シリーズ思い出語り Part9『Machiavellist2~後編・虚しい抵抗』
今となっては、『Machiavellist』は界隈の有名タイトル扱いだけど、大げさでなく「底辺」スタートだった初年度からすると、夢のまた夢の話だった。『2』なんて、絶対当たる訳ないけど、「完成させる事に意義がある」なんて、開き直りもいいところだったw
基本システム自体は『1』の時と一緒にしている。ストーリーは変えても、システムは変えない事で、タイトルの継続。当時はそういう捉え方をしていた。
ストーリー的には、人、動物を問わない「退治屋」の主人公の女性と、それに長年付き添っている部下達が、「種の改造」技術を駆使してテロを起こす謎の組織と対峙し、巨大な陰謀勢力が蠢く闇世界の真相に迫る内容。
自分の「意地」を体現した形だったのだから、シナリオの難解さも、ゲームとしての難易度も、前回を上回るつもりでいた。特に、クリア後の世界は大幅拡充して、本編と変わらないレベルのボリュームとなり、当時ツクフェスでやりたかった事はやり切る。当たらなくても、悔いだけは残さないという思いだけだった。
それだけに時間もかかり、容量も限界ギリギリ。制作時間もツクフェスのタイマーストップの999時間を超え、シリーズで最も力を注いだ作品となった。そして、間違いなくシリーズ最高難度の作品となった。
それでも、何やかんやでも楽しかった。自分はここまでいろいろできるようになったのだという手応えは気持ち良かった。
ただ、高難度を攻めたからこそ、本気でクリアしたい人間がいた時に為に攻略情報は用意した方がいいと思ったが、容量の限界で、テキストの一字一句にも気を遣う状態だったので、とても攻略情情報までは入れられない。仕方なく、『Machiavellist攻略館』という別枠のゲームを用意し、そこに『1』と『2』のストーリー解説とゲームの攻略情報を集約させて、またそれはそれで時間もかかったw
正直、ゲ制自体を心底楽しんでいなければ、あんなのできない。誰がいちいち見に行くのか。攻略情報くらい本編で入れろよと自分でも思うけど。
ただ、昔のゲームで、攻略本片手に進めていた、あの時代を懐かしむ思いもあった。ネットで情報が流通する時代になって、ゲームの攻略本はあまり需要がなくなったけど、昔の攻略本は良くも悪くも"自由”で、それを読んでいるだけでも楽しかった。ターゲット層が専ら小中学生男子と、明確だったからこそできた、大らかな時代の産物。それを再現してみるのも一興だったし、テキストもそれを見習ったふざけた書き方をしているw
ちなみに『攻略館』は、元々ツクフェスの容量不足問題への対応策だったけど、自分の中でも独自スタイルとして定着して、その後のシリーズでも『5』までゲーム内に入っている。ゲームクリアが何かと難しかった時代の「救済措置」の文化を、自分のゲームでも取り入れてみたかった。需要はともかく。
年内リリースを目標に頑張ってきたけど、高難度に加えて、Extra含めて20時間を超えるボリュームには流石に調整が難航し、2019年の年明けまでもつれる事になる。実は、自分でも定めた期限を超えてしまった唯一の作品ではあるけど、まあ気にする人間はいないだろうw
で、結果はというと・・・・・・万人の予想通り「星1」だった。『攻略館』の方が「星2」くらい付いていただけに、まだマシな方だったw
コメントもまた探してみたが、何一つ見当たらず。そもそも各地の掲示板の更新もあまり見られなくなっていた。
もうこの頃には低評価にどうとも思わなくなっていたけど。というか、この頃になると、あらゆる作品に「星1」を付けて回る愉快犯みたいな存在に薄々気付いていた。まあ、そういうアホは付き物。何が楽しいのか知らないけど。問題は、そんなのが一部にいても、そいつが支配力を持ってしまうくらい、高評価でカバーしてくれる人がいないという事実。知名度がない人間への洗礼みたいなもの。
もう一つには、『2』の制作中に、次世代CSツクールである『RPGツクールMV Trinity』(以下ツクトリと略)が発売されていて、世間の関心はむしろそちらの方に向いていた。そういえば公式コンテストも第3回を最後に沈黙しているし、既にツクフェス自体がピークアウトしている。そもそも自分は参入自体が遅過ぎて、ノーチャンスだったんだなと思うしかなかった。
まあ、仮にコンテストに出していたとしても、通用したとは思えないし、どうせ行き着く先は同じだっただろう。みんなツクトリに行けばいいし、自分はこのままツクフェスでやるだけやって、消えるまで―――本当にこの当時はそう思っていた。
ところが、後にそのツクトリの思わぬ大波乱から風向きが変わる事となる―――。