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皐月うしこ 2019/07/11 10:00

即興小説「終わらない夜は君の声で明度を上げる」

終わらない夜は君の声で明度を上げる

紺碧のビロードが揺れる空の下で、薄い羽衣を身にまとった歌姫が一人、ぼやけた輪郭で立っていた。かすかに発光しているように見えるのは、彼女が月か星の女神だと脳が錯覚しているせいかもしれない。
実際には、この「夢幻夜《ムゲンヤ》」と呼ばれる昼のない国において、「発光虫」と呼ばれる虫の糸で出来た衣装がそう見せている。歌姫が仄かな薄緑のオーブを発しているのは見間違いではなく、事実として輝いているせいだ。
今夜も愛らしい姿が空を見上げて口を開く。どこか異国の言葉で聴きなれない旋律に乗せて、歌姫の声が聞こえてきた。なんでも、日本国という変わった国の歌らしいが、昼のある国の歌はどこか明るく、胸に響くほど優しい風景が見える気がした。
(完)

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皐月うしこ 2019/07/06 22:12

ボイスドラマ「IZENiKAM~イゼニカム~」01

脚本・監督作品

いつも応援ありがとうございます。皐月うしこです。
5月より声優さんとのコラボ作品としてボイスドラマを企画していたのですが、このたびようやく形にすることが出来ました。

記念すべき第1話。
(全部で24話くらいあります)
長編ファンタジーが好きな人に楽しんでいただけたらいいな。

公開は基本的にTwitterとYoutubeで行います。
こちらでは、台詞の紹介や限定小説などを公開出来たらいいなと考えていますので、引き続き応援よろしくお願いします。
(相変わらず健全なお話ばかりですみません・・・)

scene01:盗まれた秘宝

https://youtu.be/Ws6QE7VTKvo

台詞

ゼノ「これが、イゼニカム・・・」
オクスト「なんだ、誰かそこにいるのか?」
オクスト「誰もいないのか?」
オクスト「そこにいるのは、誰だ!」
オクスト「まさか、冗談じゃない。これはマーゼインが作った歯車の箱だぞ」
オクスト「ないっ、ない。そんな、どこにもないだと」
オクスト「なんということだ、王の鍵が」

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小説版イゼニカム「盗まれた秘宝」

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皐月うしこ 2019/07/04 10:00

キスシーンを全力で書く

唇に神経を通すなんて誰が決めたのだろう。まつげが触れるか触れないかの僅かな気配にさえ、息を押し殺してしまいたくなる。目を開ける余裕なんかなくて、薄く探りをいれる視線が至近距離の彼の唇を捕えた。

―――ダメだ

条件反射でギュッと目を閉じたのが、きっと相手にも伝わったのだろう。まるで、それを待っていたかのように首筋からアゴに向かって這い上がってきた指先が、クスリと彼の笑みを近づける。ついばむように答えた感触の先で、握りしめた指先が体格差のある肩を押しのけようとする前に、後頭部に回された力強い手のひらに抱き寄せられて、体中の酸素が奪われていく。どこまでも深く。なぞられる歯列に全身の力が抜けていく。

「―――アッ・・・」

瞬間、離れた唇の端から漏れ出た声が、奈落の底の入り口だった。

あとがき

Twitterでのタグ参加なのですが、公開できるギリギリラインなんてこんなもんでした。やっぱりR18小説書けるっていいよね。ドエロいの書きたいよ。ここでドエロいの公開したいけど、まだ公開できる文章がない・・・

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皐月うしこ 2019/07/01 10:00

即興小説「迷子の風」

気紛れで生まれた妄想のお話。文字だけの絵本的な感じの物語。

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読み切り短編小説

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皐月うしこ 2019/06/27 12:10

即興小説「投身少年は何を見る」

少しホラーを目指した作品。
(一年ほど前に別の場所であげたものをコチラに移植)

即興小説「投身少年は何を見る」

身投げした瞬間、体はふわりと宙を浮き、困ったことに空へと吸い込まれていった。おかしい。どう考えても飛び降りたはずなのに、地面に向かっていくはずの体はどんどん上昇して、ついに雲の上にまで昇って行ってしまった。

「やあ」

見慣れない声がすぐ真横から聞こえてくる。

「やあ」

雲の隙間から見える地面をにらんで、僕はその声に返事だけを飛ばした。

「へぇ、珍しいね。キミは私に驚かないんだ」
「それどころじゃないからね。だいたい、困るんだよ」
「なにが?」
「僕の体がぐちゃぐちゃにならないと困るんだ」
「だれが?」

そう問われて、初めて横を向いて絶句した。

「お望み通り、キミの体はぐちゃぐちゃだ。ああ、せっかく美しい顔をしていたのに勿体ない。だけど、おめでとう。これでキミも晴れてこちら側の世界の住人だよ」

その日、喉の奥から湧き出た嗚咽が恐怖の叫び声をあげながら僕の耳をつんざいた。
ラクになれると思ったんだ。アイツの涙が見たいとおもった僕の目は、もうどこにもなかった。(完)

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