朝をおこしに

 コンコン。
 よる、ふうこちゃんがねむろうとベッドにはいると、まどをたたくおとがしました。
 カーテンをひらくと、おほしさまが、まどのそとにいました。ふうこちゃんは、まどをあけます。おほしさまは、ふうこちゃんてのひらくらいのおおきさのからだをもっとちいさくして、

「どうかおたすけください」

 とふうこちゃんにたのみました。

「どうしたの」

 ふうこちゃんがたずねると、おほしさまは、かなしそうなかおをしていいます。

「わたしたちはまいにち、おひさまをおこしにいくのです。おひさまはおねぼうで、おこされないとおきないのです。ところが、おひさまをおこしにいくほしが、けがをしてしまいました。このままではあさがきません。どうか、わたしといっしょにおひさまをおこしにいってくれませんか」
「わかったわ」

 ふうこちゃんはおほしさまをたすけることにしました。ふうこちゃんは、あさがすきです。おほしさまのぴかぴかひかるよるもだいすきでしたが、あさがくるとわくわくするきもちになるのです。

「ありがとうございます。じゃあ、わたしについてきてください」

 おほしさまは、ちぢめていたからだをぱっとひろげます。そうしてからだをみぎにひだりにゆらしました。
 すると、まっくらだったよるのそらがぴかぴかとひかりだしました。ひかりはながいじゅうたんのようになって、とおくまでつづいています。

「このみちのさきに、おひさまがいます。さあ、いきましょう」

 ふうこちゃんは、ゆうきをもって、まどのそとにみをのりだしました。ぴかぴかのみちは、そらのうえにういていましたが、ふうこちゃんがあしをのせると、そこはちゃんとみちになっていました。ふうこちゃんはおうちのにかいよりもたかい、そらのうえにたちました。
 あしもとがぴかぴかとてらされて、ふうこちゃんのおきにいりのパジャマがにじいろにかがやきます。ふうこちゃんはわくわくとしたきもちになってきました。

「ヤッホー!」

 さけんで、とびはねると、ふうこちゃんのこえはにじいろのボールになって、ぴかぴかひかるみちをぴょんぴょんとはねていきました。おほしさまはうたいだし、ふうこちゃんのまわりをとびまわりました。

「さあゆこう おねぼうさんの あさをおこしに
わたしのひかりは みちをてらす
このこのこえは きんのにわとりよりも
おおきなこえさ」
 ふうこちゃんとおほしさまはとびはね、スキップしながら、ぴかぴかひかるみちをすすんでゆきました。

 みちは、やまのようになったり、たにのようになったり、まっすぐになったり、くねったり、いろんなみちになりましたが、ふうこちゃんはげんきにすすんでいきます。
 そうして、いちばんおおきなさかをのぼったら、とうとうおひさまのべっどにたどりつきました。そこは、おおきなおおきなあなになっており、そのあなのそこにおひさまはねむっているのです。ぐうぐうというおおきないびきが、あたりにひびいています。

「さあ、おひさまをおこしましょう」

 おほしさまが、ひらひらととびながら、ふうこちゃんにいいました。ふうこちゃんは、ぴかぴかひかるみちを、おおきくさんかいステップして、いきおいをつけると、

「お、は、よーっ!」

といちばんおおきなこえでさけびました。するとおおきなにじいろのミサイルがとびだして、あなのそこにいくつもむかっていきます。
 ちゅどーん!
 おおきなおとがしたとおもったら、あなのそこが、ぱあっとひかりかがやきました。ふうこちゃんはそのまぶしさに、「あっ」とめをとじました。



「ふうこ、ふうこ」

 めをあけると、ふうこちゃんはベッドのなかでねていました。

「はやくおきなさい。おねぼうさん」

 ママがふうこちゃんのかおをのぞきこんでいます。まどのそとをみると、おひさまがのぼり、あたりをまぶしくてらしていました。
 そのひのあさごはんは、おほしさまのようにきいろくぴかぴかかがやいたオムレツでした。


完.

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