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いらにか 2022/11/17 12:10

【ごめんね】書いていた本の原稿が間に合いませんでした【無料公開】

どうもいらにかです。

先月、こんな記事を書きました。
【近況報告】「脚本から始める創作設計入門(仮)」という本を書いてます


そんなこんなで、創作設計についての本を書いたりしていました。




※表紙のラフ



が。




原稿が間に合いませんでした!!!


なので、ボロボロなα版の原稿は無料公開するよというお話です。



そもそもα版の猶予は1ヶ月

11月後半~年末は私的な都合で執筆が難しかったため、この本のα版は1ヶ月のスキマ時間で執筆(+表紙の絵を描く)という今思えば割りとハードスケジュールを組んでいました。
過去に刊行した「みちくさびゅあーの技術」は年末の2週間で執筆したので、いけると思ったんです。まじで。
技術書「みちくさびゅあーの技術」を発行しました+おまけ話

まぁ、私が伝えたかった内容の9割は品質管理で脚本が便利なことを理解してもらおうという内容なので、”はじめに”以外の章は正直なところオマケです。
創作設計における脚本やプロットなどの分布図を知ってもらえればOK!くらいの緩い本になるつもりでした。

https://twitter.com/happy_packet/status/1584477667725701121?s=20&t=GGNYi_8afnAvSvaKdM43_g

ネタとしてツイートして、そこから本として執筆すると決めてから、だんだんと書きたいことが増えてきて……

そして、当初の計画が崩壊します。

一番の原因は脚本術や物語構造論の話を盛り込みたくなったこと。


”面白くするためのイロハ”みたいなものは、元々学生時代から趣味で研究っぽいことを続けてきました。ですが、纏めるといったことをキチンとしてこなかったので、良い機会になると思ってやってみたらこれが結構ハードでした。

”おもしろい作品”とは、どれだけ脳を喜ばせたかという視点で評価できるのですが、そもそも脳を喜ばせるための話をしなければいけません。
この話を回避するために、「面白さとは共感と裏切りの両輪で成り立つ」みたいな有名格言で説明を省こうとすると、「えっ、よく言われるのそれ」とか「じゃあ共感って何なのさ」みたいな分岐が無限に起きてしまいます。

当たり前ですが、読者はそれぞれ異なるバックグラウンドで育ち、身につけている知識も違います。だから説明がすごく難しいのです。

たとえば。

物語における感情展開や物語構造論を、プルチックの感情の輪と五度圏表を使って、感情分析・音楽理論の方面から面白さを紐解くアプローチしてみたり。

システム開発におけるプロジェクトマネジメントとシステム設計の思想から、物語をモジュール化・関数化したり、人間関係と作用をUMLで整理したり。

全てのミーム(情報)は「錯覚」であるという仮定から、どうすれば錯覚を起こせるのか考えて、認知の歪み(価値観の変質)をTwitterのようなSNSを通じてじわりじわりと起こせないか。

情報の死とはギリシャ哲学から忘却でetc...


これらの説明をテキストで書き起こすのが、私には難解すぎました。
正直に言って、力不足です。
執筆中に何度か思いましたが、もしかすると本として纏めるのがたぶん不適合な気がしています。
というのも、本には筋や軸があるので、とっ散らかった情報を一緒に掲載する場合では「まとめる」という作業があまりにも高コストになりがちです。

今回執筆した本は、品質管理で脚本が便利なことを理解してもらおう という軸があるので、脚本術や面白さの話はそこから逸れています。
なので、別の本として纏めるか別のコンテンツ(いらにかラジオ)で消化できないかとか色々と考えてます。
当初の目的から変質してしまったので、コンテンツから見直さなければならないと思っています。私は本が書きたいのではなく、私の考えを伝えたい、誰かの一助になりたい、というのが本質的な目的なので。

何はともあれ

結果として、原稿は書き終わりませんでした。

本来ならお蔵入りになって終わるだけですが、Twitterで興味ある反応をしてくれた人がいたのでα版として執筆途中の原稿を無料公開することにしました。
一応、検索避けのために無料プラン以上の人が見れるようにしています。

