SHA 2020/02/26 21:18

中国「空母買ったぜ」 空母「遼寧」を解説してみる

元々はロシア製

遼寧は…ソビエト連邦で設計された「空母ヴァリャーグ」だった。
その未完成の艦体を、中国がウクライナから購入し、
中国初の空母として完成させたのが「遼寧」。

昔々…ソ連海軍は空母作りに励んでおり、アドミラル・クズネツォフ級航空母艦「ヴァリャーグ」が、1988年11月25日に進水した。
しかし、ソ連崩壊後…政府からの建造資金は停止し、1992年3月に「空母ヴァリャーグ」の工事は中止になる。

その後…新生ロシア海軍は「あと7億5,000万ドルあれば、『ヴァリャーグ』は完成する!」と、見積もった。
だが、財政難のロシア連邦政府には、そんなお金は無かった。
しかも、ヴァリャーグを建造していた黒海造船工場自体が、独立したウクライナに接収されてしまう。
こうして、ヴァリャーグの所有権が、ロシアとウクライナによって争われることになってしまう。

数ヵ月後…ロシア、ウクライナの両政府は「共同で外国に売ろうぜぇ…」ということで落ち着いた。
そして…インド、中国、アルゼンチン、ブラジルなどの新興国に売り込もうとした。
この時のヴァリャーグの売却価格は、搭載機込みで約40億ドル。
しかし…この金額は、当時の売り込み先であった国々の「1年分の軍事費の半分以上」に当たるものだった。
結局…高すぎて誰も買わず、1993年、ロシアは「ヴァリャーグ」の所有権を諦め、ウクライナの管轄となる。


中国「買ったーッ!」

その後…ウクライナは、ヴァリャーグをスクラップとして2,000万ドルで売却することを決定。
そしてこれを、マカオの「中国系民間会社」である「創律集団旅遊娯楽公司」が1998年に購入。
「中国本国で海上カジノとして使用する予定」とされていたが、この会社の社長「徐増平」は中国人民解放軍海軍の退役軍人だった。
また、創律集団旅遊娯楽公司は、事務所も電話もないペーパーカンパニーであり、カジノの営業資格もなかった。
そもそも、マカオの港は水深10メートル程しかなく、6万トン級の大型艦は入港できない…と言われている。
英語版のウィキペディアによると…社長の「徐増平」は、中国海軍に代わって、ヴァリャーグを購入するように依頼された…と書かれている。

まあ、ヴァリャーグの購入には、中国政府、または海軍が関わっている可能性が高いって事だな。
そして2002年3月、ヴァリャーグは、マカオではなく大連に入港。
さらにこの時期、中国はヴァリャーグのほかに、キエフ級航空母艦の「キエフ」と「ミンスク」も購入しており、空母建造の参考にする…と言われていた。
キエフとミンスクは、後に博物館船として一般公開されたが、「ヴァリャーグ」だけは係留されたままだった


中国「さて、どうしよう・・・」

中国海軍の所属になったヴァリャーグは…2005年4月から8月までに大連造船所の乾ドックに搬入された。
そして、錆落しと中国海軍仕様の塗装を施され、修理も進んでいることが確認された。
2007年11月の情報では、「中国海軍は2008年にヴァリャーグを訓練・試験艦『世忠』として再就役させる意向である」と伝えられていた。
しかし…ヴァリャーグの外装こそ手直しされたものの、レーダーなどの電子装備の艤装がほとんど進んでおらず、工事の進捗は必ずしも順調とは言えなかった。

2008年末…中国海軍報道官が「2012年までに、中型空母を建造保有する」という計画を発表。
2011年8月には、数100人の兵士らが参加する完成式典が行われた。
そして…2012年9月25日に就役し、「遼寧」と命名される。

就役後は、中国の「艦上戦闘機J-15」やヘリコプターによる訓練が行われた。
「J-15」は、中国海軍の空母計画の為に開発された戦闘機。
2001年頃に、ロシアの「艦上戦闘機Su-33」の試作型が、ウクライナからもたらされ、直後に開始されたJ-15開発の参考にされた…と推測されている。
また…中国の空母の運用に関しては…2009年より、ブラジルからの「空母サン・パウロ」における訓練などの技術的支援を得ていたことが報じられた。


問題点…?

そんなこんなで…ついに就役した「空母・遼寧」。
次は、この遼寧のしくじりポイント…問題点などを解説してみるぜ。
機関
遼寧の蒸気タービンは、配管の切断や重要部品の取り外しはあったが、ヴァリャーグの物が残されていた。
これを中国海軍は、十分な資料を得ないまま、蒸気タービン機関の修復を試みたそうな。
責任者は、「動力システムの修復が、本艦の再就役にあたって最大の障害だったょ…あと、修復できなかった部分は、独力で研究開発した」と述べている。
また、遼寧の初代機関長は、「当初は蒸気を発生するボイラーの圧力があまりに高く、危険であったため、出航速力に必要な出力を得ることが出来なかったぜ☆」と語っている。

しかし、2013年8月の報道では…「遼寧の機関は、原型よりも安全性が向上した」と伝えている。
ボイラーの始動に必要な時間を短縮するなどして、ボイラー圧の低下を抑制。
その他の機関の問題も、設計変更によりリスクを低減する改良が施された。
つまり、機関の安全面などに問題あったが…改善しているってことだな。

他には、艦載機の「J-15」が、ロシアでは低く評価されているそうな
ロシア国防省のイゴール・コロチェンコ大佐は、「中国の模造品であるJ-15は、ロシア製のSu-33艦上戦闘機と同等の性能を達成することができないだろう」と語っている
また…現在、中国には「空母・遼寧、山東」の2隻と、もう1隻の空母が建造中、と言われているが…
アメリカ軍が持つたくさんの空母などに比べると、「張子の虎」だとか「あまり活動できない」、「その程度のパワーでアメリカを倒せると思っているのか?」と弱く見られることも多い。
一方で、「少なくとも日本にとっては脅威」とか「中国とアメリカでは空母の運用方針が違う」といった声もある。


発着艦の設備

カタパルトを搭載していないため、艦載機に搭載可能なミサイル数は限られている。
また、ロシアから「アレスティング・ワイヤー」4組の調達を目指したが不調に終わった。
しかし、「非公式にはスウェーデン製になった」と言われ、J-15の着艦試験において、正常に動作するアレスティング・ワイヤーの装備が確認された。

また、アレスティング・ワイヤーについて「中国社会科学院の世界経済・政治研究所」は、こう語っている。
「空母用アレスティング・ワイヤーは、現在ではロシアかアメリカしか製造しておらず、ロシアから購入できなかったので、自主開発している」と解説した。
「この自主開発したアレスティング・ワイヤーが、遼寧に装備されているか?」などの詳細は不明。



・アメリカ「ま、所詮チャイニーズ製だという事です。」
・カナダ「そうやって油断していつもやられるよね。日本にもベトナムにも中東でも。」

・中国「世は正に大海賊時代!」
・ロシア「そうか。」

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Youtubeの動画を書籍?本?にしてみたよ↓

『素人が兵器の解説をしてみる』https://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ247893.html


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