投稿記事

赤字体質な同人サークルの採算を劇的に改善する手法

同人作家を悩ますお財布事情

 多くの人が経験するのと同じように、私もお金の問題にぶつかりました。

「ごめんなさい。もう新刊は刷れません」

 そんな本音がこぼれます。
 というのも、小説を文庫版で本にしようとするとページが増え、印刷費は相当な額に上るのです。
 とはいえ、大きめの判型では手に取ってもらいづらい……

 発行部数を減らせば、その分単価は上がるジレンマ。

思いついても恐ろしくて試せない悪魔的なアイデア

 誰もが一度はひらめくものの、馬鹿馬鹿しくて実行しない曲芸じみた考えが降りてくるのを感じました。

 絶対に成功するわけがない。
 赤っ恥を晒して、オフライン活動はできなくなるかも。

 そんな思いが頭をよぎりました。

挑戦した結果、赤字作品の損失を補填

 文庫版の長編小説は印刷費が莫大です。売れ残ったら、大赤字。
 例のヴィレッジヴァンガード的な設営でその作品を新刊として頒布したことにより、私はその「一番やっちゃいけないタイミング」で大失敗をしでかしたのです。

 しかし幸いにして、私は上記の「悪魔的なアイデア」を同時に走らせることで損失額の7割をカバーすることに成功しました。

 その悪魔的なアイデアの内容について、記事の続きで説明します。

【 しずれさん支援プラン 】プラン以上限定 月額:560円

爆死作品の赤字額7割をカバーした悪魔的なアイデアとは

月額:560円

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

表紙の配色で一流のデザイナーほど避ける色とは?

同人作家の頭を悩ます印刷費

 小説は、ページ数がかさみます。
 ページが増えると、コストも増える。
 まだ駆け出しだった私にとって、それは大きな問題でした。

 それを解決するため、新書版で二段組にしてみたり、行間を詰めたりしたこともありました。
 結果、即売会でこんな声を頂きました。

「文字組が読みづらいです」

 そりゃあそうです。そのときの作品は、あまりに適正な1ページあたりの行数からかけ離れた文字組になっていました。

「もっと安い印刷所、ありますよ」

 それは救いの声でした。
 当時の私は、初めて先輩のお手伝いでサークル参加したときに目の当たりにした、色分解に失敗して配色の乱れた表紙がトラウマで、初心者にも優しい印刷所をご贔屓にし続けていたのです。

 しかし、もう脱皮してもいい頃でした。
 以来、イベント会場で偶然ブースに立ち寄ってくれた作家さんから教わった印刷所を利用することで、コストの問題はクリアしました。

 今でも私は、印刷費を節約するために行間を詰めるなどということはしてません。
 しかし、これ以外にも問題は残されていたのです。

思わぬ配色の落とし穴

「この作品が選ばれにくいのは、他にもまだ理由があります」
 ブースに訪れた作家さんは、声をひそめていいました。
「実はこれ、避けたほうがいい色なんです」

 閉会後、打ち上げ会場のダイニングバーで私は詳しくお話を伺いました。
 曰く、本の表紙デザインには何色かの定番カラーがあって、逆に割けたほうがいい罠カラーもあるとのこと。

 まさか色でそんな売れ行きが変わるだなんて、そのときの私にはにわかに信じられませんでした。
 しかし、その後の頒布物ではカバーデザインの配色を変更することで、頒布数は伸びていきます。

 その避けたほうがいい色とは? 記事の続きで解説します。

【 しずれさん支援プラン 】プラン以上限定 支援額:560円

表紙デザインで避けたほうがいい色と、その理由。

プランに加入すると、この限定特典に加え、今月の限定特典も閲覧できます 有料プラン退会後、
閲覧できなくなる特典が
あります

バックナンバー購入で閲覧したい方はこちら
バックナンバーとは?

月額:560円

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

即売会での売れ行きを悪くする表紙デザインの落とし穴とは?

刷った同人誌が、まさかこんな在庫になるなんて

 多くの人がその道を通るように、私も「新刊の不良在庫化」という悪夢に直面しました。
 2017年5月6日、COMITIA120。
 余部を含めて105部搬入した新刊は、そのうち23部しか売れませんでした。

 初回頒布数23部の『QUENTARIE(クエンタリエ)』。

 なぜ100部も発注してしまったのか。
 それは2016年の夏コミ、冬コミでいずれも「新刊売り切れ」を経験していたからです。

 C90、頒布数77部。
 C91、頒布数132部。

 このときの成功要因を冷静に分析しないまま私は次の新刊を100部発注し、一次創作の主戦場コミティアへ臨んでしまったのです。

表紙デザインの落とし穴

 当日ブースへ立ち寄り、そのまま閉会後の打ち上げにご一緒いただいたフリーランスの作家さんに、私は相談しました。

「まさかこんなに在庫を余らしてしまうなんて……一体何がいけなかったんでしょうか」
「実はね、しずれさん。これは会場では黙っていましたけど、決定的なポイントが一つあります」
「えっ、何ですかそれって」

 それは私がそれまで発行してきた作品とは異なる表紙デザインにしたことで、陥ってしまった罠でした。

表紙デザイン改善後の売れ行き

 意外に思われるかもしれませんが、表紙デザインは刷ってしまったあとからでも変えることは可能です。
 それを実現するアイテムは、帯です。

 私は売れ残った既刊に帯を巻くことで、初回23部しか出なかったこの作品の累計販売部数を67部まで伸ばすことができました。

 同人誌即売会にサークル参加されたご経験のある方なら、この数字の意味がご理解いただけるかと思います。
 即売会では、ほとんど新刊しか売れません。

 そして、この次の作品では私がこのとき陥っていた「落とし穴」を回避することで、初回42部頒布しました。

 その次回作の表紙デザインと、売れ残ってしまった既刊を救った帯のデザインについて、記事の続きで解説します。

【 しずれさん支援プラン 】プラン以上限定 支援額:560円

明暗を分ける表紙・帯のデザインとは?