ただし、活用例のところは一部(というか大半を)削除しています。
テンプレートの見直しとか、いろいろな理由です。すみません。

興味がある人は、どうぞ。


余談

執筆中にふと思いついたんですが、シナリオテキストからセリフだけをpsd(もしくはclip)ファイルに一括で流し込みできるツールがあったら便利じゃないですか?
もし既存のツールでそういうのあったら教えて欲しいです。

https://twitter.com/happy_packet/status/1592698424268574720?s=20&t=5w1hAA7-xOpIeLVNYMJkZw

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いらにか 2022/10/26 13:51

【近況報告】「脚本から始める創作設計入門(仮)」という本を書いてます

どうも、いらにかです。

今回は執筆中の本の話をしようと思います。

事の発端はこのツイートに添付してある、「はじめに」を書いてしまったせいです。
最初はこんな本あったら面白そうだなくらいのノリでしたが、書き始めたらなんか本格的になってきたので本当に書いてみることにしました。
※コミケは嘘ですが、執筆しているのは本当になりました。

https://twitter.com/happy_packet/status/1584477667725701121?s=20&t=2ux4vzE_rgQMt8erpTItaQ

執筆に至った経緯を雑にまとめてしまえば

  • 実は脚本の利便性と創作設計ノウハウを皆が知らないのでは?
  • そんな状況でMeSをプロモーションしても響かないのでは?
  • ネームやラフ絵や脚本は、品質管理の設計図であることをわからせよう!
    • 品質管理のノウハウを身につければ創作体験は向上できる!
    • ついでに物語構造とかシナリオ創作のノウハウも教えちゃえ!
  • そして品質管理で脚本が便利なことを理解してもらおう!
  • というわけで、本を書こう!
  • 最終的に私がつくった台本テンプレの一部をMeSと親和性良くして、MeSを広めたろ…グフフ…(隠された事実!)

ということです。

ちなみに、現時点ではこんな感じです(一部をチラ見せ)。
※内容は変わるかもしれないので、詳しく読まなくていいです。

あくまで目次も内容も確定したトピックではありません。
レイアウトや見やすさ等はまだ整えていませんが、創作設計において最低限書きたかったことはとりあえず書き出した気がします。
ページによっては文章を詰め込みすぎた気もしますが、未来の私がいい感じに直すでしょう。頑張れ。
創作設計の章で残っている作業は、私が創作設計をする過程の思考をトレースした参考実例集「おいおい、設計の話があまり無いじゃないか!」の節で、不足している創作スタイルを吐き出すことと、全体の体裁を見やすく整えることです。
活用例の章は、創作別に最適化した台本レイアウト(台本構成)の解説が中心の話なので、ブラッシュアップしたレイアウトを用意すれば終わるでしょう。



ここで、ふと嫌なことが頭をよぎりました。

私が伝えたい事は概ね書いた気がしますが、読者が知りたかったことは十分にかけているのだろうか?
創作設計の章は8割くらい完成してるけど、そもそも読者がこの内容で満足してくれるのだろうか?


本書は脚本執筆の入門書ではなく、「設計図として脚本の使い方を考える入門書」という要素が一番強いです。ストーリーを面白くする手法等は、品質管理に関わってくるのでオマケとして書いていますが、一般的に脚本教室等で教えるような書き方についての指導内容はあまり書いていません。
というのも、「そういった基礎は他の本が扱ってるから、そっちを読めばいい」からです。今の時代ならネットにも転がっています。


何でもかんでも書いてしまうと、膨大になって書き終えることができませんし、本当に伝えたいテーマがブレるので、本書はなるべく「私が伝えたい内容」に絞って本の厚みが薄くなるように意識しながら書いています。
こうなってくると、本書の仮タイトル「脚本から始める創作設計入門」も誤解を招きそうなので変更したほうがいいような気もしてきます。
良い着地点がわからなくなってきました。





そこで、ひらめきました。




この問題の本質は「読者が知りたかったことが十分に書けているのか?」です。

つまり、読者の意見を取り入れてしまえば解決するのでは?




