トランスジェンダーってなに？

はじめに

こんにちは，水谷りこです。

さっそくですが「トランスジェンダー」とはなにか，ご存知でしょうか。
LGBT と呼べば「あーアレね」となるかもしれません。

LGBT とはいったいなんなのか，トランスジェンダーとは何が違うのか。
今回はそんな「性的少数者」についてのお話です。

LGBT とは

LGBT は，以下の頭文字を取った「性的少数者」の総称です。

• レズビアン
• ゲイ
• バイセクシュアル
• トランスジェンダー

レズビアン / ゲイ / バイセクシャル

これらは「性的指向」を指しています。
どの性別に性愛（恋愛感情などの性的な愛欲）を感じるかを意味します。

女性が女性を好むことを「レズビアン」，男性が男性を好むことを「ゲイ」（※1），男女双方を好むことを「バイセクシュアル」と呼びます。

※1 男性同士を「ホモ」と表現することもありますが，蔑称の意味合いがあります。

また，そもそも性愛を感じないことを「アセクシュアル」（無性愛）といいます。

他人から理解されないことがある点や，日本では同性婚が認められないこと，ひとによってはこどもを生めないことが，悩みのタネとなります。

トランスジェンダー

生まれつき，心と体の性別が一致していないことを指します（※2）。

※2 もともとは「性転換手術」や「戸籍変更」を行うまでの流れを指していました。現在では，性同一性が異なるひと全般を指します。

「生まれつき」というのが重要なポイントで，後天的に「男の子になりたい」「女の子になりたい」と思うこととは意味が異なります。

心が男性の場合は「トランスジェンダー男性」，女性であれば「トランスジェンダー女性」などと表現できます（※3）。

※3 従来は MtF（Male to Famale） / FtM（Famale to Male）と表現されていましたが，現在では好ましくない表現であるとする向きもあります（性別が変わったのではなく，心の性別に合わせているだけであるため）。

トランスジェンダー男性は「ただの男性」，トランスジェンダー女性は「ただの女性」という理解でまちがいありません。

過去の定義では，体の性別を心の性別に合わせたいと思っていることを指していました。
しかし，性適合手術は万能ではないこと（※4），他者（医師など）が性別を決めたり疑ったりするのは差別であるとする社会の向きもあり，身体的な変更を行わないという選択肢が出てきました。

※4 手術を受けるための条件（医師の診断書が必要など）が不適切であり，手術そのものや術後のメンテナンスにも多額の費用がかかる。なにより，手術を受けたからといって，本物の「男性」「女性」の体になれるわけではない。術後に虚しさを憶えてしまうケースも。

そういったさまざまな経緯によって，現在では「心と体の性別が一致しないこと」を指す総称となっています。

総称であるため，男女どちらにも属さない「Xジェンダー」も含みます。
「中性」「無性」「両性」など，単一の男性でも女性でもない性自認を指します。

LGB はパートナーや周囲といった他人の理解を得られれば救われる反面，トランスジェンダーは自分自身の問題です。
そのため，いくら他人が「気にしないよ」と言ってくれたところで解決にはならず，心は苦しいままです。

仮にわたし（トランスジェンダー女性）が，手術を行って戸籍を変更して，だれからも「女性」として扱ってもらえたとしても，「自分（の体）は本物の女性ではない」という苦しみが消え去ることはありません。

トランスジェンダーは，しぬまで解けない呪いのようなものです。

さいごに

LGB は「どの性別に性愛（恋愛感情など）を感じるか」を指しているのに対して，T だけは「自分の性別はどれか」を指しています。

なので LGB と T はまったく関係ありません。

ですが，「性的少数者」という意味で LGBT とひとまとめにされてしまっている，という実態があります。
昨今では，ほかの性的少数者を加えて LGBTQ など，さまざまな表現が登場しています。

ひとまとめにされてしまっているせいか，「ゲイだからオカマだろう」「トランスジェンダー女性はゲイの男性が好きだろう」といった偏見も助長されているように思います。

わたし自身も「男が好きならゲイの男と付き合えばいいじゃん。いくらでも掘ってくれるよｗ」と言われ，ひどく傷ついたこともあります。

願わくば「トランスジェンダー女性（男性）」は「ただの女性（男性）」であるという認識が，正しく広まってくれますよう。

お時間いただきまして，ありがとうございました。