだあったんです。あ、ここは音ゲーがないんだなとか、ここはオンラインゲームがないんだなとか、そういうのがあったんですけど、今はもう全部揃ってる店が閉店してるんで。本当に厳しくなった、ラインナップが足りなくて閉店するっていう感じじゃないなって印象はありますね。
もちろん本当にターゲットを絞って絞って運営されてたり、揃えているラインナップが個性的なゲームセンターとして残ってるところもあります。
でも、うちは本当にどこにでもあるようなゲームセンターだと僕は思ってます。お客様がいつもたくさん来てくださって、このゲームはあの人が遊んでるな、みたいな感じでお客様の顔が見えます。そうなるとゲーム機は減らせなくて増えるんですよね。このゲームあの人が遊んでるから残しておこうとか、そういう風になっちゃうので。

ゲームセンターの大きい店舗って多分そういう常連さん一人一人の顔とかあんまり気にしてなくて数字だけ見てると思うんで、あ、これ数字悪いから切っちゃおうかねそんな感じでやられてると思うんですけど、ファンタジスタはそういうことはできない。やっぱり遊んでる人がいるってなると撤去するのは心苦しい。まあ、うちの売上が悪いだけじゃなくて全国的に売上が悪くて撤去されるゲーム機ってやっぱりあるんですけど、ファンタジスタはそのゲーム機をまだ残しておいてあげることができたら残存者利益みたいな感じで来てくれる可能性もあります。他のゲームセンターでは撤去したけどうちはまだこれ残します、みたいな。

ーそんな中で新しいゲーム機を入れる動機はどうされているのですか?
大島
うちに来てるお客様がこのゲームはやりたいだろうなって思ったらやっぱ入れちゃいますね。ただ、うちに今来ていないような新規のお客様を呼べるゲームっていうのはどれだろうか?っていうのを考えていて結構そっちの方が重要です。
今ファンタジスタに来てるお客様が遊んでくれそうってことは、今遊んでるゲームにお金は入らなくなるんですよね。新しいゲームにお金が代わりに入るだけです。なのでゲームセンターが継続的にやっていくためにはやはり新規のお客さんを呼び続けないといけないです。
今のうちのお客様にこのゲームは合わないかもしれないけど新規のお客様が来てくれるだろうと。そういうタイトルは入れてみようかなって導入検討もしますけれど、最近はもう新作のラインナップも減ってきてるので、あんまり選べる感じでもないんですけどね。

ー大島さんの中でこれは入れてうまくいった。 みたいなやつもあったりするんですか?
大島
それは「艦これアーケード」ですね。
発売前にゲームショーに行ったんですけど、まだゲームは完成してなかったんです。でも艦娘(かんむす)が喋るところまでは出来上がっていて、もう画面の中でキャラクターが喋ってるのだけ見て、あ、これは絶対いけるって思って、これ買います!って業者に言い続けました。うちが買いますって言っても必ず買えるわけじゃないんですよ。数に制限があるので。業者さんに優先してもらえるようにすごく熱を伝えました。
人気が明らかに出るだろうっていうゲームはやっぱり大きいところが買っちゃうから僕らみたいな個人のゲームセンターに回ってこないんです。だから欲しくても買えないっていうのが割とありました。 購入と別にこうレンタルっていうのがあって、レンタルの場合は初期投資はいらないから色んなお店がうちもレンタル申し込みますってたくさん申し込むんですけど、結局取引の多いところが優先されます。うちがもしレンタルでこれ入れたいんですけどって言っても、すいません用意できませんでした、っていうような感じで切られることが多いので、どうしても欲しいゲームってなったらもう買わなきゃいけないんです。

艦これアーケードは僕自身そんなに新作ゲーム見に行く時間もないんですけど、これは見に行かなきゃって思ってなんとか時間を作りました。岡山始発で朝5時ぐらいに起きて、東京に9時半ぐらいに着いてー。
で、東京でゲーム見てもう12時には東京出発して、夕方には帰ってみたいな感じで動いてましたね。こうしないとね店を開けられないし店にいなきゃいけないから。東京に行ってる間はちょっと母親に店番をお願いしました。

