【全体公開】VTuberのキャラデザに向いている人、向いていない人
こんにちは!イラストレーターの久保田です。
最近、VTuberのキャラデザイン、いわゆる「ママ絵師」のお仕事に興味を持つ方が増えている印象です。僕の周りでも、どうすればなれますか?という質問をいただくようになりました。
キラキラしたVTuberのモデルを見て「自分もあんな素敵なキャラを描きたい!」みたいな絵師さんも多いのではないでしょうか。
今日はそんな方に向けて、VTuberのキャラデザインに向いている人と向いていない人について、僕なりの実体験をもとに書いてみたいと思います。
▼VTuberキャラデザは「設計」の仕事
VTuberのキャラデザインは、普通の一枚絵とは少し性質が違います。
なぜなら、Live2Dで動くことを前提に作られているからです。
ここで出てくる「Live2D」という言葉をざっくり言うと、イラストを福笑いのようにバラバラのパーツに分けて、専用のソフトで動かす技術のことです。髪や目、口などを細かく分けて変形させることで、横を向かせたり、物を揺らしたりします。
例えばですが、
・「前髪」「横髪」「後ろ髪」の分割
・服の裏側や関節の構造
・体の可動域
・背中側までわかる詳細な三面図
こういったことを考えながらキャラクターを作っていきます。
つまり、ただ絵を描くだけというより、動くキャラクターを作るための設計図を描いている感覚に近いです。
少し例えるなら、家の外観イラストを描くというより、間取り図を作る感じです。
見た目がおしゃれなのは大前提で、その裏側にある仕組みを整える必要があります。
▼VTuberキャラデザに向いている人
僕が仕事をしていて感じるのは、VTuberのキャラデザインに向いている人にはいくつか共通点があるように思います。
例えばこんなタイプです。
・几帳面な人
・絵をきっちり完成まで描ける人
・構造を考えるのが好き
・髪や服の差分を考えるのが得意
・パーツ分けが苦じゃない
・三面図を描くのが苦じゃない
少し意外かもしれませんが、絵のセンスというより、整理整頓が得意な人が強い印象があります。
例えばデスクの引き出しをきれいに整理するのが好きな人っていますよね。
ああいうタイプの人は、この仕事と相性がいい気がします。
地味な作業をコツコツ続ける力が必要だからです。
▼VTuberキャラデザに向いていない人
逆に、少し苦労しやすいタイプもあると思います。
例えばこんな感じです。
・大雑把な人
・ラフな絵が多い人
・一枚絵しか描きたくない人
・構造を考えるのが苦手な人
VTuberの仕事は、普段の絵よりも描く量がとても多いです。
そのため、パーツの構造を理解していないと作業がかなり大変になります。
特にレイヤー整理は発狂ポイントです。
例えばレイヤー名をきちんと付けたり、順番を整理したりします。
地味ですが、かなり重要な作業です。
▼パーツ分け作業がとにかくキツい
そして多くの人が驚くのが、パーツ分けの作業量です。
例えば髪の毛を房ごとに細かく分けたり、服の奥側や、後ろ髪の見えない箇所を描いていきます。
これが本当に時間を取ります。
初めてやると、正直かなりきついと思います。
僕も最初は、気が狂いそうになりました笑
ちなみに僕の場合ですが、パーツ数はだいたい500〜1000くらいになることが多いです。そのため、パーツ分け作業だけで3〜6日くらいかけています。(1日8時間作業で)
数字だけ聞くと少し驚きますよね。
個人的な感覚ですが、最低でも300くらいは分けないと、他のモデルと比べて動きに差が出てしまう印象があります。
(レイヤー数を調べる方法は少し特殊ですが、検索したら結構出てきます!)
とはいえ、このあたりはモデラーさんの腕によっても変わると思います。
▼「神絵師」なら誰でも向いているという誤解
「絵が圧倒的に上手ければ、VTuberのデザインなんて余裕でしょ」という意見を聞くことがあります。確かに画力は大きな武器になりますが、実はここが大きな落とし穴だったりします。
世の中で「神絵師」と呼ばれる方々の中にも、実はパーツ分け作業が苦痛で仕方がなくて、一度やって懲りてしまったという話は珍しくありません。
一方で、SNSのフォロワー数はそこまで多くなくても、モデラーさん(絵を動かすLive2D職人さん)から「あなたの絵は最高に動かしやすいです!」と絶賛される方もいます。
このギャップ、不思議だと思いませんか?
一般的なイラスト制作では「最終的な一枚の見た目」がゴールですが、VTuber制作では「素材としての使いやすさ」もとても重要です。その辺りも含め、楽しめるかどうかが、向いているかどうかの分かれ道だと僕は考えています。
▼絵の上手さだけでは決まらない
VTuberキャラデザインという仕事をやっていて感じるのは、デッサン力や色彩感覚といった絵の上手さだけでは決まらないということです。
むしろ大事なのは
・見た目の「デザイン力」
・動いた時の形を予測する「構造理解」
・パーツを切り分ける「分解力」
・他人が作業しやすいデータを作る「設計力」
このあたりだと思います。
例えば、機械の内部構造に興味があって、時計を分解して中身を見たくなるような好奇心がある人。
そういう方は、VTuber制作というパズルにどっぷりハマる才能があるかもしれません。
見た目もとても重要ですが、「絵を描く」という行為の中に「組み立てる」という喜びを見出せれば、これほど楽しい仕事はないです。
▼まとめ
VTuberのキャラデザインは、普通のイラストとは少し違う仕事です。
イラストというより、動くキャラクターを作るための設計に近い感覚があります。
とはいえ、向き不向きはあくまで傾向の話です。
実際には、やってみて好きになるケースも多いと思います。
VTuberキャラデザインに興味がある方の参考になれば嬉しいです。
もしママ絵師を目指しているなら、このあたりの考え方を知っておくと少し気持ちが楽になるかもしれません。
以上、イラストレーターの久保田でした。
それでは!
※個人的感想なので話半分参考程度にお願いします。
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