エローン大君 2019/12/20 21:00

アクションゲームの「ジャンプ」、貴方はどんなものが好き?

たくさん2Dアクションゲームを遊んできましたが、「これまでのゲーム体験によってアクションゲーム観が異なる」ということに今更気付きまして。
自分のブログとか、111さんへの感想寄稿とかの時に「操作性がいい」ってちょくちょく言ってたんですが、それは自分にとって良いというだけで、他の人にとっては違うっちゅう話ですな。
数週間ぐらい前にTwitterで呟いたことを改めてまとめる感じで書いていきたいと思います。
あと、「このゲームのジャンプが好き!」って、この記事でコメント欄で教えてくれたら色々と面白そうだなーと感じてますので、

とは言え、肝心の「ジャンプ」について考えないと、なかなか「このゲームのジャンプが好き」というのは上げづらいものです。
そこで、なんとなーくザックリと、ジャンプを分類分けして考えていきたいと思います。
純粋にジャンプと言っても、ゲームデザインとして「ゲームシステムを楽しませるために用いた汎用的なジャンプ」「操作自体を楽しませるための特殊なジャンプ」ってのがあるわけですが、そこ辺りはあまり触れない感じで。

それでは、アクションゲームの「ジャンプ」、貴方はどんなものが好き?


この記事を書くにあたって「ジャンプの考察」なんて格好いい言葉を使いたいのですが、考察というには知識・思考がバカみたいに浅いので、雑談ということでどうか。
ぶっちゃけ、そういうゲーム絡み(ゲームデザインとか諸々)はニカイドウレンジさんが研究されている(後述)ので、そちらの方を読んだ方が良いと思います。
色々最新ゲームを触りながら研究されてるので、読んでいて凄く勉強になりますぜ。

2Dアクションゲームにおける大まかなジャンプは2種類

前提として、2Dアクションゲームの「ジャンプ」を種類分け。
超大雑把に分けると、

  • ジャンプの動きが固定されているタイプ
  • ジャンプ後に軌道を操作できるタイプ

って感じですね。


↑カプコンのストライダー飛竜。
壁掴まりなどがある関係で忘れがちですが、魔界村と同じくジャンプ自体は融通が利かないタイプ

前者は「ドンキーコング」「魔界村」「悪魔城ドラキュラ」などが有名どころ。
マイフェイバリットゲームな「ストライダー飛竜」もこちら側。
海外だと「ピットフォール」(1982年・アクティビジョン)が超有名。

後者は「スーパーマリオブラザーズ」「ロックマン」「がんばれゴエモン」とか。
スーパーマリオブラザーズがこのタイプが増えたターニングポイントだと思いますが、前年稼働の「パックランド」(ナムコ)も一応慣性の制御は出来ます。


↑ジャンプバグ。「車がジャンプするレトロゲーム」と聞かれたらとりあえずこれを答えておけばいい。
個人的に歴史的にはSTG系統だとは思うんですが、ロックマンなどのような「アクションシューティング」として見るとエポックメイキング的な作品?

あと、「ジャンプ後に軌道を操作できるタイプ」としては、「系統的にはお前ほぼほぼシューティングじゃん」って思うところもありますが「ジャンプバグ」(開発はアルファ電子・豊栄産業、販売はセガ・1981年)は開発側としては「スーパーマリオブラザーズより早くやったんだぜー!」的なノリだったみたいです(参考:横スクロールの元祖とジャンプバグ)
国内のビデオゲーム史はスペースインベーダーブームで一気に動き始めたわけですが、色々なメーカーが手探り状態で作っているので、あの時代のゲームを紐解くにあたって何が影響を与えたかって考えるのは野暮なのかなーとは思う部分もあり。でもジャンプバグはディフェンダーとかそこあたりの影響を強く受けてそうだと思うんですよ。

話が超逸れましたが、海外だと「カイの冒険」などに大きな影響を与えた「メジャーハボック」(アタリ・1983年)空中制御あってこそのゲームなので、こちらに該当しますね。

ジャンプタイプごとの特徴を考える

ざっくり2タイプに分けたところで、それぞれの特徴を考えてみます。

まず、固定挙動のジャンプ。
かなり古めなゲームに見かけるタイプですが、前述した通り「悪魔城」シリーズなど新し目な作品でも採用されているのが面白いところ。

固定挙動の特徴は、
作り手的には「プレイヤーの行動を制限できるため、レベルデザインがやりやすい」
遊び手としては「ジャンプする距離・タイミング等が重要であるため、ジャンプ前の緊張・成功時の快感が大きく、またそれが起きる頻度が高い」

