さとうたくや / n-s-lab Aug/01/2025 21:29

DTMでの再生環境の個人的な端書

DTMも音楽もまぁまぁしばらく続けてきている僕の
再生環境に関するちょっとしたメモを書きつつ、自身の考え方を言語化して整理してみようと思います。

スピーカーとヘッドホンについて

当初僕もスピーカー使わないタイプのひとだったんですが
個人製作とかを初めてまともにミックスを考え始めたタイミングで「スピーカーあった方が良いのか?」と思って買ってみたのが始まりです。

結論から言うと
スピーカーはあった方が絶対良い、ヘッドホンも併用すべき
です。

おそらく、
完璧な環境が出来るという理想ベースで考えるのであれば
スピーカー環境をきっちり整えればヘッドホンの重要度はかなり下がると思います。

しかし実態として、
・音量を出せない
・金銭的な限界がある
の2点を加味したDTMにおいては、スピーカーとヘッドホンはお互いを補い合うため同程度の重要度を持つ機材になると思います。


スピーカーのメリット

  • 耳が疲れない
  • 左右定位が分かりやすい
  • 左右の音が自然に混ざる

あたりがメリットだと思います。

耳が疲れないというのは、
耳元でガンガン鳴らすヘッドホンイヤホンが疲れやすいという比較の話ですね。
楽曲の音量変化がダイレクトに耳に伝わるのでその分機気疲れしやすいのがヘッドホンやイヤホンだと思います。

長時間作業するうえで、スピーカーで作業した方が変な疲れ方はしづらいと思います。

ただ現代人は昔に比べてイヤホンやヘッドホンの着用時間が長く、生活の一部になっている人も多いので
体が慣れてヘッドホンでも聞き疲れしづらい人は増えていると思います。


左右の定位が分かりやすいというのは、僕の経験則です。

一見左右がきっちり分かれているヘッドホンのほうが定位感が分かりやすいようにも思えますが
左右100%ではなく、20%,40%と言った微妙な移動に対しての音像感が
スピーカー間の幅を目安に「この辺り」と言うのが感覚的にスピーカーのほうがつかみやすいです。
おそらく知覚できないレベルの音の遅延を脳が読み取り
左右それぞれのスピーカーからの音声を聞き分けているのかも、と思います。

完全に分離されているヘッドホンだと
左右のバランスは左右の音量差だけの感覚になるので、訓練を積まないと左右の定位感がはっきりとわかりづらいのと、その日のコンディションによっても左右される率が上がる気がします。


左右の音が自然に混ざる、というのは先ほどの定位の話にもありましたが
左スピーカーから出ている音も右耳でも聞こえてくるので、左右の音色が適当に混ざって聞こえます。

左右で明らかに位相がズレて変な音など、ヘッドホンだけでは気づきづらいミスに気付ける余地があります。


ヘッドホンのメリット

  • 周りに迷惑をかけずに大音量で聴ける
  • 細かい音を正確に聞ける
  • 比較的ローコストで高音質

まず第一に音量が稼げます。
音量を上げないと聞こえ切らない音域とか楽器があるのは確かなので
ミックス時には音量を上げるべき場面はあるんですが、スピーカーだと近隣の迷惑になる可能性が高いです。

人口密度の高い現代の都会民ならスピーカーでの大音量モニタリングは現実的に不可能です。


二つ目の細かい音を正確に聞ける、というのは音量の副産物でもありますが
耳元で鳴るヘッドホンやイヤホンは部屋の反響や空気による減衰が起こりえないので、音源をダイレクトに聞くことが出来て、ノイズなどの細かいエラーにも気づきやすくなります。
ミュージシャンのレコーディングのモニターがスピーカーではないのも
ハウリングなどの制約的な理由もありますが、ノイズが分かりやすいという利便的な理由もあります。


そして3つ目のローコストで高音質ですが
あまりデータ的な良し悪しだけで判断することは意味を持たないのですが
一例として、再生周波数帯域で考えると
ある種の定番でもあるクラシックプロのCPH-7000は6000円前後で
再生周波数特性:10~30,000 Hz
となっています。