ー新規のタイトル を入れるっていうのは、結構ギャンブル要素ありますね。
大島
そうですね。まだゲームが完成してない状態で注文しなきゃいけないので。受注締切は結構早いんです。メーカーから「まだゲームを作ってる途中なんだけど、もう受注のタイミングです」って言われたらそこで決めないといけないし、注文しなかったら後からヒットするともう手に入らないです。ヒットしちゃうと中古相場が爆上がりして高くなっちゃうんです。なので、自分が当たると思うゲームはやっぱり先に買っておかないとっていうのが当たり前だったんです。けど、最近はそういうことも少なくなって中古で買った方がいいみたいな流れになってきています。新作を買うところは人柱みたいな扱いになったりするので大きいところにやっていただいて…みたいな。

ー新作が導入されたらテンションあがります?
大島
ああ…、新しいのが来た時はやっぱテンション上がりそうな気がしますね。でもまあ、新しいゲームが届いても電源を入れたらすぐ動くわけじゃなくて組み立てが必要なんです。組み上がってゲームが動く状態になって、電源を入れて、その時祈ってるんですよ。映ってくれ!って。で、映ったら「よし!」みたいな感じで。それからやっとほっとしてテンションが上がるというか。ちゃんとゲームが立ち上がるまでは不安の方がずっと強いですね。

ー完成品が完成されて送られてくるわけではないんですね。
大島
ほぼそうですね。大体何かしらの組み立て作業が必要です。ゲームによっては1人で組み立てるのが無理なものもあるので、そういうのは業者を頼んだりすることもあります。 最近だと「三国志大戦」っていうタイトルがあるんですけど、これはものすごい組み立てが必要で業者を呼んでも2日かかりました。業者が3、4人で来てくれても2日がかりでやっと組み立てるみたいな。その分動いた時の感動はすごかったです。

ー最初にファンタジスタを立ち上げた時は格闘ゲームに特化しよう、みたいなコンセプトだったのですか ?
大島
僕が通いたいと自分で思うようなゲームセンターを作ろうというのが最初にあったんで、それがコンセプト的なものかなとは思うんですけれど、やっぱりお客様が求めてるゲームを入れていかなきゃって。それでラインナップもどんどん変わっていったので、お店が引っ張っていくというよりはお客様に合わせていった結果こうなったっていう感じかなと思います。
開業した直後に「麻雀格闘倶楽部(マージャンファイトクラブ)」があって、別のゲームセンターさんで見た時にものすごく人がついてて、「あ、これはいいな」と思って、それはもう借金して入れましたね。

ファンタジスタの人気キャラクター、ジスたん

ーファンタジスタのマスコット、ジスたんが作られたのはいつ頃なんですか?
大島
2015年の4月1日がデビューなんですけど、企画自体は2015年の1月ぐらいに思いついて、そこからエイプリルフールの4月1日公開に向けて準備してました。

ージスたんのイラストも大島さんがお願いして発注されたんですか?
大島
そうですね。

ーそのキャラクターが完成してファンタジスタの壁面に貼ったっていうことなんですかね?
大島
いや、壁面に貼ったのは結構最近なんです。ここ5、6年ぐらいかなと思います。555cmあって、あれは偶然の賜物というか…。元々やりたいなっていうのは漠然とはあったんですけど、やはりお金のかかることなので、そう簡単にはできなかったです。
ある日、お店が雨漏りするようになっちゃって、その雨漏りを直すために、今ジスたんが貼ってある壁側を板張りにすれば雨漏り直るよって話になりました。で、どうせ板張りにするんだったらただ板があるだけじゃ寂しいんで、ここに大きなジスたんを貼ろうかと。それで、ジスたんを貼ることになりました。今は記念撮影していく人も多いですし、ファンタジスタに来たよ、と分かるので。

最初はファンタジスタがまた変なこと始めたぞ!みたいな感じで見られてたと思うんですけど、コツコツと色々やってきたのもあって今はファンタジスタのキャラクターとして認知されてます。キャラクターも可愛いですし、SNSでもお客様とやり取りする時にキャラクターだと印象が柔らかくなるしすごく助かってる部分は多いと思います。

