【全体公開】発注者は誰でもラフイメージを描けるわけではない
こんにちは!イラストレーターの久保田です。
イラスト依頼の話で、たまにこういう言葉を見かけませんか?
「発注者側も、簡単でいいからラフを描いたほうがいい。」
頼む側としては、本当に軽い気持ちでの提案なのかもしれません。
言葉だけで説明するより、棒人間でも構図があったほうが伝わりやすいことも多いです。
でも、これって実はすごく難しいことだったりします。
▼簡単なものでも、誰でも出来るわけではない
本人がこれくらい出来て当然と思っていることの後ろには、もの凄い壁があります。
そのことを、多くの人は無意識に見落としてしまいがちです。
僕もこの手の話題を見かけたとき、はじめてその事実に気づきました。
自分が当たり前にやっている仕事や趣味ほど、他人の苦労が見えなくなります。
これは「認知の歪み」の一種かもしれません。
ほとんどの人は自分の視点でしか世界を見られません。
だから、ある意味では仕方のないことでもあります。
お互いに悪気がないからこそ、すれ違いが起きてしまうんですね。
絵のラフもこれに近いのかなと思います。
描ける人にとっては、簡単なラフです。
でも描けない人にとっては、何をどう線にすればいいのか分からないものです。
▼才能の話
将棋の渡辺明九段が、才能について語っていた話があります。
ざっくり言うと、昔は自分より将棋が弱い人に対して、努力が足りないだけだと思っていたそうです。
でも、自分の子供に将棋を教えた時に、自分が子供の頃に自然とできていたことが、誰でもできるわけではないと気づいたそうです。
そこで初めて、自分には将棋の才能があったのだと感じた、という話です。
これ、かなり大事な視点だと思います。
もちろん、努力は大事です。
努力しなくていいという話ではありません。
ただ、ジャンルによる理解の速さや、何となく掴める感覚には、人によって差があるのだと思います。
イラストでも同じです。
絵が苦手な人は、それは怠けているからではなく、単純に向いている入口が違うのだと思います。
▼自分の得意ではなく、他のジャンルで考えてみる
イラストレーター目線だと、「ダンス」などで考えると分かりやすいかもしれません。
あなたがダンスの振り付けを依頼するとします。
そこで振付師さんから、イメージをつかみたいので、簡単でいいので一度踊ってくださいと言われたらどうでしょうか。
たぶん無理です。
さらに、相手からこの程度でいいので踊ってくださいと、軽く見本を見せられたらどうでしょうか。
いや、それができたら頼んでないです!となると思います。
少しムッとする人もいるでしょう。
これをイラストに戻して考えると、簡単でいいのでラフを描いてくださいという言葉も、人によってはかなりハードルが高いのだと思います。
▼とはいえ
とはいえ、発注者側も何も伝えなくていいという話ではありません。
イメージがまったくない状態で発注すると、描く側もかなり困ります。
なので、ラフが描けない場合は、別の方法で伝えるのがいいと思います。
たとえば、
キャラにしてほしいイメージのイラストを3枚集める。
好きな表情の画像を見せる。
避けたい雰囲気を伝える。
これだけでも、かなり助かります。
描けないなら描けないで大丈夫です。
その代わり、言葉や参考資料に力を入れましょう。
大事なのは、上手なラフを描くことではなく、頭の中にあるイメージを相手に渡すことだと思います。
▼まとめ
自分が簡単にできることは、誰しもが簡単にできるわけではないという話でした。
これはイラストだけではなく、将棋でも、ダンスでも、料理でも、文章でも同じだと思います。
だから、発注者はラフを描けない自分を責めすぎなくていいと思います。
一方で、描く側も、簡単でいいので描いてくださいと軽く言いすぎると、相手にとっては超重荷になっているかもしれません。
ラフが描けるなら描くと便利です。
でも、描けないなら、参考画像や言葉で伝えれば大丈夫です。
大事なのは、できないことを無理にやることではなく、伝わる方法を探すことだと思います。
以上、イラストレーターの久保田でした。
それでは!
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