暗号部
N:徳伊学園暗号部。この学園で特に異彩を放っている部活であり、入部するのも一般生徒では不可能といわれている部活である…
―――
-1問目/2問目-
ハスレM:ふー、お昼ご飯もおいしかったなぁ…ん? 人だかり? あ、部活勧誘ポスターか、私もどこ入るか決めないとなぁ…
…ん? なにこれ、文字が逆さまに書かれてる、多分、部の名前だよね? 「明止13咅(めい、し、じゅうさん。とう)」…で、こっちはフリガナ? あんごうぶ…暗号部? 何その部活…
ダリア:あら、ポスターに興味があるのかしら
ハスレ:えっ、あ、ああちょっと、不思議なポスターだなぁって思って
ダリア:これは、暗号部のポスターね。毎回こうやって謎解きを出して募集を募っているのよ
ハスレ:謎解きですかぁ…でも、このポスターの謎解きはすごく簡単ですね
ダリア:あら、解けたの?
ハスレ:はいっ、「明るい、止まる、13、立つに口と書いてとう」それが逆さまに描かれているということは、それぞれ何かをひっくり返す必要がある。ってことでしょう
ダリア:それで?
ハスレ:まず、明るいをひっくり返すと暗い。暗号部の「暗(あん)」の字になります
ダリア:そうね。でも止まるはどうひっくり返すのかしら。止まるの反対は進む。になってしまうけれど
ハスレ:止まるは英語でストップ。ひっくり返すと、GO、つまり、暗号の号が正解じゃないでしょうか
ダリア:ふふっ、一つの暗号なのにいくつも法則があるのね
ハスレ:ですねぇ…次に、13咅、これは見た目からも分かりやすいです。13はくっつけると部首みたいな形になりますよね。それを咅の位置と入れ替えると、「部(ぶ)」になります。それで、今出てきた感じをくっつけると、暗号部になる
ダリア:悪くない発想。良いじゃない
ハスレ:ふふーん、昔からこういうのは少しだけ自信があるんですよ
ダリア:じゃあ、こっちは解けそう?
ハスレ:こっち? …えーと、入部希望者はこちら…? 「f(x)=x²−4x+3」(エフ カッコ エックス カッコトジ イコール エックス ジジョウ マイナス ヨンエックス プラス サン)
「xが整数の時、f(x)が0になるxの値。追加、左から読んで、そこで待つ」
場所の名前じゃなくて数式? でも、私、数学はそんなに…あ、すみません、この式って――…あれ? さっきの人、いなくなってる…
―――
コンコン
ハスレ:すみませーん、数学の曲澤(まがりさわ)先生いますかー?
弦:ぁー、あいてるよー、好きに入ってこい
ハスレ:あ、じゃあ、失礼しまーす
弦:…えーとぉ? なんだ? 課題の出し忘れか? それとも、テストの答えが知りたい生徒かー?
ハスレ:どっちも違くて、ちょっと聞きたいことが
弦:質問か…でぇ、誰だっけ?
ハスレ:1年の浦口ハスレです。ほら、先生が授業持ってくれてる
弦:あー、あの手は挙げるけど答え間違ってる子か。いいよ、何が聞きたいんだ?
ハスレ:分かったつもりで挙げてるんですけどね…これなんですけど
弦:ん? あー、因数分解か、これがどうした
ハスレ:答えなんですか?
弦:答えは(x-1)(x-3)だな
ハスレ:えーと…あ、忘れてました。「xが整数の時、f(x)が0になるxの値」というのも問題文に!
弦:問題文はちゃんと読んでくれないと、解がズレるだろうが…それなら、x=1と3だな
ハスレ:うーん? 1と3が答えで場所? 何が言いたいんだこれ…あ、先生! さっきなんて言いました?
弦:は? だから、答えはx=--
ハスレ:その前です!
弦:問題文はちゃんと読んでくれ
ハスレ:そこでもない…えーと、何か引っかかったんだよなぁ
弦:その次っつったら、解がズレる
ハスレ:それだ!
弦:なんだよいきなり、びっくりすんな
ハスレ:「xが整数の時、f(x)が0になるxの値」というのは、解を求めよということ
弦:そうだな
ハスレ:解を求めた結果、1と3、つまり、1階と3階
弦:何言ってるんだお前は…
ハスレ:あれ? でも1階と3階が正解だとしても、だから何だって話だ…どっちに向かえばいいか分からない、そもそも、何棟に向かえばいいかも不明
弦:おーい、一人の世界いっちゃったかぁ?
ハスレ:待てよ、まだ問題は続いてた「追加、左から読んで、そこで待つ」左から読む? どっちが左か分からないけど、13または31? パーツが足りない気がする
弦:仕方ない。この子は置いて、コーヒーでも買いに行くかね
ハスレ:逆に考える? 1階と3階が違う場合、2階が答えになる…違う、それなら最初から2階が答えになる問題にするはず…そういえば、確かこの学校には2階には繋がらない階段があるとか…先生!
