くろあめ工房 Nov/16/2024 18:00

結闇のナルカ 制作反省会(ナルカ公開後対応その4)

かれこれ2年ちょい、40記事以上にわたって続けてきた
ナルカの開発進捗&公開後対応も、これが最終回
光陰矢の如しといいますが、本当にあっという間でした。

既に頭の中は新作モードに切り替わりつつある私ですが
モノを作った以上、それは次に生かすべきであり
そのための振り返りは欠かせないと思います
というわけで、ナルカ開発記事の最終回は
私の「クリエイターとしての自戒」を込めた
ナルカの製作反省会としたいと思います!

反省会である都合上
本編がつまらなくなる必勝法などにも、普通に触れているので
ナルカプレイ中の方は、読むのは遊び終えてからにしてくださいね。


ナルカプレイ済みの方にも、予めお断りしておきます
本記事は「結闇のナルカ」という作品が、凄く好きな方や
くろあめ工房作品の中で、一番好きという方にとっては
不快に感じる可能性が極めて高い記述があります。

正直なところ、書くかどうか悩んだのですが
実際に、制作を通じて作者が感じたことを
ありのまま残しておきたいので
容赦はしないことにしました。


ここまでで、読むかどうか迷った方は
回れ右することをお勧めします。

ゲームの作り的な事

まずは、次回作にも直接生きてくる
RPGとして色々とどうだったの!という部分の反省からです!

プレイヤーさんから突っ込まれたものも
今だ突っ込まれてないものも
色々ひっくるめて、こき下ろしつつ見ていきましょう!
作者自身がやるんだ!遠慮はいらねえ!

本編のお話と尺、設定について

今回のナルカは、くろあめ工房作品としては初めての短編でした
普段5~6話構成のお話を3話に切り詰めた結果
戦闘やダンジョンなど、ゲーム的としての部分は
後述の問題はあるにしても
それなりに手堅く作れたと思っています。

……が、その一方で
メインシナリオに関しては、いつもに比べると
質が落ちたかなぁと思う次第です。

これは、ナルカという世界の設定を
普段の尺で考えたのが間違いでした
5~6話に詰め込まんとして組んだ設定を
3話に押し込むのは、無理があるわけで
結果的に「設定を丁寧に説明してくれるラスボス」という
くろあめ工房作品では中々見られない奴が出てきたわけですね。

せめて、あと1話あればと思ったんですが
それに気づいたのは2話作成の後半
引くに引けない状況で、最終的に取った手段は
普段やらない
「本編のオチとネタバラシを後日譚に渡す」
ことでした。

これに関しては、次回作はいつも通り
「その世界の話とオチは本編でケリをつける」
方向性にしたいですね。

クエストの受注口について

前回のアンケート記事でも触れましたが
ナルカのサブクエストは、統一された窓口ではなく
探索中に出会った人々から個別に受注します。

これがまあ、よろしくなかったですね!
隅々まで探索しないプレイヤーさんの事を
全く考慮していなかったです
X(Twitter)で上がってきた感想を見てても
クエストを取り逃してるプレイヤーさんが目立ちました。

ちょうど基礎設計してたのが
ダクソを遊んでた時期だったので
たまにはこういうのもいいか、と思ったのが間違いでしたね
フロムゲーは人を選ぶ事を忘れてはいけない……


次回は、デモナと同じく
各地の拠点での受注式にする予定です
拠点で受けないクエストも、拠点にとっかかりを作ります。

マップの接続・つくりについて

ナルカを含めた私の作品は、探索を主とするゲームなので
マップの接続が、ある程度複雑になることは
致し方ないと思っています。

……が、それとは別に
二章と三章が、探索開始時点を基準にして放射型に広がっていく
マップデザインが被ってしまったのが、よろしくなかったです
北部の東西接続こそ、三章にはありませんが
探索中に既視感を覚えた方も、いたのではないでしょうか。

加えて、プレイヤーさんからの意見ではないのですが
私個人としては、テストプレイを通す度に
「三章(世界断面)」の探索がだるい、と感じていました。

マップ数的には、二章のヴェレノ市街と変わらないのですが……
石塔の、敵を回避し難い作りが悪いんじゃないかと思ってます。

ランダムダンジョンについて

今回のランダムダンジョンは、デモナまでのそれと違って
用意されたマップパーツを繋げる方式を取っています。

なので、飽きが来ないように
同じ接続先のパーツでも複数用意したりと
見栄え的にマンネリ化しないよう気を付けたつもりだったんですが
それ以前に、マップチップが変わり映えしなかったんですよね
パターンを作るなら、こっちだったという話です。