まずは本書を、当初の私が書きたいと思っていた内容でアルファ版として手頃な価格でリリースします。内容的には創作設計の章と活用例で台本レイアウト3つくらいかなと。

そのアルファ版を元に、読者の意見や要望をなるべく反映して、完成版としてフルプライス(価格未定)でリリースします。台本レイアウトも増やしたいですね。
この時、アルファ版を購入していた人は、完全版の価格からアルファ版の価格を引いた差分の値段で完全版を購入できるようにします。要は内容の差分にお金を払うスタイルです。
加えて、アルファ版からの更新差分だけを知ることができるよう、改版差分早見表(差分だけ抜き出したもの)も提供します。こうすれば、完全版への知識アップデートは改版差分早見表を読むだけで終わります。めっちゃ楽!!

まとめると

アルファ版:いらにかが伝えたかった内容。早くお届けできる。
  完全版:読者が知りたかったことをできる限り反映した内容。満足度高そう。
      アルファ版の購入者は内容の差分に支払うスタイルであまり損しない。

と言った感じです。

私としては「基礎は他の本を参照するから、いらにかの視点から、もっと研究的かつ実用的なノウハウに注力して書いてくれ」みたいな読者をメインターゲットにしているので、そういう読者に早く届けるためにも、このアルファ版が最適解かなと思いました。
ぶっちゃけ、アルファ版で読者が満足してくれるなら完成版を作る必要もないので。

というわけで、色々忙しいですが、年内を目標にアルファ版リリースを目指します。
マジで冬コミの時期に間に合うかもしれない……(リアルコミケには出れないですが)

もし本の内容に興味がある人は、この記事にいいね!とCi-enのフォロー、Twitterのフォローをよろしくお願いします!!(ユーチューバーみたいな締め方だ)
もし先に内容への意見やリクエストがあればコメント下さい!

それでは、続報をお待ち下さい。
無事脱稿できるように祈っててね。

(๑•̀ㅂ•́)و

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いらにか 2022/10/15 13:13

【雑記】芸術の秋、AIイラストとか、雑多なメモ書き。

どうも、いらにかです。

すっかり秋ですね。
最近は、スキマ時間でお絵かきしていました。

https://twitter.com/ira2ca/status/1579603853582176256?s=20&t=aP-mG_4N3cGHA70Xrgxvlg

https://twitter.com/ira2ca/status/1579603298210185216?s=20&t=aP-mG_4N3cGHA70Xrgxvlg

https://twitter.com/ira2ca/status/1570608387049783296?s=20&t=aP-mG_4N3cGHA70Xrgxvlg

https://twitter.com/happy_packet/status/1579330812667105280?s=20&t=DRgzW7ugSlj-YdTqUSzcmA


そして、つい先日から手元のPCでStable-Diffusionの環境を作って、絵を描かせてみたりしてます。

https://twitter.com/happy_packet/status/1580363041757343744?s=20&t=DRgzW7ugSlj-YdTqUSzcmA

https://twitter.com/happy_packet/status/1580849654279045120?s=20&t=DRgzW7ugSlj-YdTqUSzcmA


昨今、色々と脅威になりつつあるAIですが、イラストの分野は特に恐ろしいと思います。これは誰だって不安になるよね……。

個人の意見ですが、AIとArt(アート)の分野は相性が良すぎると思っています。
Artは感じるものである故に、そこに価値を見出すのは消費者なので、作品に意図や思想がなくとも消費者が勝手に価値を見出してしまいます。
極端に行ってしまえば、白に赤い丸を置いただけの『日の丸』にも人は価値を見出してしまうみたいなことです。現代アートとかまさにその性質が強いと思います。


ただし、乱雑に色が配置されただけの絵に価値を見出す人は少ないでしょう。
多くの人は、Artに価値を見出すときに「美」というモノサシで価値を測っています。
遠近、補色、構図、etc...の美術的な要素によって、私達は「美」を感じとっているのだと思います。「美」は言語化が難しい情報の塊で、多くは意味論的な記号の外側にまで存在します。
※記号の内側と外側の話をすると長くなるので今回は割愛します。いずれどこかで。


持論ですが、芸術は(大まかに分けると)「物語性」と「表現力」で構成されていると考えています。


物語性とは、伝えたいことや思想など、創作の根幹をなすものです。
表現力とは、画力や文章力のようなものです。


創作者は伝えたい物語性を表現力を通じて作品として具現化します。
一方で、消費者は作品の表現から物語性を「想像」して感じ取ります。
そして、美は表現力と物語性のどちらからも摂取できますが、物語性においては表現から想像ができなければ消費者はその美を受け取れないという性質があります。


