いらにか 2022/04/28 12:00

【賛否】CrypkoがNFT要素を見送ったことを支持する話【両論】

※この記事はDLチャンネルにも投稿した記事の原稿です。

https://ch.dlsite.com/matome/189046

多くの人に知ってほしかったのでDLチャンネルに先に投稿しました。
ただ、DLチャンネルって記事編集の操作と表記方法が難しいね……ということで、ci-enにも書きました。

個人的に絵師さんに一番読んでほしい記事です。
もし、意見や感想などがあればぜひコメントをください。


どうも、いらにかです。


以前書いたCrypkoの記事が、Crypkoの開発者の一人に取り上げていただけました。


https://twitter.com/hanezu_haru/status/1519280767196573696?t=SqEXop6zLfk0PV25MxxGHg&s=19


やっぱりNFT要素の再実装とか色々と言われているのでしょうね……
(言いたくなるユーザの気持ちも少しは分かる)


古のCrypkoはいわゆるNFT(非代替性トークン)で生成したイラストのユニーク性を保証して、売り買いしたりできるシステムでした。
当時、CryptoKitties(ネコ版Crypkoみたいなやつ)など類似のサービスはありましたが、それを美少女イラストでやるのは画期的だなと思った記憶があります。


しかし、Crypkoを一番悩ませていたのは知的財産権だと思います。
Crypkoは既存のキャラクターに酷似したイラストを稀に生成することがあります。旧Crypkoでは初音ミクに似たイラストが高値で取引されていました。


これはCrypkoに限らない話ですが、NFT自体には知的財産権を保証する法的根拠と能力は今のところありません。
一部の声として「いや、あるよ」と反論が聞こえそうなので、「それはNFTの枠組の外の話ではないか?」と先に答えておきます。
それでも反論がある人はコメントに書いてください。
(僕が間違ってるのなら法的根拠を優しく教えてください)


よく誤解されますが、NFTはトークン自体の複製が困難なだけでデジタルアート自体の複製は簡単にできます。
NFTにコピーガード機能は存在しません。
所有権など知的財産権の帰属を証明することも別の問題です(利用するサービスによって、これらは別途契約に明記されるものです)。


例えばNFTアートをお金で買ったとして、それが初音ミクに限りなく似ていたとします。
当然ですが、このケースでは初音ミクの著作権を侵害していて、二次創作物として扱われる可能性が高いです。
そうなるとクリプトン(初音ミクの著作権を持つ会社)の定める二次創作ガイドラインで許された「非営利の範囲」を超えているとみなされて、違法性が高くなります。


近年、イラストレーターさんがキャラデザを務めたVTuberが既存キャラの著作権を侵害しているケースが何件かニュースになりました。
昨今はVTuber需要もあり、キャラクターデザインが爆発的に生産されていて、類似しない方が困難だと思います。


だからこそ、訴訟リスクがクリア出来ない状況でのNFT展開はCrypkoにとって取るべきリスクでは無いと思います。
(この記事にはNFT=悪いという意図はなく、現状のリスクとCrypkoの相性的な話をしています)



少し話が脱線しますが、Crypkoの本当の価値は「イラストを生成すること」やNFTのような所有権云々ではなく、「イラスト作成の敷居を下げること」にあると個人的に思っています。
商業イラストレーターの知り合いも多いので、Crypkoは「イラストレーターの仕事を奪う」みたいなことを言われたこともありますが個人的な考えは違います。


Crypkoはイラストレーターさんにとって心強い武器になる可能性を秘めたテクノロジーです。
これは絵空事かもしれませんが、真面目に聞いて欲しいです。


  • 自分の絵柄の特徴を学習させるのことが出来れば、品質管理をもっと徹底できるのでは?
  • 自分の絵柄と他人の絵柄をミックスして自分らしさのあるファンアートを模索できるのでは?
  • 顧客と通話しながらCrypkoが生成したキャラを一緒に見つつイメージを固めることで、イメージ共有不足やラフ作成コストを減らせないか?
  • イメージの外側にある刺激的なインプットとしてランダムに生成されるCrypkoからヒントを得られないか

etc...


Crypkoはイラストを書けない人のため"だけ"のシステムでは無いと思っています。


イラストを生み出す世界で働いているイラストレーターさんにこそ受け入れられて、色んな価値を見出されて、イラストレーターさんの仕事を良くするために有意義に使われて欲しいテクノロジーです。


もちろん、自分の力だけで創作することを否定はしません。
自分の好きなやりかたを選ぶ権利があります。
お絵描きソフトが絵描きのために進化してきたように、ソフトウェアは人のための道具です。活用されて価値を生みます。
ただオーバーテクノロジーのような道具というのは、時として人を傷つけることがあるのも事実です。リトルボーイ(原爆)がそうだったように使い方次第では、凶器になり、取り返しのつかない影響を及ぼします。


話が逸れましたが、CrypkoがNFTを見送った判断を私は支持しています。
Crypkoが第三者の知的財産権侵害のリスクを十分にクリアできない現状では、NFTの要素は炎上しかねないですし、万が一にも裁判でAIによるイラスト生成システムに不利な判決が出てしまえば、研究が停滞して大きな損失に繋がるかもしれません。
(Winny事件のような展開だけは本当に避けて欲しい)


NFT要素のあった旧Crypkoが面白かったことは否定しませんが、現状のリスクを取ってまで実装する必要は無いと思います。
それにもし実装したくなれば、将来的に組み込めばいいだけです。
今である必要は無いと思います。
(トレンドとか一時的な利益よりも大局を見て着実に成長して欲しい)


繰り返しになりますが、Crypkoはイラストを書けない人のため"だけ"のシステムでは無いと思っています。
だからこそ、Crypkoはイラストに関わる多くの人達から愛されて成長してほしいと切に願っています。


PS.
ただ今回リリースされたCrypkoはWeb屋視点でみるとUI/UXがお世辞にも良いとは言えません。少しストレスがあります。
(例えばスライドショーで我が子一覧をみたいのに、ページネーションが邪魔をしてたりとか他にも沢山)
また、ゲームとして見た時に課金しても保存が100体までなのは正直足りない。
数時間ですぐ埋まったし、泣きながらお気に入りの子を厳選して削除していくのは悲しすぎた……


この辺りの話はNFTとは別物なので今回は割愛しました。
これらの不満要素は今後のアップデートによる改善に期待したいです。
Discordで活発に議論されてますし、これから良くなるはず!!


改善されなかったらChrome拡張作ってでも、セルフ改善しようと思います(笑)


ではまた。

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