故に、デモナよりも探索の飽きが早かったと思っています
ついでに、システム上あまり狭くできないのもあって
これまでのランダムダンジョンより
1フロアがひと回り大きことを考慮しない配置をしたのも
悪手だったかなと思います。

このあたりは、今回取れたデータがあるので
次回は可能な限り改善したい次第です
ただ、MZ版ランダムダンジョンは
デモナまでに比べて、段違いに工数が重いので
そこらへんとも相談ですかね。

回避特化強すぎ問題

調整方面で一番やらかしたと思ったのがこれです。

今回、短編という事もあって
普段なら制限しておくものを極力取っ払った……
という話は、何度もしてきましたが
ちょっと取っ払い過ぎたのが、回避率です。

なにせ、一限装備がちゃんと一個しかない一周目の内に
90%に近い回避率を出せてしまうのは
ダメだろこれ、としか言いようがないです
何が悪かったかといえば
APで回避率を強化できることを失念した調整、ですかね……

ちなみに、前作デモナは
回避率に全力でぶっぱして、60%行くかどうかでした
(ナルカと違って、結構なペナルティ込みでこれが限界です)
デモナまでの作品だと、同じレベルの装備から得られる
必殺率(など)の加算値と回避率の加算値って
倍くらい差があります。

回避率関連は、次回は確実にきつくしますが
今作は、以降に大きな調整をするつもりはありません
やってはいけない実例として、残しておきます!

使い込みシステムの廃止

本作では、前作デモナまで7作ずっとスタメンだった
「スキル使い込みシステム」を廃止しました。

主な意図としては、これがあることで
スキルデザイン(主に火力面)の幅が狭められてしまうことが
ジャンクリラ辺りからかなり気になっていまして
じゃあ一回切ってみっか!と
ナルカでは実験的に廃止してみることにしました。

その結果、デモナまでとは違った意味で
「通常戦闘を重ねる」うま味が減ってしまったと
痛感しています。
※デモナまでは雑魚戦の経験値が少なかったため
 基本ボス戦のみの通過でもどうにかできちゃってました。

RPGたるもの、戦闘を重ねることによって
主人公たちが強くなっていことは、醍醐味のひとつだと思います
ナルカは、主人公の能力が装備に強く依存することもあって
その辺の醍醐味が薄いなあ、と感じています
要は、敵躱して宝箱開けるだけでもいいわけですからね。

この辺は、デザイン的な欠陥だと認識してますので
次回は何らかの形で、雑魚戦を重ねることに意義を持たせる
成長システムを組み込もうかと考えています
現時点での候補は、デモナに実装している
系統使い込み値&スキル個別使い込み値の復活が
最有力候補になっています。

属性は使い込み値は、属性出力との兼ね合いが
ややこしいので、ちょっと考えます。

スロット式装備システム

ナルカで初導入した、いわゆるマテリアと同じタイプの
スロット式装備システムですが
これは、良かった点と悪かった点、半々じゃないかと思っています。

良かった点は「スロットの増加」という
上位武器の付与価値として
非常に効果の高いものが生み出せたこと。

悪かった点は、霊鱗一枚の性能が高いこともあって
一部の特例を除いて、スロット数が少ない武器が選ばれることが
少なかった点です。

本編でも、低スロット武器が
竜潰し並みにぶっ飛んだ性能であればよかったんですが
それに頼った攻略をされるのは如何なものか、と
ブレーキかけたのが裏目に出たと思います。

妥協点としては、異常付与や弱体付与系の武器をユニークに回さず
低スロット武器の効果にすれば、結構違ったかもですね
防具も、霊鱗二個分の完全耐性とか……だと、ちょっと弱いか。

いずれにせよ、このシステムは
次回続投かはちょっと怪しいと思ってます。

必殺率/必殺倍率の重要性

クリティカルの頻発と、多段クリティカルシステムの搭載という
くろあめ工房作品として、仕方ないところも多いのですが
ナルカでは、武器防具にしろ、霊鱗にしろ
必殺率や必殺倍率に補正が付く奴が優先されがちです。

実は、開発中のナルカは
これに対する回答として、防御に重きを置く調整になっていて
火力ぶっぱ構成だと殴り負けるようになってたのですが
テストしてみると、いかに反撃で手数を稼ぐかが最重要の
気持ち良くないバトルになってまして……
結局、いつもの高火力での殴り合いに寄せた形になりました。