モニタースピーカーの定番機種である iLoud micromonitorだと
35,000円程度で
・周波数特性(-10dB):45Hz~22kHz
です。

同じく定番のYAMAHA HS5だと 35,000円程度で
■周波数特性:54Hz-30kHz

僕も使っている JBL305Pだと 30,000円前後で
■周波数レンジ:(-10dB) 43Hz - 24kHz


人間の可聴音域はおおむね20 - 20khzと言われているので
その範囲だけ考えても、たった6000円のヘッドホンで再生できる20~40Hzの低域が
数万円のスピーカーだと再生できないことになります。

またスピーカーだとこの3万円代は「エントリークラス」とも呼ばれる価格帯ですが
ヘッドホンだと3万円台は「ミドルクラス」に当たる価格帯だと思います。
(この辺りは個人の感覚もあるので微妙ですが)

再生可能な音質に対するコストとしてヘッドホンのほうが割安だと思います。
ネットを見てもポータブルオーディオマニアは多くいますが、ホームオーディオまで行くとガクッと人口が減るのは単純にお金がかかるからですね。


スピーカーとヘッドホンの使い分け方

長所を有効に使える役割分担をすればよいと思います。

DTMに当てはめるなら
アイディア出しを含む作編曲の大枠は、聞き疲れしにくいスピーカーを主体とする
レコーディングやミックスの序盤は、繊細に聞こえるヘッドホンを主体にする
ミックス後半やマスタリングは、併用して全体バランスと細部の追及を両立させる

と言うようなイメージです。

もちろんこの使い方に縛られる必要はないんですが
特に最後の仕上げの段階で、スピーカーとヘッドホンを併用していくことは有意義だと感じます。


ヘッドホン・イヤホンの選び方について

僕なりの選び方を文字に起こしてみます。


1.目的を決める

漠然と「良いヘッドホンが欲しいなー」で決められるほど選択肢は少なくないです。
いわば料理人が包丁を選ぶようなものです。

もちろん万能包丁のようなある程度なんにでも使えるものを選ぶのもアリなんですが
目的を絞って選ぶことで、そのヘッドホンでしか得られない何かを得られる確率は上がると思います。

特にスピーカーに比べてローコストなので
目的別に複数持って比較するくらいで丁度よいと思います。

というよりこだわりの1台に全幅の信頼を置くよりも
複数併用の方が安定したクオリティで制作できると思います。


目的と言ってもわからないかもなので
良くある購入目的をざっくり分類すると

  • レコーディングやミックス用にきっちり聞こえるヘッドホンが欲しい
  • 制作向けに全体バランスの良いヘッドホンが欲しい
  • テンション上がるような、好きな音が鳴るヘッドホンが欲しい

の3つに分類できると思います。

目的を絞ると、選ぶヘッドホンの特徴が見えやすくなります。

たとえば、1つ目のレコーディングやミックス用のモニターは
おそらく外音遮音性の高い密閉型、精緻に音が聞こえるような再生帯域の広いモデルなどが候補に挙がり
2つ目の全体バランスが良いヘッドホンになると
開放型なども含めて、より自然に聞こえるような大型モデルが候補に挙がります。
3つ目はそういう細かい話を抜きにして
低域が出ている方がテンションが上がるとか、ボーカルが聞こえる中音域重視のほうがテンションが上がるとか、個人の好みで選べると思います。

2.予算を決める

ヘッドホンはピンキリで価格帯が広いので
予算はあらかじめ決めた方が良いです。
ただピンポイントで「3万円前後」みたいにしちゃうと、かえって1万円台のちょっと良いヘッドホンを見逃したりしちゃうこともあるので、
個人的には、予算を決めたら上はある程度かっちり諦めますが、下限はあまり考えずに良さそうなヘッドホンを見つけたら一旦検討してみるのが良いと思います。