このバックナンバーを購入すると、このプランの2024/02に投稿された限定特典を閲覧できます。 バックナンバーとは?

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

1/28(日)まで上野で開催中のモネ展へ急げ!

最終日を来週末に控え、盛況となる上野の森美術館。
前売り券は公式サイトをはじめ各種チケット販売サイトで軒並み売り切れ。
もはや頼みの綱は当日券のみという今、裸一貫で突撃してきた私が赤裸々な現場をレポートします。

果たして、前売り券が買えなくてもモネ展には入れるのか?
当日枠には限りがあり、最悪買えないこともあるという公式のアナウンス。
さらには入場時間も選べませんとのこと。
朝一で並んで買っても夕方16:00に来てくださいなんてことが起こりうるのか?
その疑問に全てお答えします。

結論から言うと、前売り券がなくてもモネ展には入れます。
朝一で並べばOKです。当日券、買えます。
私の場合は開催最終日の一週間前の週末、予報では雨だったという前提を踏まえてお読みください。

当日券は、上野の森美術館で買えます。
上野公園に面した駅の出口からすぐ目の前に、謎の博物館のチケット売り場らしき建屋が見えますが、あれはたぶん別物です。まっすぐ上野の森美術館まで来てください。係員の素敵なマダムがご案内してくれます。

開館30分前の時点で、9:00~9:30入場の当日券が買える状況でした。
つまり会館前に並んでおけば朝一番で入れるということです。まぁ、私のときは入れたということなので最終日はどうなるか分かりませんが。

入り口にはコインロッカーがあるので手荷物を預けることもできます。
チケットと物販ではクレジットカードも使えますが、入館後にレンタルできる音声ガイドは現金決済のみなのでご注意ください。

開館後すぐに入れれば中はそれほど混んでませんが、次第に来館者が増えてきます。
人混みで館内は暖まるので、着脱しやすいお召し物でお越しになることをお勧めします。
展示は一階と二階にまたがっていて、所要時間はじっくり見ても1~2時間程度と思います。

物販は一旦外に出てから、別のところにショップがあります。
午前中はほとんど並んでいませんでした。リピート組の来館者もいる模様なので、もしかしたら物販は相対的に空いていたのかもしれません。

Twitterでは相当な混雑との情報で溢れていましたが、実態はそれほどでもないという印象でした。
今回の展示では本邦初公開の作品『昼食』も公開されているので、この機会をお見逃しなく。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

プロデザイナーが論じた百合作品で絶対に外してはならない鉄則とは?

制作に費やした労力が、必ずしも結果を伴うとは限らない

 構想1ヶ月、制作3ヶ月、取材に現地を訪れたのは三度。
 そうして出来上がったのが文字数12万8,000文字、文庫版272ページの『トリトンの火』でした。
 神戸を舞台にした、高校演劇部をめぐる青春百合小説です。

『トリトンの火』カバーデザインの一部。

 実際に取材で訪れた神戸の舞台。ロケ地は舞子公園。

 しかしこの力作は、読んでいただいた方には大変ご好評である反面、初回32部しかはけませんでした。

百合作品で絶対に外してはならない鉄則

 あるとき、商業誌の想定デザインを手がけて10年以上になるプロの現役デザイナーの方を縁あってご紹介いただき、中身(本編)を読んでいただいた上でレビューしていただく機会を得ました。

 その結果頂いたご指摘は、あまりにも避けて通るべきではない常道中の常道だったのです。

 出版社から発行される商業の百合作品は、言われてみれば私の知る限りほとんど全ての作品が、その「指摘事項」をクリアしています。

百合作品に不可欠な要素を押さえた作品と、そうでない作品の違い

 幸運なことに、私はたまたま別の作品で、その「指摘事項」をクリアしていました。

 拙作『百合色50%+』は頒布数が初回66部。
 さらに残った在庫も次のイベント出展を待たずに売り切れとなりました。
 なお、当該作の前編『百合色50%』は頒布数こそ33部ですが、こちらは12:00の時点で完売しています。

 この明らかな売れ行きの違いを体感していながら、私はデザイナーの方にレビューしていただくまで、あまりにも重要すぎる鉄則を見落としていたのです。

 記事の続きで、それを説明いたします。

【 しずれさん支援プラン 】プラン以上限定 支援額:560円

初回66部売れた『百合色50%+』のカバーデザインとは?

このバックナンバーを購入すると、このプランの2024/01に投稿された限定特典を閲覧できます。 バックナンバーとは?

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

« 1 2 3 4 5 6 7

記事のタグから探す

月別アーカイブ

記事を検索