ですが、くろあめ式クリティカルシステムを運用する上で
避けては通れない課題ではあると思うので
次回の調理法は、色々検討してみます。

ちょっと横道に逸れますが
近年の、戦闘があるゲームの成長要素・強化要素って
最終的に、火力を高めるところに行きつくものが殆どですよね。

これができない(プレイヤーの工夫で火力の底上げが出来ない)作品は
プレイ体験として面白くないということは
私自身、商業作品で何度か目の当たりにしているので
そういうレベルデザインに収束するのは、仕方ないことだと思います。

その一方で「それでいいんか?」と囁く私もいます
次回作は、世界観設定を鑑みると
いつもの高火力応酬ゲーにすべきだと判断していますが
その次があるなら、装甲ゲーに挑戦してみたいなぁと
次回作とは別に、密かにネタを温めてたりします。

私は、モンハンで言う火事場力のような
重めのペナルティありきで火力を出すビルドが好きではありません
ちゃんと装甲を抜ける火力を確保したら、あとは防御に回すマンです
これをうまくRPGに落とし込めないかなあ、難しいかな……

ちなみに、恐らくナルカからの初見のプレイヤーさんから
多段クリティカルシステムを無くしてみては?
という意見が来てましたが
それに関しては、断固拒否します。

ナルカだけ遊ばれたプレイヤーさんからすると
要らないんじゃね?という意見が出るのもわからんでもないですが
これがあるから、過去作のユーディアやロダネのような
超火力ロリを描けるんだヨ!わかったか。

スキルツリーデザインの狭さ

これは、テストで複数周回した時に気づいたんですが
もうバランスも固まってたので、渋々そのままお出しした奴です。

前作デモナは、例えば魔導砲を主砲に据える場合でも
デモンファイア連打、クリムゾンマグナム狙撃
運気特化アビスバレット、などなど
同系統の中でも、プレイヤーそれぞれの火力の出し方がありました。

しかし今回のナルカは、特に槍霊儀メインだと
最終的に毒竜戟+鴉乃番で大ダメージを狙う戦術に収束しがちです
ぶっちゃけ鎚霊儀も、火竜咆のRT中に呪砲連打になりがちです。

剣霊儀は、何を使ってもそれなりの火力が出ますが
最終的には、敏捷ぶっぱで嵐の舞連打に落ち着くと思います。

何が言いたいかというと
ナルカは「もう一周遊ぼう!」と、手に取って貰ったときにも
似通った味になりがちです
一個前のデモナが、この辺すごく柔軟にできていたので
今回の明確な劣化点のひとつだと捉えています。

これはひとえに、今回のスキルツリーの設計ミスです
短編だし式神灯あるし、メインスキルは3系統でいいや
と、妥協したのが間違いでしたし
武器霊儀ツリーを1画面スクロールなしに押し込む!
という発想に縛られていたのも、悪手でした。

次回は、いつも通りの長さの作品になる予定ですので
デモナ由来の4系統スキルツリーかつ
1系統のスキル数も相応に増える予定です
あの系統使ったことないから、次のプレイでは使ってみよう!
……と、言ってもらえるツリーにしたい次第です!

スキルの命名規則

私の作品では「味方のスキルはカタカナ」「敵のスキルは漢字」と
敵味方で命名規則を変えることによって
今行動しているのが、敵か味方か判別し易いようにする
ルールを設けています。

ナルカは、いつも通りだと面白くないので
「味方のスキルは漢字」「敵のスキルはカタカナ」の
普段とは逆の命名規則を採用しました。

その場のノリで逆転させた規則、ここまでならまだよかったのですが
色々とこねくり回すうちに、味方のスキル名に使われる漢字が
カッコよさ優先で、複雑なものばかりになってしまいました。

その結果、味方スキル欄がやや見辛く
目的のスキルを探していると、眼が疲れやすい
という、これまでの作品には無い欠点が爆誕しました。

おまけに、最終的なナルカの味方スキル名称は
私自身あまり気に入ってないので
結果としては二敗したことになります
気づいた時にはもう図鑑テキスト書き終えていた段階で
修正する工数が大きかったのです。

次回は、味方カタカナ敵漢字のいつものルールに戻す予定なので
同じ問題は発生しないと思いますが
こういうやらかしをしたという事実は、肝に銘じておきます。


以上、ゲームの作りとして甘かったな
と、思う部分でした!
これ以外の微妙ポイントもあるとは思うのですが
その辺は作者的に、変えられない部分だと思ってください。

とはいえ、忘れてる可能性も大いにあると思うので
コメントでの突っ込みは大歓迎です!

