ぼんやりクラブ 2019/06/15 17:35

【読後の思考】凍った時間 (『ちぐはぐな部品』より/著者:星新一)

※一応ネタバレ注意












ちぐはぐな部品

凍った時間

大雑把な内容

特殊な放射能を浴びてしまい、全身サイボーグになってしまった主人公。
人々からは奇異の目で見られるので地下にこもって生活していた。
ある日、唯一の楽しみであり、外界との接点であったTVが停止。
気になって、地上に上がると人々が倒れている。動いている人間はどこにもいない。

人目を気にしない自由を感じるも、町は死んでいる。
主人公は孤独を感じる。

そこに気密服を着た人間が現れる。同じ仲間扱いされるが、彼らは人々を眠らせるガスを開発しクーデターを起こしていたのだった。主人公はブチギレでその主犯格である博士を銃で撃つ。

二時間後、ガスの効果は消えて、人々は眠りからさめる。
開発者が死んだので、仲間たちは陰謀を企てる気力を失った。

やがて、人々が目を覚まし、立ち上がる。
きょとんとしていたが、次第にその視線は主人公のもとへ注がれる。

主人公は再び地下へ戻る。


なんとなく、『どろろ』の百鬼丸を彷彿とさせた。
村に住む妖怪(だっけ?)に苦しむ人々を百鬼丸たちがやっつけるんだけど、恩人にも関わらず「不気味だ」って理由で爪弾きされ村を追い出される、この一連の流れを思い出した。

それから、TVが地上世界と地下世界をつないでいるという点にに創作的な魅力を感じた。それに近しいものといえば私のなかでは「監獄(牢屋)」がそう。固く扉を閉ざされた独房に唯一ある小窓、なんかにも心惹かれるものがある。
『男には何もなかったが、その小窓から差す光だけが、唯一自分と外界とをつなげる存在であった』のようなシュチュエーション。※完全に創作世界における監獄だけど

隔絶された環境にあるものでいえば「無人島」もそう。
たったひとりで生活しているうちに物事の見え方が変わっくる、みたいな。

「身の回りに物が・情報が溢れまくっている世の中だから意識が分散しがちだけど、視野をきゅっと狭めて何か一つのものだけに意識を集中させると、いつもとは違った視点で物事が見られるよね。その見え方が新鮮だったり奇抜だったりして面白いよね」
…っていう考え方が自分にあるので、そういったものに魅力を感じるのだと思う。

半径3m以内に大切なものは全部ある by.宮崎駿
※若干ニュアンスが違うかも知れない

一見何もいないようなそのへんにある草地にしゃがみこんで、じぃ~~っと眺めみると、実は色んな虫が潜んでいたりして驚くことありますよね。子供の頃はそうじゃなかったのに。

そういう視点を忘れないようする。
そこから得たものを創作に活かしたい。

創作サークル ぼんやりクラブ
Webサイト:http://bonyari.club/
Twitter:@bonyari_club

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