ーファンタジスタが変なこと始めたと言われてましたが、他にもいろんなことされてきたんですか?
大島
ゲームセンターに関わることが多いんですけど、なんか普通の店がやらないようなイベントとかを考えてやってみたりとか、お客様が面白いと思ってくれるかなっていうようなことを積極的にやっていこうみたいなのがあります。
お店のファンタジスタっていう名前の意味がサッカーでも「予想もつかないようなプレイをする」みたいなのがあるじゃないですか?そういうのが僕の中にあったんで。例えばジスたんに声がつきましたとか、地元の声優さんで金元寿子さんを採用しましたとか、ジスたんが格闘ゲームに登場しましたとかね。個人でやってる普通のゲームセンターのキャラクターがそんな展開する!?みたいな。

イベントだと大きめの大会とかも積極的にやってました。大阪からファンタジスタまでバスツアーを組んだりとか。大会に参加される方がバスに乗ってファンタジスタまで移動してくるっていう…そういうのもやったりして、あれも面白かったなと今でも思いますけど。

ーやれそうでなかなかできないってことは多いと思います。ジスたんに声をつけようと思っても、それを本当に声優さんでやっていいのか?と躊躇されることを大島さんはエネルギッシュにされている印象があります。
大島
長年ゲームセンターをやってきて思うのは、やって後悔する方がやらずに後悔するよりはいいかなっていうのがあります。新しくイラストを書いていただく場合もジスたんというマスコットキャラクターが既にいてくれることで依頼しやすいです。うちにこういうキャラクターがいるんで書いてもらえませんか、みたいな。ジスたんのキャラクターがなかったら依頼するにしても、ただキャラクターを書いてほしいっていうだけだと依頼は難しいと思います。ジスたんがいてくれることで活動の幅が広がったと思うし、ご当地キャラクターの中にもジスたんのお友達がたくさんいます。有名なところだと、東北ずん子ちゃんともすごい仲良くさせてもらってます。ジスたんは色んなところで助けになっていると実感します。

ーCi-enでコロナ禍の際にクラウドファンディングされていますが、やはりあの時は大変でしたか?
大島
そうですね。もうやっぱりこのままだともう閉店するぐらいのレベルだったのでクラウドファンディングをさせてもらいました。でも、クラウドファンディングやる時って、やっぱり怖かったです。支援がもし集まらなかったら、もうお前の店はいらないっていう証明になっちゃうので…。ですが、たくさんの支援を頂いて目標額達成できたので本当にありがたかったです。


ゲーム業界全体の課題は1プレイ100円と新タイトル不足

ー今のゲームセンター業界で課題を感じたりはしますか ?
大島
ゲームセンター業界全体の課題なんですけど、やっぱり価格がワンプレイ100円のままが続いています。物価高や消費税が上がってもずっと100円でやるしかなくて。消費税もこの100円の中に入っているのでお店としてはお客様が100円入れても実際には90円しか手元に入ってないのでどんどん苦しくなってる状態ではあります。
あとはもうゲームセンター業界として新作が出てこなくなってきていたり、メーカーさんが新作出しても投資に見合うリターンが得られないものも出てきたりしています。
なので、メーカーさんがどんどんゲームセンターとかアーケードのビデオゲームから撤退する動きも出てます。撤退ではなくてメーカーさんの方がゲームセンターを復活させようみたいな動きを出してくれたら嬉しいんですけどなかなかそういう動きになってきてないのが難しい。
結局僕らはメーカーさんが出してくるものを入れて、それをお客様に提供するっていう形しかできないのでメーカーさんが頑張ってくれたらなと思います。