例を出してみます。

「ベランダで、青空を背にして、ひまわりを持つ天使」
この文から、どれだけの美を受け取れるでしょうか。


そして、この絵からどれだけの美を受け取れるでしょうか。
https://twitter.com/___mfm_u/status/1580165242344026112?s=20&t=DRgzW7ugSlj-YdTqUSzcmA



文は物語性が強くにじみ出る表現媒体です。
文の表現力だけで面白い作品もありますが、多くは物語性に面白さが隠れています。
物語性に面白さの重きがあるのに、表現力でそれを伝えることができないと、感じられる美が少なくなる(面白さが伝わらない)。
これが物書きあるあるで、一番最初にぶつかる壁だと思います。


一方で、絵は表現力が強く出る媒体です。
画力が高ければ、表現力の美だけで消費者は十分に楽しめます。
もし物語性が弱くても、消費者が勝手に脳内で補ってしまうこともあります。


こういう持論があるので、僕は「芸術性を高めたいときは、媒体の特性に合わせて物語性と表現力をいい感じにする」というモットーがあります。
(芸術性を高めれば、人気が出るということに直結するわけではないので、そこは誤解しないでください)


僕は絵を描いてるときも、文章を書いてるときも、常々自分の表現力の低さを思い知らされます。もっともっと面白い作品を作ろうとすればするほど、表現力を高めないといけないし、結局は努力しないといけないなぁと。


AIやアシストツールは、表現力で苦しんでいる人たちにとって魔法の杖だと思います。
趣味で創作をしている僕にとっては、AIを使うとか使わないとかは正直どうでも良くて、「僕が面白いと思う創作体験ができるかどうか」という過程にしか興味がありません。
AIに絵を描かせていいねを貰うのは人によって承認欲求が満たされたりすると思いますが、それだと僕は創作欲求が満たされないんです。
だから、絵を描くときは創作欲求が満たされてて、絵をあげるのは「面白いものあるけどみんな見る?」とか承認欲求みたいな感覚があります。
承認欲求が満たされても、創作欲求が満たされない限りは、僕は絵や小説を書き続ける気がします。


AIイラストによって綺麗な絵が蔓延ると「自分の下手な絵を公開するは…」みたいに萎縮する絵描きさんも増えると思います。めちゃくちゃ気持ちわかる。
まぁでも、それはTwitterに神絵師多すぎる問題みたいな不可抗力ですし、どうしようもないので諦めましょう。自分にはどうにもできないので。
ボクシングで階級違いの相手と戦うようなものですし、負けたところで「だよね」です。
そもそも絵は比べるものでもないと思いますし。


まぁ、そんなわけでAIについては「使いたい人は使え」くらいの気持ちしか無いです。
本当に使う使わないとかどうでもいい。


ただし、AIを悪用する人間。てめーはだめだ。
神が許しても、許さん。
罪を犯した人が憎まれるべきなのに、道具が憎まれるのは我慢できない。
GANやこれまでのAI技術の功績を汚すな……まじで……。


