シリーズ思い出語り Part8『Machiavellist2~前編・復活と意地』
ツクールを投げ捨てて、再び普通のゲーマーに戻り―――当時はそこそこ他に面白いゲームが幾つか出ていたので、それで気分転換しているうちに、かつての嫌な思い出もだんだん忘れていった・・・・・・はずだった。
以前も書いたけど、ゲーマーとしては、もうかつてほどの勢いも意欲もなく、幾つかクリアしたら、もうやりたいゲームがない・・・・・・。昔は面白いゲームは2周、3周がザラだったけど、もう1周で十分という身体になっていたので、どのゲームも長期間続かなかった。
そうなると、結局元の木阿弥、また暇ができてしまう。暇ができると、やはり思い出してしまう―――。
"あの時”もうちょっと何とかできなかったのかと。
このまま負け犬で終わっていいのか。
このまま黙っていたら、結局あのクソレビュー野郎の言う通りじゃないか。
冷静に今の世の中を見渡してみると、ゲームが、自分達が夢中だった時代の「男子の玩具」ではなく、もう老若男女幅広く浸透している「文化」になっている。
ユーザーの気質も大分変わった。特に、ゲームが腐るほど溢れかえっている今の時代になると、一本一本のゲームに深付き合いをしない「ライトユーザー」の比率が増していった。
世代的にも若年層や、後から増えていった女性ユーザーなんかはライトユーザーの方が主流。自分達とは環境が違うし、好みのジャンルも違う。
フリーゲームの世界は、"軽い”ゲームばかりなんだし、自分の求める硬派なヘビーユーザーが集まる世界ではないんじゃないか。そもそもターゲットを間違っていたのかもしれない・・・・・・。
自分は場違いだった。好みが合わない連中に評価を求めてもしょうがない。
だが、「合わない」からといって、「クソゲー」の一言で片付けるな。
ヘビーなRPGだって、今は時代遅れかもしれないが、かつては確かな地位を築いていた。
無理にやれとは言わないが、「存在」は認めさせてやる―――。
あれから4ヶ月経った秋口。どこの誰とも分からない相手への"リベンジ”の決意を固めた頃、丁度折良く「第二のテーマ」が降って沸いてきた。
『1』の時は、モンスターや魔法が存在する理由付けとして「異界化」現象を取り扱った。この発想は主にメガテンの『デビルサマナー』を参考にしている。
で、もう一つ出て来た発想が、この時期にやっていた『バイオハザード6』の影響を受け、生物のDNA構造から変化させて、怪物を作り出す、というもの。魔法じみた特殊能力も、その影響で使えるようになる。
これをやってみたい。自分のハードボイルドRPGで。
また、前回は男性社長を主人公にしたので、今度は試しに女性社長をやってみたくなった。社長と言うだけでなく、セクシーな女性ハンターが魅力的そうと思ったのも、これまた当時観ていた某映画の影響も受けていた。
あと、前回は試しでいろいろ謎解き要素も入れてみたけど、技術不足で断念したアイディアも多かった。しかし、後から考えてみると、ああすればよかった、こうすればイケたのでは、と思える部分も多々あり、やりたいネタは、まだまだ残っている。
更に他にも、処女作はツクフェスのデフォ素材のみで構成し、容量拡大さえしていなかったので、かなりスリム化した面があったけど、次はもっと世界を拡大し、新たなDL素材も加えてみたい。だいたいマップだって、前回はろくに自作できなくてサンプルに頼り切りだったけど、慣れてきた今度は、自分のオリジナリティ出して、こういうマップ作ってみたいというアイディアはいろいろある。
題材は揃った。ストーリーは別物になるけど、『Machiavellist』は引き下がらない。
「クソゲー」を続けても成功した例はゲーム業界でも見た事ないけど、そんなの構わない。
今度は上手くいくかなんて、万に一つも思えないけど、意地でも終わらないところだけは見せてやる。それが―――『Machiavellist2』
以後、自分がシリーズの「継続」と「完成」に拘り続けていた原点はここにある。