1.5万を超えたあたりからは、技術力や素材によるコスト増も影響するので
好みの音次第では「シンプルだけど最高の1台」が低価格帯にある場合もあります。

3.なるべく実際に聞いてみる

これはスペックシートや評判だけではわからない部分を聞くというのと同時に
耳の形状や頭のサイズなど、物理的な制約に対しての相性を確認する意味も持ちます。

音質が良くても、耳が痛くなるヘッドホンよりも
多少妥協しても長時間つけていられるヘッドホンのほうが制作では便利だったりします。
特にそれが最初の1台目ならなおさらですね。

2本目以降で目的をピンポイントで絞り込んだなら付け心地をある程度優先度下げるのも良い気がします。


スピーカーの選び方について

こちらは僕もあまりたくさんスピーカを選んだ経験が無いので
経験則は浅めになります。


1. サイズと出力を決める

音質うんぬんの前に、これが大前提だと思います。

スピーカーに関して、制作で使いたいなら
大は小を兼ねないと思います。

最近のパワーアンプはトランジスタで音量による音質差は減ったとはいえ
可能であれば、十分に性能を使い切れる音量で使った方が音質は上がります。

評判が良くて値段も安いから・・・と使い切れない60Wのパワードスピーカーを家に置くよりかは
20Wくらいのスピーカーの性能をきっちり出し切った方が良い音になることも多いです。

後は置き場所を加味したサイズですね。
卓上に置くのかスピーカースタンドを使うのかでもだいぶ変わると思います。

1-2. サブウーファーを使うか決める

サブウーファーを使うかどうかでかなり大きな差があります。
先のメリットデメリットで「スピーカーは低域が出ていない」と言う話もありましたが
そこをきっちりフォロー出来るのがサブウーファーの存在です。

サイズにもよりますがかなり30Hzくらいまではきっちり出し切ってくれるようになります。

とはいえ、集合住宅で使うには物理的振動と感じられるほどの低音は厳しいと思いますし

サブウーファーは適当に調整出来なければ、全体のサウンドバランスを損なう場合もあります。


素人がサブウーファーを導入するなら、
メーカーを揃えて推奨セットアップを維持するか
音響測定ソフトを使って適切なバランスを自分で調整できるようにするか
のどちらかをする必要があると思います。

なので結構ハードルは高いですが
本気でスピーカーを使ったミックスとマスタリングをしたいならサブウーファーを入れる価値はあると思います。
僕も入れたい。

2. 目的を決める

ヘッドホンほど安いわけでもなく、複数台用意しても置き場所や切り替えが大変になるので、おそらくスピーカーは1台である程度なんでもこなせるタイプを選ぶことになると思います。
なので、スピーカーの場合は目的がモデル選びに直結するとは思いませんが、サウンドキャラの傾向などを考えた際に、ある程度目的をベースに選んだ方が迷わずに済むと思います。


3. 価格帯を決める

こちらもハイエンドに行くとバカみたいに金額が高くなっていくので
事前に価格帯を決めておかないと、どんどん高い機種が欲しくなっていくので事前に決めておきたいですね。

ヘッドホンに比べると、まともな音を鳴らすための本体設計の自由度が低いのか
価格帯と品質の相関性がより高い印象はありますが、コストに対する音質の上がり方は小さい気がします。

4. 見た目で選ぶ!!

ヘッドホンもそういう傾向はありますが
スピーカーはある種の部屋のインテリアになりうるサイズ感と存在感なので
見た目も結構重要なファクターだと思います。

価格帯と品質の相関性が高いので、ある程度見た目で選んでもそこまで微妙な音質になりにくいと思います。
迷ったら見た目で決めて良い、と思うだけで個人的にはだいぶ選びやすくなりますね。

5.できたら音を聞く

とはいっても、なかなか音を聞き比べられる場所は少ないです。
安くない買い物なので多少遠出してでも聞き比べられるとベターではありますが、定番モデル以外だとなおさら聞ける環境は限られると思います。

DTMに強い楽器店か、オーディオ専門店あたりは比較できる可能性があるので、出来る店舗を探していきましょう。

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