そんあわけで、つらつらと記事を書いてたら、お昼になったのでここで筆を置くことにします。
食欲の秋。お芋が美味しい季節になりましたね。では。

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いらにか 2022/09/11 17:00

【2022年8月】道草恋歌の月例賞発表

どうも、オオムラサキさんです。
夏も終わり、カナカナゼミの鳴き声が聴こえてきそうな季節になりましたね。


道草恋歌
https://michikusa-renka.glideapp.io/


道草屋への思いを短歌・俳句で綴る道草恋歌の「葉月賞」と「夏休み歌会大賞」の発表です。


葉月賞                        

――――

無記名の人体で往く夏祭

――――
作者:黒縁ナイロール
部門:俳句・川柳部門
解説:
「すずしろ7-雨のち晴れの日」のif俳句です。

次点                        

――――

夢現 茹だった理性と ミントの香り

――――
作者:@ManiacalNights
部門:俳句・川柳部門
解説:芹さん大好き侍

夏休み歌会大賞                  

――――

朝顔やバスを見送る人の影

――――
作者:黒縁ナイロール
部門:俳句・川柳部門
解説:お昼には帰ってしまう旦那様と昼前にしぼんでしまう朝顔の花。
そういう対比的な。

連絡事項                        

9月は月例賞を一旦お休みします。
表彰は10月分とまとめて行いますので、ゆっくりと恋歌を詠んでみてください。
それでは9月もよろしくお願いします。

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いらにか 2022/08/31 22:44

【近況報告】MeSの進捗【Ver0.3開発中】

どうも、いらにかです。

夏もそろそろ佳境ですね。

https://twitter.com/ira2ca/status/1562328627584593920?s=20&t=VUfhWtuojqp8dNnp3qF9yQ


さて、今日は以前から作っているシナリオ軽量記述言語『MeS』の進捗報告を兼ねて、MeSのアレコレを雑多に書こうかなと思ってこの記事を書き始めました。


MeSって何なのって人は過去記事を先に読むことをオススメします。


■過去記事
【近況報告】シナリオ軽量記述言語のMeSを作っています

■MeSのプロジェクトページ
https://github.com/iranika/MeS

■MeSの仕様とかまとめているドキュメント
https://docs.google.com/document/d/12EHzhasXu9RgVpwRYsbSNeKxrcPz_hFJHPN8WPXpfKo/edit?usp=sharing


MeSの進捗(Ver0.3)

MeSは現在Ver0.3のリリースに向けて作業中です。
MeSは現状、『言語仕様』『パーサー実装』『エコシステム』の3セクションにまたがってそれぞれ開発が進められています。


『言語仕様』はver0.3の仕様が策定されました。
https://docs.google.com/document/d/12EHzhasXu9RgVpwRYsbSNeKxrcPz_hFJHPN8WPXpfKo/edit?usp=sharing


ver0.3では新たなデコレーターとして『字幕用タイミング情報』が追加されました。
これは、将来的にVTTなどの字幕ファイルをMeSから生成することを主な目的としています。


『パーサー実装』は言語仕様ver0.3を元に現在開発を進めている段階です。
主要な機能はほぼ実装済みで、あとはVTT形式のテキスト出力などの実装が残っているくらいです。


そして、Ver0.3リリースの最後の壁が『エコシステム』です。
このエコシステムにはMeS EditorMeS CLIが含まれます。


一般のユーザーはエコシステムを通じてMeSの恩恵を受けることが大半です。
言語仕様とパーサーが機能豊富になっても、MeS Editorがその機能をユーザに提供しなければ恩恵が受けられません。


しかし、MeS Editorをリッチに作り込むことにはリスクがあります。
というのも、常日頃からシナリオを書いている人は「好みのテキストエディタ」が既にあるはずです。
MeSは将来的にVisual Studio CodeとGoogle docsを推奨エディタに位置付けて、その他のエディタでも恩恵が受けられる環境整備をする予定があります。


MeS Editorは元々「MeS記法を試し書きする遊び場」として開発しているので、MeS Editorで本格的に0からシナリオを書く体験は今のところ注力していません。
仮にMeS Editorをリッチに作り込んでも「あのエディタならこれができるんだけど…」といった不満が必ず出始めます。


私がまさしくそうだったので。


そのため、MeS Editorはメインテキストエディタではなく、サブテキストエディタもしくはMeS用の便利な変換ツールアプリとして発展することを目標にしています。


MeS EditorはパーサーがVTT出力できるようになれば、既存の機能を整理してアップデートする予定です。


そもそも、キャラ毎のセリフ文字数集計とかできるのにユーザに機能提供してなかったりするので


ver0.3がリリースされる頃には、Meditorの機能は整理されて少し使いやすくなっていると思います。たぶん。

今のMeSが抱えている課題

そもそも、エコシステムの開発が少し遅れているのは理由があります。
というのは、MeS Watcherというデスクトップアプリの検証開発も同時にしているからです。


もともとエコシステムはWebアプリ(MeS Editor)、コマンドラインツール(MeS CLI)、デスクトップアプリ(MeS Viewer→MeS Watcherに変更)の3つを試作としてつくる計画がありました。


Webアプリは、インストールしなくてもユーザーがさくっと使い始められるので、MeSの入門とカジュアルな利用として。
コマンドラインツールは、MeSが解析したデータをより柔軟に加工したりするための上級者向けとして。