作り手側の目線に関しては、ゲームの難易度調整が比較的容易になるのはもちろんのこと、「プレイヤーの行動を制限する」=「プレイヤーは制限された行動内で様々な試行錯誤をする」ということで、悪魔城シリーズ恒例の「何故か壁に埋まってる肉」など、隠しギミックを仕込みやすいのがポイントでしょう。

遊び手側の「ジャンプ前の緊張・成功時の快感」に関しては、

「サーカスチャーリー」(コナミ・1984年)は凄く分かりやすい例だと思います。
火の輪くぐりを始めとして、ジャンプの距離・タイミングに特化しているゲームデザインなので、ジャンプ成功時の快感(もちろん失敗時のトホホ感も)がバンバン味わえる作品ですな。


一方、ジャンプ後の軌道が変更できるタイプの特徴。
作り手側としては「ゲームデザインの幅が大きく広がる」点が一番大きいところでしょう。
また、ジャンプの自由度が上がった分、「キャラを動かす楽しさ」をプレイヤーに大きく推せるのも利点の一つ。
もちろん、プレイヤー側もその楽しさの恩恵を受けるためWin-Win……と思いきや、レベルデザイン面がその分ややこしくなるので、上手くプレイヤーを誘導出来ないとお互い悲しい気持ちになること請け合いです。

このタイプのジャンプについて考えるにあたっては、非常に重要な要素が存在します。
軌道が固定されているジャンプとは異なり、皆がみんなジャンプ後の軌道が変えられる「だけ」だとアクションゲームの多様性は生まれないことでしょう。。
そこで昔から重要視されてきたのが「慣性」です。
この話に関しては、軌道が固定されているジャンプにも若干関わってきますので、考えていきたいと思います。

2Dアクションゲームにおける慣性

まず第一に読んでいただきたいのが、上でご紹介させていただきました、ニカイドウレンジさんがつぶやかれたものをまとめたこちらのTogetter。

『スーパーマリオ』のファイアはなぜ斜め下に落ちるのか / ハンマーブロスは「伏線」だった

ファイアボールを元にして、「スーパーマリオブラザーズ」において何故ジャンプが楽しいのかということについて言及されています。
ここで「ジャンプが楽しくなる要素」の一つとして「慣性」を上げておりますとおり、2Dアクションゲームのジャンプについて語るにはやはり必要不可欠なものだと言えましょう。

慣性については、比較的初期なシューティングゲームの時代から存在してまして、まあ一番見た目的に分かりやすいのはアステロイドですな。
加速できるはいいものの、強烈な慣性がかかるのでUFOが弾を撃ってこない限りはほとんど動かない方がいいゲーム(逆に言えば、UFOでプレイヤーを動かすようゲームデザインしている)。
移植に恵まれていますしフォロワーゲームもありますので、是非遊んでみて下さい。

日本における慣性は、個人的には任天堂が物凄く意識している印象と思います。
凄く分かりやすい例を挙げると「アイスクライマー」は、助走の付け方次第でジャンプの挙動が大きく変わるので、「慣性とジャンプを楽しませる」ことにほぼ特化したゲームだと言えます。
「マリオブラザーズ」にも流石にアイスクライマーほどではありませんが慣性はありますし、ジャウスト(ウィリアム・1982年)に大きな影響を受けた「バルーントリップ」を作ったというのも割かし興味深いところ。

上に挙げた任天堂のゲームは、遊んだ方も分かる通りかなり慣性が強め。
その中で現れた「スーパーマリオブラザーズ」は、強くもなく弱くもない非常にいい塩梅の慣性をもっていて凄い面白い感じになったのだと思います。
「1-1に出てくる最初のクリボーで死ぬ」なんてあるあるネタが出てくるのは独特な慣性があるからだし、それでいてゲームの理不尽さに繋がらないのは、そのクリボーこそがジャンプの慣性に関するチュートリアルになっているから、といった感じ。
超慣性が強い「アイスクライマー」と同年に出たことを考えると、「慣性とジャンプを楽しませる」というのを推しながらも、極端にはしないというバランス感覚が面白いですね。


