超ショートショート 人が住む石炭
その昔あたり一面が石炭が埋まっている土地があったそうな。そこでは多くの人が住むようになり大都市にまで発展した。それでもなお石炭は長い間枯渇すらしなかった。
そんなある日若者が手を滑らしたあまりに石炭を口に入れてしまったのだ。「うげーまずい」と思うかと思いきやなんとおいしかったのだ。しかも石炭を食べれば食事をとらずとも元気に働くことができた。
しばらくその若者は人の目を盗んでは石炭を食べるようになった。はじめはだれも気付かなかったが、だんだんその若者の採掘する石炭が少ないことや、食料をあまり買わなくなったことを不審に思われ始めた時、たまたまその若者が石炭を食べてるところを見られてしまった。
なんだお前は!なんで石炭を食べているんだ!口々に周りの者は言い寄ったが若者は、そんなこと言われてもその若者は石炭がおいしいからしょうがないじゃないか。むしろ君たちも食べてみてはどうだ?と逆に提案してきた。
されども石炭を食べる人はいなかったが、少しずつ少しずつ興味本位で食べてみて石炭を食べれる人と食べれない人が分かれるようになってきた。
石炭を食べる人がいるとわかると問題になった。もちろん取引に使う石炭をこっそり食べられては困るからだ。
こうなってはしょうがないと町の偉い人が石炭を食べる人を町から追放した。
石炭を食べていた人はしょうがなく町から出て行ったが時代が過ぎ、石炭の代わりに石油が使われるようになった。
彼らは試しに飲んでみたらなんとおいしかったのだ。
しかし過去の教訓から自分たちが石油を飲むことを知られてはいけないと彼らは誓い合った。
今彼らはガソリンを供給した後、家に帰ってこっそり車から石油を抜き取り飲んでいるという。