優先度が高かったこの2つは真っ先に開発されました。





で、このMeS Watcherってなんなのか。


簡単にいえば、メモ帳(または他のエディタ)で編集しているテキストファイルが保存されるたびにMeS Watcherアプリの台本ビューが自動で更新されていくやつです。
※台本ビューはMeS Editorに表示される台本っぽいアレです。


Webアプリ開発では、ファイルが変更されるとすぐにそれを反映する『ホットリロード』と呼ばれる機能があったります。
MeS Watcherはテキストファイルを指定すると、ホットリロードによってテキストファイルが更新されたときに自動で再度読み込みます。


これにより、我々はエディタ選択の自由を獲得する機会が手に入るのです!

この課題がようやくクリアできそうなフェーズに入ってきました。長かったぜ。
ただRustで書かれたMeSパーサーの性能を十分に発揮するためにMeS Watcherの開発はTauriというRust製の新しいフレームワークを採用しています。
英語しかないドキュメントを読みながら開発してるので苦しみまくっている……


でもTauriのアーキテクチャはすごく賢いというか、触っていて楽しいです。
この力を習得したとき、また新たなフォースの力に目覚めそうです。


雑記:MeSのハックしやすさ

話が変わって、「MeSってハックしやすいよなぁ」とふと思った雑記です。
MeSはフォーマット(記述形式)の強制力が弱いことが特徴の一つでもあります。

MeSには構文エラーがあまり存在しません。
以下のMeSを例にしてみましょう。



橘は勢いよく立ち上がると机を叩いた

橘「いい加減にしてください!いま優先すべきなのは議論よりも救命指示と統制でしょう!」

周囲は静まり返る

橘「石井さんは消防に連絡してミブチ周辺の被害状況を確認してもらって!課長は地図とってきてホワイトボードに被害マップつくる準備!」

村長「ちょっとーー」

橘「村長は災害対策本部の設置にむけて県と協議!被害状況は村でも収集中って伝えて、今後の体制の話し合いをしてください!」

橘「手が空いてる人は災害時避難先の手伝いに回りつつ被害情報の聞き込み!」

橘が手をたたくと全員動き出した


これは一般的なト書きとセリフのシナリオですが、MeSはこれらのpieceを下記のデータとして解析します。
※一部のデータは...として省略しています


[
    {
        "dialogue": "橘は勢いよく立ち上がると机を叩いた",
        "charactor": "",
        ...
    },
    {
        "dialogue": "いい加減にしてください!いま優先すべきなのは議論よりも救命指示と統制でしょう!",
        "charactor": "橘",
        ...
    },
    {
        "dialogue": "周囲は静まり返る",
        "charactor": "",
        ...
    },
    {
        "dialogue": "石井さんは消防に連絡してミブチ周辺の被害状況を確認してもらって!課長は地図とってきてホワイトボードに被害マップつくる準備!",
        "charactor": "橘",
        ...
    },
    {
        "dialogue": "ちょっとーー",
        "charactor": "村長",
        ...
    },
    {
        "dialogue": "村長は災害対策本部の設置にむけて県と協議!被害状況は村でも収集中って伝えて、今後の体制の話し合いをしてください!",
        "charactor": "橘",
        ...
    },
    {
        "dialogue": "手が空いてる人は災害時避難先の手伝いに回りつつ被害情報の聞き込み!",
        "charactor": "橘",
        ...
    },
    {
        "dialogue": "橘が手をたたくと全員動き出した",
        "charactor": "",
        ...
    }
]

上記の例では、ト書きの部分にはキャラクター情報が付与されていないので""(空白)になっています。

台本ビューでみるとこんな感じ。

これを利用して「キャラクター情報が空白なら、セリフ情報(dialogue)をコメント(comment)に移動させる処理」を行えば、一般的なト書き記法をパースして得られた出力を模範的なMedo形式に修正することが可能です。

逆にエディタや台本ビューを「キャラクター情報が空白なら、ト書きとして扱う」みたいな仕様にしてもいいと思います。
(だって、キャラクターが空白なら他の意味と捉えてもいいでしょ…的な発想)