弦:うぉうっ、なんだよ
ハスレ:2階に繋がらない階段、それと、13、または31に心当たり有りませんか?
弦:はぁ? ぁー、それなら、13号階段だろう。今俺たちがいる新校舎、ここには階段が8つ存在していて、1からナンバリングされてる。んで、新校舎を建てた際に、どうせナンバーを付けるなら旧校舎もってことで、7つある階段に番号が振られた
そして、13号階段と言えば、なぜか2階に繋がらず、1階と3階にしか行けない、よく分からん設計の階段ってことで、昔から割と気味悪がられてるエリアだな
ハスレ:「ピースフィット」 先生ありがと! また来る!
弦:ああおい、廊下ははし…っても、まあいいか。悪女に気をつけろよー
―――
-3問目-
ハスレ:さてさて、そんなわけで来ちゃったよ13号階段! …普通は2階に出るはずの踊り場、本当に封鎖されててどこにも行けない、段ボールしかないじゃん…ん? 段ボールになんか紙が貼ってある? A,B,C,E,F…うーん? あ、壁にも紙が貼ってある。なになに…『この中に正直者が2人、嘘つきが3人います』…初歩的な論理問題ってことね。じゃあ順番に読んでみようかな
ダリアN:A.この箱が正解の箱
弦N:B.Dの箱は存在しない
ダリアN:C.この箱は外れ
弦N:E.Cの箱が正解。Fは嘘つき
ダリアN:F.Aの箱は正直者
ハスレ:…こういう時のセオリーは、多くの情報を持っているものから暴いていくに限る…Eが正直者の場合、Cの箱が正解でFは嘘つきと…その時点で、FとAが嘘つきになって…あ、Cも嘘つきになるんだ。それで、Dの箱もないから、Cが正解の箱ってことかな?
…待って、そんなに簡単で良いの? というか、紙が貼られた段ボールがいくつもあるから目を奪われたけど、本当にDの箱はない? その前提が崩れると答えを間違える、一旦探そう
ダリア:(観察中)へぇ…意外と冷静。これなら見込みありかも
ハスレ:うーん、でも他の箱は紙くっついてないし、なぁ…ちょっと休憩--うわぁっ!? …いったた、あれ、椅子だと思ってたけどこれ、段ボールに布かけてあっただけなの? …うわー、ちょっとへこんでる、大丈夫かな、ていうか、私太った? …あ! D! この箱Dじゃん!
弦N:D.この箱が正解の箱
ハスレ:うん、嘘つきが増えたんだけど。あれ、もう1枚紙?
ダリアN:『正直者が一人増えた』
ハスレ:うーん、つまり、最初の問題にあった、正直者2、嘘つき3ってところに、正直者が一人増えて3人になったってことね。えーと、そうなると、cが正解の場合矛盾が出る、考え直さないと…
ハスレM:…少なくとも、こういう時にポッと出てくるやつっていうのは、この手の問題においては正解を持っていることが多い。だけど、この問題を作った人はおそらく性格が悪い。1問目は3つとも別の解決法を持っていないといけなかったし、2問目の因数分解、は、まあ、私の知識不足にしても、13号階段なんて新入生では分かるはずのない回答を提示してきている時点で意地が悪いのは分かってる。つまり、このDは嘘つき
ハスレ:…「ピースフィット」。答えは分かった。Aの箱が正解ってことね…で、これ、正解の箱をどうすればいいの…?持ち上げる? 引く? 押す…
ダリア:持ち上げればいいわ
ハスレ:わっ!? わーっちょーねー!
ダリア:? ああ、私はダリアよ。清紅ダリア(せいこう だりあ)
ハスレ:別に名前は聞いてな…わっちょーねー…What your name?
ダリア:聞いたでしょう?
ハスレ:確かにそう聞こえなくも…って、あなた、掲示板の前にいた!
ダリア:ええ、さっきぶりね
ハスレ:突然消えた幽霊さん!
ダリア:幽霊だと思われていたの、私は
ハスレ:音もなく消えましたからね
ダリア:あなたが一人の世界に入ってしまったから放っておいただけだけれど…それで、持ち上げないの?
ハスレ:あ、そうでしたね。正解だったCの箱を…あ、もしかして、私の正解を横取りする気じゃないですか!?
ダリア:…そんなことしないわ。良いから持ち上げなさい。いつまでもここで待っているのは暇なのよ
ハスレ:本当ですか? …それなら、いよいしょっ
弦N:ガガッと音を立て、大きな垂れ幕が動く、開いた先には扉が現れた
ハスレ:な、なんですか…この扉
ダリア:ふふっ、ようこそ、暗号部へ
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