一方で、ジャンプの軌道が操作できるゲームの中でも、慣性を抑えた・慣性自体が無いゲームも存在します。
最初に挙げたゲームの中ではロックマンが分かりやすいでしょう。個人的に遊ぶ中ではメタルスラッグとか魂斗羅とかも。
スーパーマリオブラザーズのBダッシュのように、主人公が加速する要素が無いものは当てはまりやすいのではないでしょうか。

固定軌道のジャンプの利点である「プレイヤーの行動の制限」と、軌道の操作が出来るゲームの「操作のしやすさ」
2タイプのジャンプの良いとこどりをするために、慣性を取り除くとという理由が多いでしょう。
慣性があるということはプレイヤーがそれに振り回されることでもありまして、ステージのデザインを間違えるとストレスの元になってしまいますし、逆に慣性を使って想定外のクリア方法をされてしまう(誘導の失敗)もあり得ます。
プレイヤーが遊びやすくなる&レベルデザインがやりやすくなる、と慣性を消すことで一挙両得なことになるわけですな。

極端な例だと、「慣性があるとマジで邪魔になる」ゲームデザインだから、という場合もあります。
例えに出したロックマン・メタルスラッグ・魂斗羅などは敵の攻撃が激し目、かつ的確に攻撃を当てなければならないアクションシューティングです。
そのため、下手に慣性を入れてしまうと、プレイヤーが望まぬミスを連発してしまってお互い悲しいことになるのを防ぐことができるのです。
メタスラ3のロカ様戦、ただでさえアレなのにジャンプに慣性まであったらブチギレられたことでしょう。それを避けるためにも慣性は殺さなければならないのです。PEACE FOREVER!
アクションパズルも、思考とアクションを両立させないといけないので、下手に慣性を突っ込むとマズい感じになっちゃいそうですな。

余談ではありますが、慣性を完全には無くさず、エッセンス的に入れることで、ゲームの起伏を表現するという手法もあります。
例えば、ステージ前方から強風を吹かせることで、強風の干渉で起こるジャンプへの慣性を生み出すなど。
素直な挙動をする普段とは異なるジャンプ操作が必要になってくるので、特別なステージとしての印象付けとかもしやすいことでしょう。

2Dアクションゲームの「ジャンプ」、貴方はどんなものが好き?

というわけで、色々と2Dアクションのジャンプについて書いてまいりました。
固定された軌道をたどるもの、軌道をのちのち変えられるもの。
大きく分けると2タイプ。それに加えて慣性の話もさせていただきました。
前述した通り、私自身知識・思考がバカみたいに浅いので、突き詰めれば「アクションゲームのジャンプ」にはもっと様々な要素が絡み合っているんじゃないかなぁ、とは思います。真面目に研究したわけじゃないからね。

ここで改めて自分のブログや111さんの感想寄稿で書いた「操作性」について考えて見ると、ロックマン的な「慣性の無い軌道を変えられるタイプ」が個人的に好みなのかなぁ、と思います。更に言うなら、ダッシュとか出来るロックマンXとか。
それとは別腹で、壁掴まりとか出来るのであれば固定軌道もOK(ストライダー飛竜)、みたいな感じですかね。
バイオニックコマンドーも好きなあたり、純粋に普通のアクションゲームというだけでなく、何かしらアクションに一味足した感じのものが好きっぽい感じです。並べたタイトル見ると全部カプコンだな。

とは言え、やっぱり普通にスーパーマリオブラザーズシリーズも好きですし、エロ同人な話になってしまいますがヨ〇チカ作品で、ゲームの操作性として高く評価しているのは「慣性がある」ものだったりするんですよね。
一番好きなのは上記のものだけど、何だかんだで慣性があるのも好き、という感じですね。アイスクライマーレベルになると実は苦手だったりする。

まあ、色々と書いてまいりましたが、ゲームの操作性というのはクリエイターにとってもプレイヤーにとっても重要なところであります。
上の文章を読んで「あ、自分ってこんなジャンプが好きだったんだ」と思ったら、ゲームタイトル付きで適当にコメント欄にでも書いていただければ、個人的にニヤニヤしながら楽しみます。

全年齢向けの同人はやりたい通りに作れますが、成人向けの同人の場合はエロコンテンツとゲームデザインを両立させないといけないので、「慣性の無い軌道を変えられるタイプ」が多いイメージがあるんですがどうなんでしょう……?

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