他にも登場キャラクターがそもそも一人なら「キャラクター情報が空白なら、〇〇に置き換える」みたいにデフォルトキャラクター設定とかも便利です。
(これは今後のMeSパーサーの設定仕様に組み込まれる予定があります)


MeSは「簡素な記述」と「詳細な記述」のどちらもサポートするために、「記述に必須な情報」というものが極端に言えば存在しません。
ある手段を用いればセリフを空白にすることも可能です。

基本的な利用方法がありながら、ハックしやすいところが個人的にMeSのいいところだと思っています。

雑記:MeSから派生して字幕プレイヤーの開発

MeSのVer0.3が字幕サポートを目標にした理由の一つに字幕プレイヤー(Webアプリ)の開発案があります。
(MeSエディタの整理も終わってないのに次々と新しいアイデアに手を出していることは正直褒められたものではないですが)

話が少し逸れますが、私は著作権法や海外の違法アップロードサイトの仕組みとDMCA関連に少しだけ詳しいので相談を稀にもらうのですが、違法アップロードサイトの中には閲覧アプリとして機能が優秀なやつも存在したりします。

特に字幕です。

違法アップロードサイトは法的に許されない存在ですが、一部のユーザーが違法サイト利用に依存する理由のひとつに「正規では得られない機能的メリット」があると考えています。中でも字幕は海外ユーザーにとって結構な依存理由だと思います。
※もちろん、違法サイトの利用を擁護する意図はありません。

「違法サイトをなぜ使ってしまうのか」という心理を紐解き、ユーザを違法サイトから引き離して更生する環境づくりや、そこから得られる予防策を考えることも違法サイト撲滅のひとつだと個人的には考えています。
(倫理観が少しずれている自覚があるので、この発想は避難されるかもしれませんが)違法サイトのユーザーの中には「将来正規顧客になる人」がいるかもしれないので、いかに違法サイトから利益を回収できるかみたいな発想やアイデアも必要なのかなと考えていたりします。


話がだいぶ逸れましたが、そんな事を考えていたときにふと思いました。

**『DLsitePlayってVTTとか字幕ファイルのサポートしてくれないのかな』

まぁVTTファイルのサポートが面倒なのはわかりますが、音声サークルにとっても字幕ファイルをサポートできるようになれば海外の消費者層の獲得も狙えるのでメリットは十分にあると思います。

まぁ、それをDLsite側がやるのは微妙な気がするので「どうにかして音声ファイルと一緒に字幕プレイヤーを同梱できないか」みたいなことを考えていたりします。

DLsitePlayはコンテンツにHTMLをサポートしているので、SPAとして作ればDLsitePlayからも字幕プレイヤーを開いて使うことができる気がします。
(音声の再生はDLsitePlayではなく、独自のプレイヤーになるからDLsitePlayのマイリスとかは使えないし、連続再生とかの機能を独自プレイヤーに組み込む必要はありそうだし、そのあたりのコストが開発者の頭を悩ませているぐるぐる)

まあ、字幕プレイヤーの詳細はともかく、字幕プレイヤー同梱の作品を作る側としては

  • 字幕ファイルの作成
  • 音声ファイルとの同梱

が簡単かつシンプルにできるようになれば、この字幕プレイヤーアプリは重宝するんじゃないかなと。

DLsiteは一部作品で中国語字幕版とかを売ってたりするけど、あれ別作品として登録されているから販売数とかが合算されない(つまり販売数ランキングで上に行きにくくなる)

単一作品で多言語サポートできるのは、メリットあるんじゃないかな。たぶん。
(最悪な発想だけど、違法サイトから自作品の字幕をパクってくるの面白そう……日本の著作権法では翻訳権は原著作者にあるし、二次的著作物の利用について原著作者は同等の権利を有するし、そもそも許諾してないから共有著作物に当てはまるかグレーだから翻訳者に共同著作の権利があるか謎だけど、もし差止請求しようとするとその根拠が著作権法になるはずだし、無難なのは翻訳権の許諾に関する事後契約みたいな示談になりそう……)

