お菓子で小説シリーズ「ホワイトロリータ」
お菓子で小説シリーズは、一応これでラストになります。
お題「ホワイトロリータ」
小さな頃、母がスーパーで発見するたびに買っていたお菓子がある。懐かしい。買い物に同行していた幼いころの私は、そんなものには目もくれず、子供が喜びそうな玩具付きのお菓子などをよくねだったものだった。
「美味しいのそれ?」
家に帰ってからお茶と共にほおばる母の姿に、ふと尋ねたことがある。
「食べてみたらわかるわよ」
そう言って促された袋に手を突っ込み、取り出した小さな包みを広げ、小さな私はその中身をおそるおそる口に含んだ。
「あんたはやっぱり母さんの子ね」
ふふっと笑う母の顔。大人に成長した今、実家を離れた私はあの頃と変わらない味を口に含みながら午後の休憩を楽しんでいる。