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即興小説「終わらない夜は君の声で明度を上げる」

終わらない夜は君の声で明度を上げる

紺碧のビロードが揺れる空の下で、薄い羽衣を身にまとった歌姫が一人、ぼやけた輪郭で立っていた。かすかに発光しているように見えるのは、彼女が月か星の女神だと脳が錯覚しているせいかもしれない。
実際には、この「夢幻夜《ムゲンヤ》」と呼ばれる昼のない国において、「発光虫」と呼ばれる虫の糸で出来た衣装がそう見せている。歌姫が仄かな薄緑のオーブを発しているのは見間違いではなく、事実として輝いているせいだ。
今夜も愛らしい姿が空を見上げて口を開く。どこか異国の言葉で聴きなれない旋律に乗せて、歌姫の声が聞こえてきた。なんでも、日本国という変わった国の歌らしいが、昼のある国の歌はどこか明るく、胸に響くほど優しい風景が見える気がした。
(完)

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