字幕プレイヤーを利用する側は、まぁDLsitePlayと同等くらいかちょい低いくらいの機能があればいいと思う。

まぁ、この字幕プレイヤーで売上がどれくらい伸ばせるかの指標がないと、使ってくれそうにないけど。

まぁ、そのうち出来てるといいな…。


終わりに

現状ではMeSに興味を持ってくれている方も、わざわざMeSで記述することの恩恵をあまり感じていないと思います。
それもそのはずで、まだMeSによる執筆ワークフローのようなモデルを紹介していないからです。
(これはVer0.5以降に紹介する予定です)
(年内を目標にしているVer0.5リリース後に本格的なプロモーションを始めようと考えています)


記述する観点で言えば、MeSは複数人がシナリオに関わるときのほうがより効果を発揮すると思っています。
例えばGoogle docs等でシナリオを共同編集しながら、セリフの演技に対して脚本家と音響監督と声優が意思疎通をしつつ、セリフに注釈的音響コメントを記入することができます。
もしくは声優が演技の疑問点を音響コメントとして付与し、それを音響監督にチェックしてもらって疑問を解消することにも役立ちます。
(セリフや作品に対する疑問点などを関係者一同が共有と振り返りができることは大きなメリットです)


他にもいろんな活用場面があるかもしれません。


「MeSをどのように活用してワークフローに取り込むのか」


この利用モデルのノウハウを蓄積して広めることがVer0.5以降の課題の一つになっています。
(現状ではその領域に達していないので、あえて利用促進の広報をあまりしていません)


また、現状の執筆体験で不満がなければ、わざわざMeSを使う理由もありません。


MeSが目指すゴールの一つに「絵コンテレベルの脚本」があります。
脚本はアクター(演者)だけが読むものではなく、演出家や音響監督など多くの人が触れるものです。


「このシーンはどういう感情を表現するべきなのか」


それを脚本家だけでなく作品に関わる多くの人が意思疎通(共有と議論)できることがMeSが目指している「絵コンテレベルの脚本」に必須だと考えています。


少し話がそれますが、ハリウッドではシナリオデベロッパーという職業があり、シナリオライターが執筆したものを実際のメディア(映画やCM等)作品に起こす上でメディア特性を加味して更に良くなるよう開発していくことがあります。


セリフだけ書かれた音声作品のシナリオを、加筆修正してメディア特性を意識したシナリオに仕上げるシナリオデベロッパーが居てもいいかもしれません。
または、物語構造やドラマ演出などに詳しい演出家がシナリオをさらに脚色していくのも面白いと思います。


MeSは脚本を書くシナリオライターの執筆体験を向上することも目標としていますが、脚本の執筆に多くの人が関わることができる環境作りも目標の一つです。


そして、より良い作品を生み出す環境づくりの一助になれたらと思っています。


雑記:それはそれとして

本音を言えば、MeSを足がかりに物語構造重視を強固にしたい野望もあります(ミジンコサイズの野望です)。

もうこれは完全に私的なイデオロギー主張になりますが、2022年8月現在の音声作品にいおいてシチュエーションボイスに該当するものがトレンドを占めている印象があります。

誤解を畏れずに過激な発言をすれば、シチュエーションボイスの多くは「美味しいシーンだけ摂取する行為」です。

いちごのショートケーキでいちごor生クリームだけ食べる行為なんです。

エロ漫画で導入を省いて、すぐに挿入シーンに突入するようなモノなんです。

(ちなみに、私はシチュエーションボイスが嫌いとか悪いと一言も言っていませんが一部の読者がそう受け取れてしまう日本語って面白いよね……)

私の言う物語構造重視とは、このような会話の配置から読者が体験したり勝手に推測したりする感情もうまく使って「読者にどんな思想と感情を届けるのか」も含まれます。
叙述トリックと似ていますが、少し違う概念です。

これらを巧みに使って構造美が感じられる作品が増えてほしい……。
特に催○音声とか……。
(別に少ないわけじゃないのに、こう書くと現状が少ないみたいに捉えられるのも日本語面白いよね……)

物語構造の重視にはイベント展開や会話の配置を含めて緻密な設計が必要になったりします。
将来的にMeSの周辺ツールとして、機能的イベント配置から物語構造テンプレートを出力するメタシナリオ構築支援ツールみたいなものも作りたいとか、色々と妄想しています。

妄想するだけならかかるコスト低いし、機能スコープを大きくしても怒られないので……。
詳細設計と実装が一番コストかかる……。

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