でも今年は結構新作が出てる年だと思ってます。

ーそうなんですか?
大島
そのせいで閉店してるお店も多いんです。新作って結局お金かかるんで新作を入れることができなくて閉店するみたいなお店も出てくるんです。うちがクラウドファンディングやったのも結局それなんです。
新作のガンダムなんですけど、ガンダムのバージョンアップが今年あって、その費用が出せなくてっていう形で(コロナ渦とは別に)クラウドファンディングをさせてもらいました。新作を入れないとお客様がファンタジスタで遊ばなくなっちゃうし、旧タイトルがサービス終了してそのままだと遊べなくもなっちゃうので、ゲームセンターとしては新作を入れないといけない。でもそこに投資するお金がもう見合わないから閉店するゲームセンターが増えてます。
だからゲームセンターを続けるためにはお金が必要っていうのが難しくて、ランニングコストを抑えながら新作に合わせて資金をプールしていかなきゃいけないっていう…。しかも新作のコストっていうのは割と直前まで分からない。これぐらいでやって欲しいなっていう期待はあるんですけど、メーカーさんが大体それを上回ってくる。
今年は新作で「アイドルマスターツアーズ」っていうアイドルマスターのアーケードゲームが出てます。これはまだ本領発揮してない感じではあるんですけど、これからアップデートを重ねて完成していくと思います。

ーなるほど。今はゲームセンターの筐体もアップデートされていくのですね。
大島
そうですね。もう本当にそういう時代ですね。昔は出た時が完成の状態でしたけど、今はもうアップデートで中身も充実したりとか不具合の修正とかどんどん良くなっていきます。メーカーさんと専用回線を引いていてオンラインで繋がってるのでアップデートもできるしネットワーク対戦もできます。そうすると電源が落ちちゃうことが一番怖い。雷が怖くて。停電したら商売できないし、さっきまで遊んでたお客様への返金対応も起きます。
あと、雷に弱いゲーム基板もあったりします。メーカーによるんですけど、電圧の変化に弱いゲーム筐体とかはちょっと雷が落ちただけで止まったり落ちたりします。最近のゲーム筐体はパソコンベースの基板がちょっと多くて、電源が落ちてしまうとゲームを再起動するのに5分とか10 分とか待たされるのです。

ーゲームセンターの横の繋がりもあるってことでしたが、大島さんから名前が上がったテクノワールドさんやGーstageさん以外にもチェックされているのですか?
大島
自分が配信している番組に出演してくださったG-stageさんや、新潟のテクノポリスさん、立川のゲームセンターWILLさんとか、大阪のコーハツさん、 三重のアミューズメントスペースコミ丸さんとか石川のゲームセンターベティさん、徳島のゲーセンリバースさん、 宇都宮のアミューズメントヒカリさんとか、Ci-enに登録されてるゲームセンターさんは一通りチェックしてます。

ーみんなで集まって座談会とかしてほしいですね。

大島
面白そうですね。ぜひCi-enで企画してみてください。

ゲームセンターは人と人が繋がる場所

ーそれではインタビューを終了しますが、最後に大島さんからゲームセンター全体に向けたメッセージがあればぜひお願いします。
大島
ゲームセンターは今どんどん減ってるんですけれど、ゲームセンターへ遊びに来る人って遊びたいゲームがあるからっていうのとは別にゲームセンターで会いたい人がいるから、この人がいるから、という人に会うためにゲームセンターへ来てくれてる人って結構いらっしゃるんです。
なのでゲームセンターがなくなっちゃうと、人の繋がりとかが切れてしまうということになっちゃうと思うんです。
今の時代に人と人が繋がれる場所という意味でゲームセンターがあることの意味とか残すことの大切さ、みたいなものがあるんじゃないかなって思っています。人の繋がりの場としてのゲームセンターをもっとみんなに知って欲しいし応援して欲しいかなと思います。

ゲームセンターに来るお客様は年齢が全然違ったりするんですけど、同じゲームが好きな仲間っていう感じですごい一体感があります。
ゲームセンターは居心地がいいっていう人が多いんですけど、その理由は何か?って言ったら、そこにいる人がみんなゲームが好きっていう、同じ共通の感情があるからすごく一体感があって居心地がいいんだと思うんです。今そういう場所ってなかなかないと思うので、ゲームセンターを通じて色んな人が繋がって欲しいなと思います。


ファンタジスタ自己紹介

ファンタジスタは岡山県倉敷市新倉敷にある個人経営のゲームセンターです。
ゲームの設置台数は約130台、対戦格闘ゲームを中心に最新の音楽ゲームやオンラインゲームまで充実のビデオゲーム専門店です。
2002年4月6日のオープンから年中無休で営業中、マスコットキャラのジスたんと看板猫の社長もみなさんのご来店をお待ちしています!

※ファンタジスタのCi-enアカウントフォローをお願いします

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