【ネタバレ】制作あとがき
今更感がものすごいんですけど、当時の記憶があるうちに振り返っておきたいと思います。また何か思い出したら加筆するね。
ゲームにして良かった
まず、よく完成できたなーーーと。
出来はどうであれ、なんとか世に出せたことだけは自分を褒めてあげたい。
乙女ゲームが好きだったし、まあなんとかなるでしょ、と思っていた。そんなわけがなかった。大変でした。
そもそも作劇の基本をふんわりとしか知らなかったので、プロットはおろかどこに着地するのかも不明なまま、とりあえず書いてみてから全てを決めてた。
今思えば無謀の極みだけど、物語としては意外とすんなり最後まで書けたんですよね。初心者ならではの勢いで。あと心から姉弟に飢えてた。
ただ、それを乙女ゲームのシナリオにするのがね。
プレイ時間を考慮すると10万字には収めたい、なおかつ各ルートの長さを揃えたい、その他分岐させるには色々と不整合な部分が出てきて、削って切って貼って組み替えてと、再構築するのにすごい時間がかかってしまい。
なのに完成して思ったのは、ゲームにして良かったなってことでした。
マルチエンディングだからなんとかなったんだと思う。1つの結末で全てを語らなくていいことにすごく助けられたなあ。
ストーリー
お察しの通り、攻略対象全員を弟にするところから創作が始まっております。キャラクターを先に揃えました。
3人のうち1人は義理でも良い、と大幅譲歩までしたのに、どうやっても物語に深みが出せず、最終的にうち2人は『誰かの弟』に甘んじてもらいました。完全に私の実力不足で情けないことです。
攻略対象視点が多くなってしまったので余計に、『相手を理解しようと努めたか』を展開の分岐点に据えたかったんですが、それぞれ胸中で吐露しすぎて対話させきれなかったのが心残りです。もっと丁寧に上手く結果へ繋げたかったなあと反省。
二縄村
土地の記憶にうっすら縛られている小さな集団を書きたかったんですよね。
いわゆる因習村ほど強くも続いてもいないんだけど、共同体として見逃してきた罪は確実にある。
なので舞台は学校でも会社でも良かったんですけど、私の創作力が及ぶ中で実の姉弟を許してあげられそうなのが、どこか遠い昔の寒村だったわけです。ついでに神様の登場も許してもらいました。
ちなみに一代目の女神と山の人格である皙も姉弟設定です。贔屓目があるので山は弟に優しいです。
結
縁を結ぶ、縄を結ぶ、あちらとこちらを結ぶ、話を結ぶ、から結。
弱くあれと周囲から無意識に期待されていて、それに甘えたり抗ったりする女性。
経験が少ないだけで、この先どうにでも化けれる良い子だと思っています。地の文も柔らかめにしました。
両親を埋めたのは結だった、というエピローグも考えていたんですけど、さすがにくどかったので良い子のままでいてもらいました。
藤左
いわゆる異邦人なのに実は1番囚われていて身動きできなくなっている、目で殺す系男前。
由緒正しい旧家のお坊ちゃんなので、あんな感じでもちゃんと弁えてるし、すごく真面目な大人です。
私は一度諦めた人間の色っぽさみたいなのが大好きなので、フェードアウトにしちゃいましたが、あそこはもっと泥臭くちゃんと描きたかったなあ。
あといかんせん筆力が足らず剣豪らしさの説得力が皆無でほんと申し訳なかったです……。もっと見せ場を作ってあげたかった……。
萩平
私が鬱々と貯めてきた『こういう姉弟が読みたい』、まんまです。
とにかく葛藤してほしいの一心で書いていたので、最初から最後までずっと苦悩してます。萩平が罪を犯したことで始まる物語なので、そりゃそうなのですが。
死んでも明かさないつもりなのに、でも褒めてほしいとはつい言っちゃうのが、彼が兄ではなく弟である意味というか、私の『こういう姉弟』ポイントです。
藤左と皙山主にとっては、過去の自分でもあります。
萩平ルートは本当に書くのが楽しかった。弟が必死で守ってきた一線を越える姉って最高。
BAD後日談
皙山主
作者の長命種好きにより孤独に生かされてしまった方。怒ると怖いです。
桜青は超がつく自信家。そんな彼の唯一の失敗が、相手を知ろうとしなかったこと。
積年の後悔が劣等感を刺激するので、今も人との対話が苦手です。年季入ってるだけに厄介ですねえ。
本編中苛々はするくせにほとんど本心を明かしませんでしたが、思考が一番シンプルなのは彼じゃないかなと思います。
前日譚
空木
恋敵 兼 共犯者。BAD要員となってしまって申し訳なかったのですが、遊んでくださった方にはとても人気でした。
実は皙山主の親戚。桜青は旧名主の息子、姉弟がいなくなったことで跡目は分家が継ぎ、現在に至っています。以降、空木さんちには姉弟が産まれません。攻略対象にはどうしてもなれない宿命なのです。
ノーマルBAD後日談