心構え的な事/ナルカのあとがき

そしてここからは、気持ちの問題的な部分になります。

恐らくナルカは、フリーゲームとしては
割と上澄みの結果を得ることができたと思っています
……が、それで私自身が嬉しかったかというと
けっこう微妙なところなのです。

その辺をひとつひとつ、追っていくことで
私自身の、そしてゲーム創作をする作者の皆様の糧に出来れば
なによりです。

ネタの温存は是か非か

まず、端的に言ってしまうと
私は「結闇のナルカ」という作品そのものに
そこまで思い入れがありません。

何度もお話したことですが
そもそもナルカは、本来第八作目の為に温めていたネタを温存し
次々回の九作目では使い難そうなネタを集めて作った
いわば、代打とも言うべき作品です
立ち位置的には、ボツネタの集合体から生まれた
「灰色の衰退世界日記」に似てますね。

ツールの以降直後(今回はツクールVXAce→ツクールMZ)の作品は
よほどうまくやらない限り、色々とアラが出る事は避けられません
「だいちのかけら」と灰色の日記の時に、それを痛感した私は
今回は、あえて「実験作」を作ることによって
温めていたネタをよりよいモノにする、土台を作ることにしました。

その結果「土台作り」は成功したと胸を張って言えます。

しかし、思い入れの強くないナルカは
ここがゴールになってしまいました。

これまでの作品は、その規模はどうであれ
あとから機能追加や改良などを随時行ってきました
これは、過去作それぞれには私なりの思い入れがあって
可能な限り、各作品を良い状態にしてあげたい
という気持ちがあったからこそ、行えたことです。

しかしナルカにおいて、アフターフォローをするかどうかの判断は
次回作に必要な改善かどうかが、すべてになってしまい
「結闇のナルカ」という作品の完成度を高めるだけの改修は
実施を見送ることになりました。

あまり良くない言い方ですが
ひととおりプレイヤーさんに遊んでもらって
バグの駆逐や、ゲームとしての改善点を洗い出した時点で
ナルカの役割は終わったということになります。

「より多くの人の手に取って貰うための改善」を
ナルカでやってあげる気には、ならなかったのです。

コトレッタ達の事

何故、ナルカは割り切った対応をすることになったのか
一番の原因は、コトレッタとフェルミのふたり
作品の中核となる主人公たちに
「熱が籠ってない」ことだと思います。

ロダネ、ユーディア、リンデン、以下略…
歴代主人公たちは、私が日々の生活の中で感じた思いをインクにして
描いてきたつもりです。

対するコトレッタやフェルミは
「そこまでやった?」と聞かれると
「そうでもないよ」と、答えるくらいの子たちです。

どう書いたらいいか難しいところですが
二人とも、主人公よりはその相方に近い感じで描いたんですよね
アメトやベルシュ、クロナに近かったと言うべきでしょうか。

キャラを起点に作品を創り上げていく作風に対して
その起点に、十分な熱が無い場合はどうなるか?
作品は、必要以上には膨らみません。

コトレッタとフェルミは
「くろあめ工房作品のキャラクター」としては
基準点には達していると思います
7作分のノウハウで描き上げた彼女たちは
一定水準の可愛さを持っているはずです。

ですが、そこを超えて
プレイヤーの皆さんの心に
爪痕を残すだけの力があるかと言われると
ちょっと怪しいかな、とも思うわけです。

歴代作品をプレイ済みの皆様の中には
「今回の主人公も可愛いけど、あの子ほどじゃないな」と
感じた方も少なくなかったのではないでしょうか?
前回のアンケート集計にも、結果として出ていますからね。

コトレッタ達の余談

コトレッタ達については、悪い事ばかりでは無くて
思い入れが強くないからこそ、雑に扱っていけることは
思わぬ成果だったのかもしれません。

以前私は、X(Twitter)のアイコンをロダネにしていました
これはデモナの宣伝も兼ねていたので、しばらく固定していましたが
丁寧に描き上げたキャラだからこそ
「作者=ロダネ」のイメージが付きかねないのは
なんだか嫌だなあ、と常々思っていました
ところが、コトレッタだと「まあいいか!」になるんですよね。

次回作のヒロインの子も、ロダネ並みの怨念が籠った子です
なので、ヘッダに載せることはあるかも知れないけど
アイコンにはしないと思います。

そんなわけで、コトレッタ(とフェルミ)には
しばらく作者のアバターとして、出ずっぱりになってもらう予定です。

誰が為の創作か

話を本筋に戻します。

人それぞれかと思いますが
私は、フリーゲームの創作活動は
究極的には、自分の為のものであると考えます。

自分で、自らの世界を創りきった達成感や納得
制作の後に、己のよすがとなっていくそれこそが
フリーゲーム制作の、何よりの報酬だと思うのです。

勿論、アウトプットした作品に対する評価は
達成感や納得をより強固にするので、大切ではあるのですが
多くの高評価をいただいても
自分が、あまり作品に入れ込んでいない場合はどうなるのか?

今回の創作では、身を以て知ることになりました。

あくまで、私自身の場合と断っておきますが
作者として、強く感情移入していない作品に対する反応は
創作の疲れを癒すことはなく、作り手の心を満たすことはありません。

10年以上フリゲ制作を続けてきて、初めて感じた
「私の為にはならなかった創作」
それこそが、私のナルカに対する正直な気持ちです。

前作デモナが、全身全霊を籠めたものであり
なおかつ相応の評価が帰ってきた作品でなかったら
私はここで折れていたかもしれませんね
拠り所があるって良い事です。

得たものはあれど

得るものが無かったと言えば、嘘になります
先の項で書いた「私の為」とは
経験値的な蓄積が無かった、という意味ではありません。

先に書いた通り、当初の目的である
「MZ製くろあめ工房作品のベースシステム構築」という観点では
ナルカは150点くらいたたき出してると思います。

プレイヤーの皆さんが、私の作品に何を求めているかもわかったし
求められていたものの基礎を、MZの土台で作り上げることもできたし
システムやシナリオで、やってはいけないことも洗い出せた
次回作の下地作りとしては、これ以上ない結果でしょう。

ただ、私は「プラスアルファ」があるだろうと
どこかで高を括っていました
完成した暁には、心に充足感があって当然と考えていたのです。

もっとドライになりきれていたのならば、よかったのですが
良くも悪くも、キャラクターを軸に作品を組み上げる性分は
どうにも不完全燃焼だったなと、感じたのでした。

では、何が最善策だったのかといえば
土台作り専用に、ナルカという世界
コトレッタたちというキャラクターを作らずに
次回作の主人公を主役に据えた
前日譚みたいなものを作っていれば
土台構築、世界観の磨き上げの一石二鳥を狙えたのかな
と、今となっては思う次第です。

心身削って創作をするならば

作者としては、心のしこりを残してしまった
本作の制作を通して、私が言いたいことはひとつです。

ひと月以内で作るような短編ではなく
人生の一定以上の時間を、共に過ごす作品であるならば
どんな理由であれ、ネタの出し惜しみはしない方がいいです。

セカンドプランを引っ張り出したところで
そこから生まれたものを、心から愛することは難しいですし
それと数か月、数年付き合っていくのは、確実に心を疲弊させます。

己を捨ててまで
結果や評価を取りに行くという選択もあるでしょう
しかし、それはもう
フリーゲーム・インディーズゲーム制作というよりも
ビジネスだと思います。

わがままを言いつつ、創作できる界隈だからこそ
ただでさえ、苦痛を伴う作業から逃げられないからこそ
自分に嘘をつくのは良くない。

私の次回作は、フリーゲームではなく
有料同人ゲームとしてのリリースも、選択肢に入れています
それでも、ガチの商業ではないかぎり
次回は自分に素直に作ろうと、そう思いました。

自分の為の創作を、忘れるべからず
ナルカが遺してくれた、教訓です。

あとがきのあとがき

しかしナルカは、このような私の思いに対して
公開三か月時点のレビュー数と平均点数(夢現のもの)に関しては
歴代トップの成績をたたき出しています。

良くも悪くも、ネタの出し惜しみが
いい感じに、作品の濃度を希釈してくれて
とっつきやすい作品になったのかもしれませんね
それが功を奏したのかどうかまでは、断言できませんが
何かしらの賞を受賞している、デモナやジャンクリラの初動より
多くのプレイヤーさんに、レビューを寄せて頂けているのは
紛れもない事実です。

思いを籠め過ぎない創作が
結果として、多くの人に受け入れられやすい
作品を生み出したのだとしたら
次回作公開の際には
「割り切って作ったナルカの方が面白かったじゃん!」
……と、言われてしまうことも
あり得ると思っています。

その時は、引退のタイミングと捉えます。



いかがでしたでしょうか
後半はポエムに付き合っていただき
誠に恐縮です。

そんなわけで、色々疲れちゃった今現在のくろあめは
年末まで、リフレッシュするためのバカンス休暇中です。

今回が不完全燃焼だったせいもあって
次回作のネタがいい感じに湧いてきてるので
なんだかんだで、作業はしてるんですけどね
とにかく、気持ちを切り替えていきたい次第です。


そんなわけで、今年最後の次回記事は
ナルカ以外の事も含めた今年のまとめです!

昨今のX君での騒ぎなどなど、環境の変化が激しい今日この頃
今後の進捗報告に関する、大まかな方針も
ご報告もするかもしれませんので
お目通し頂ければ幸いです。

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